ちょっぴり奇妙なお話集 

夏実朋可

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引っ越し

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 引越しをした。
 これで何回目になるだろう。行く先々で不思議な出来事が起き、そのたびに引越している。いわゆる超常現象、いやポルターガイストというものなのか、一人暮らしなのにもかかわらず家の中がなかなか賑やかな状態だ。
  家に帰ると誰もいないはずの部屋に電気が点いてるなんて事は序の口で、誰かがシャワーを浴びている様子がある。トイレを流す音がする。消してあるテレビが点いたり、あるはずの食べ物が無くなっていたりもする。長い毛が部屋のあちこちに落ちていて、まるで誰かと住んでいるような状態だ。
  あまりにうっとうしくなって引越すという状況が続いている。
  だが、引っ越すと決まって2~3日遅れてやってくる宅急便。
  それは引越しの段ボール箱一つ。
  最初のうちは引っ越し業者が積み忘れたか届け忘れたかくらいに思っていた。だから、何も気にせずガムテープを引きはがして中を覗いたものだ。中には何もないただの空き箱。
  不思議に思うが、何かの間違いだと気にせずにいるとその日からまた始まる賑やかな状態。
  この賑やかな状態は箱のせいだと気づき受け取り拒否をして追い返しもした。だが留守をしている間に家の前に置いてあったり管理人に預けられていたり…。
  独身の割には荷物が多い俺だ。もしかしたら本当に自分の何かの荷物かもしれないと性懲りもなく開けてしまっている。分かっていてもつい。そんな事の繰り返しだ。
  本当に馬鹿な俺。
  もう絶対に遅れて届いた荷物は受け取るまいと徹底的に拒否することにした。
  適当な俺ではあるがちゃんと箱の数も数え引っ越し業者からの伝票も確認。
  すると今度は、知らぬ間に段ボール箱が部屋の中に置いてあった。
  誰が受け取ったのか納品書まであり、しかも俺の印鑑まで押してあったりもする。
  慌てて届けている宅急便業者に電話して押し問答。結局、印鑑の押してある 納品書のせいで引き取ってもらう事は出来なかった。
  俺は押しが弱いのかもしれないが、どう拒否してもその箱はおれの眼の前から消え去らない。
  ならば開けないでおればよいのだとベランダに出しておくと、また知らぬ間に部屋の中に置いてある。仕方ないので部屋の片隅に置いておくといつの間にか箱が開いている。そして、またあの賑やかな状態がやってくる。
  こんな事を幾度となく繰り返している。
  いったい誰に好かれたものだか。
  こんな話、よくある事なのかもしれない。
  が、当事者にしてみれば慣れたというもののうっとうしいことこの上ない。
  そして何度目かの引越し。
  また部屋の真ん中にあの箱が置いてある。
  うんざりして箱を眺めて気がついた。

  もう箱のガムテープがはがれている。
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