散りゆく季節

kzeroen

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 春、新学期の朝。桜の花びらが散る中俺達は、朝早々と登校していた。
 
「ねみーー。ったく俺がいくら朝が苦手だからって、六時に電話で起こすことはねーだろ遼」
 
 昨日琢磨は部活後、俺の部屋で自分の春休みの課題を片づけていた。俺の手伝いと、ご飯付きで。課題は深夜までかかったため一泊した。
 
「そのワリには、俺が作った朝飯をおかわりまでして平らげただろ」
 
「へいへい。上手かった、ご馳走さん」
 
 不機嫌そうにこちらを見る琢磨は、俺の脇腹を突く。俺は、琢磨の手を振り払い腕時計を確認する。時刻は八時二十分。うちの学校の登校の時間は八時五十分までだ。わりと普通な気がするけどと思うと、俺は呆れ笑う。
 
「まぁどうあれ、新学期早々遅刻するよりマシだろ」
 
「けどよ~まだ登校まで三十分もあるんだぜ。なんか時間もったいねーし」
 
 琢磨は、ほお膨らませながらも校舎まで歩いていた。確かに朝が苦手な琢磨にとって、八時三十分前に学校に突くのは偉業な事である。普段から遅刻が多いやつだから心配だ。そんな思いを裏切りように、琢磨は何かに気づいた。広場にいる後輩に手を振り、後輩に向かって叫んだ。
 
「おーい、みねやまー何持ってんだー?」
 
「先輩っ、おはようございますっ!バドミントンのセットっす」
 
 広場にいたのは同じ野球部の峰山だ。峰山は、俺達が何かと可愛がっている一年下の後輩。峰山はバドミントンのラケットを見せて、俺達にそれを振っている。
 
「それ、どこで手に入れたーー?」
 
 琢磨は、叫びながら目を輝かせ峰山の方へ向かって走って行く。何処の小学生と思いながら、仕方なく琢磨の後を追う。
 
「これバド部の友達に、昨日借りてたやつっす」

「へぇ~けっこう頑丈にガット張ってあるなぁ」
 
「そうっすよ、昨日張り替えたばかりっす」
 
 自信満々で琢磨の顔を見る峰山。琢磨は、峰山が差し出してきたラケットのガットを掴んでいた。そして、何かを思いついたように二つのラケットを見てニヤリと笑う。
 
「なぁ遼、まだチャイムが鳴るまで時間あるよな?」
 
 俺は腕時計を見る。さっきからまだ五分しか経っていない。峰山も琢磨の発言を悟ったように、目を輝かせ俺の方を向く。
 
「あるが、まさかお前らそれで遊ぶのか、新学期早々校庭で……?」
 
 琢磨、新学期早々遅刻をさせてたまるかと親友の思いを踏みにじる奴なのかっ?!
 
「そのまさかだなっ、峰山っ!」
 
「はいっ!」
 
 元気よく琢磨は、俺に言い峰山の肩を叩いた。そして、勢いよく校庭に走っていった。
 
 見事に踏みにじったな、コイツという奴は。琢磨はスポーツが好きで目がないからな……
 
「遼、チャイム五分前に電話くれー」
 
「知らねー。自分で時間見ろー」
 
 俺は、峰山と琢磨のこの後結果が目に見える。奴等はほっといて教室にでも行くかな。

 遼は、校舎へ呆れて入っていった。


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