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第一章 猫に転生~始まりの公園~

最初の一歩

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俺はネルが向かった方向に走る
喉はカラカラでも走る
 
はぁ、はぁ、つ、疲れた。お腹減った
ネルどこだっ!
俺は家の前に休憩する
 
「ワン、ワンッ!」
(おいっ、そこの白猫)
 
「ニャッ!?」
(ん!なに?!)
 
俺は繋がれてるドーベルマンに吠えられた。だが言葉がわかる
もしかして俺達兄妹は動物と話せる能力があるのか…?

「お前、ただの猫じゃないな」
 
「そうだね、イケメンッ」
 
「ははっ、お前面白いな~大抵の猫は俺が吠えたら逃げるのによう」
 
ドーベルマンは嬉しそうに立てていた尻尾を、横にして振っている
グロウは彼に向き直る
 
「察しのとおり、普通の猫じゃないよ」
 
「だろうな、何故慌てている?」
 
俺は事情を話し、さらにネルの事を聞いた
すると話しによると、そのおばさんの家は、もう一個先の家だということがわかった
 
「ありがとう」
 
「ああそうだ、まて白猫」
 
「えっ?何か?」
 
「お前腹減ってるだろう。俺の飯よかったら食え、水もいいぞ」
 
ちょうどグロウは空腹だった
 
「あっ、ありがとう」
 
「いいや、猫の口に合うかわからないけどな」
 
俺は庭に入り、差し出されたドッグフードを食べた
 
「おっ、これ案外いけるなっ!」
 
ドッグフードと水を飲み、生き返ったグロウ
もう一度御礼を言ってから家に行った
 
 
 庭に入ると中には、ネルとおばさんが一緒にいるのが見える
 
「ネル。迎えに来たよ!」
 
だがネルはこちらに来ない
グロウは窓を叩く

「ネルー大丈夫?帰るよー」
 
「あっ、おにーちゃんっ。大変!おばさんの頭暑い、ねつあるから助けて!」
 
「うっ…苦しい…助けて…」

よく見るとおばさんは、独り暮らしみたいだ
おばさんは高熱のため、床でうなされている
  
『・・・今なんて言った?俺人間嫌いなんですけど…』
 
「ネル…俺の性格…知ってるよね…?」
 
「知ってるけど、それでも助けて!じゃないとこうっ!」
 
"キイーーィーッ!!"

「ガラス引っかかないでーネル!耳が痛い、痛いぃー!!」

「助けてくれなきゃ、イヤだ」
 
ネルはガラスに爪を立て、俺の前でガラスを引っかく
グロウは耳を伏せて、毛をモップのように逆立てる
さらにネルは続けた
 
「わかった!わかったからストーップ!」
 
「うん、後、おにーちゃんの能力お父さんから聞いてるよっ」
 
俺は、自分の能力をまだ知らない。
 
「えっ…でもどうやって?」
 
「おばさんが助かるように、空に向かって言って」
 
「えっ、それだけ?その寝込んでるおばはんを助けてくれっ」
 
おばさんの容態は変わらず苦しんでいる
 
「あれっ、何も起きない?なんでだろ?ネル口開いてるよ…」
 
「おにいちゃん、言葉悪いから!!もっと気持ちめて、やさしくいって」
 
「ごめん、ごめん冗談だよ… 」
 
「早く、もう一回!」
 
俺、八才の妹に注意されてる…
 
グロウは渋々言い直す
 
「おばさんを助けてください。お願いします…」
 
すると、さっきまで苦しんでいたおばさんの顔色が明るくなる
そしてゆっくりと体を起こす
 
グロウの言ったとおり、おばさんの願いは叶った

「ニャー、ニャン」
(おばさん大丈夫?)
 
「あれっ熱がないよっ、もしかして子猫ちゃんが治してくれたのかい?」
 
「ニャン!」
(お兄ちゃんだよ!)
 
「そうか、子猫ちゃんのおかげだねありがとう」
 
『お兄ちゃんが助けてくれたのに~』
 
ネルは窓を振り向いたが、俺は急激な腹減りで横に倒れる
 
「あっ、あそこにいる白猫お母さんだね?」
 
「ニャッ!?ニャッ…」
(ちがう!お兄ちゃん…)
 
「ご飯一緒に食べようお母さん」
 
「ミッ、ミャーオー」
(俺はオス猫だー) 

おばさんは窓を開けて、空腹で動けないグロウを抱き抱える
そして部屋に入れた後、エサを取りに行った
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