6 / 10
間話 その頃の姉と弟の大切なお話
しおりを挟む
「また桜姉ちゃんが行方不明になったぁ?!。」
「うん、たぶんまた『あっちの世界』に行ってるんだと思うの。」
カフェに呼び出された高校生男子は、目の前に座ってドでかいパフェを細いスプーンで器用に食べている姉を見た。
僕の名前は日暮 凪(ひぐらし なぎさ)高校1年生になった分類的には可愛い顔してる男だ。
目の前にいるのは二人いる姉の内、長女の方。日暮 梅(ひぐらし うめ)。三十歳になったけどいまだ結婚の文字が見えない、その話をすれば鬼になる女…僕の姉だ。
「で?前々から聞きたかったんだけどその『あっちの世界』ってどこなの。」
もう一人の姉が先日から連絡がぱったり取れなくなった。もう一人の姉の名は、『日暮 桜』。
いなくなった姉は芸術大学生で、二十四歳になる。僕らの姉弟の中で一番の美人で、超絶可愛くて、姉弟じゃなかったら絶対惚れてたレベルで性格がいい。いや、惚れてるかもしれない。
まじでモデルか芸能人か、アイドルか…あのAIで流行りの女子の絵みたいな顔とスタイルしてる姉だ。
高校の時はあらゆる男子生徒が狙っていたが、お互いにお互いを牽制しまくったせいで、誰も告白することできず、そのまま姉は大学へ…。
大学で彼氏ができたが、超がつくほどのクズ男。
男の方から別れたらしいが、また男の方から復縁を望んでいるらしい。お前から別れたなら、今更姉ちゃんにまた寄り添うなよクズ男!と心の底から思っていた今日この頃だったのだが…。
また桜姉ちゃんが行方不明らしい。
また、ということは、御察しの通り…前回も一度行方不明になったことがある。
その時はボロい布を繋ぎ合わせたかのような酷い着物を着て、ボロボロの髪に、痛々しい肌…。
近所でも有名の女神…ゲフンゲフンッ。有名の美少女は悲しきかな、酷い姿になって帰ってきた。
そんな姉は連れ去られた時の話を一切覚えておらず、一緒に行方不明になった姉ちゃんの親友の葵さんのことも思い出せないと言ったそうだ。
でも、目の前にいるもう一人の姉、『梅』はそのことを否定する。
桜姉ちゃんは、地球とは別の世界に連れていかれていたのだと教えられた。
いや、どういう状況だよそれ。
「えぇ。あっちの世界というのはね、『妖恋物語~あなたとまた巡り合う~』という乙女ゲームの世界のことよ。」
もう帰ろうかな。
この人『転生物』とか大好きなオタクなんだよな。
行方不明になった桜姉ちゃんのこと心配しろよ、血の繋がった大切な妹だろ?
「あのなぁ…梅姉さん、桜姉ちゃんのこと本気で心配しろよ!またそんな阿保みてぇなはな…し…。え?なんでゲーム名まで指定なの?」
おかしいぞ、なんでゲーム名まで指定なんだよ。
普通『たぶんどっかの乙女ゲーム』とか言う所なんじゃないのか?
「なぜならこのゲームをのストーリーを作ったのは私だからよ。いえ、真実これはストーリーというよりは私の前世の歴史の話なのだけどね。」
「帰ります。ここは姉らしく僕の分まで払ってくださいね。」
鞄…教科書などが入っているリュックサックをもって、立ち上がる。
桜姉ちゃんの大学の寮までいこう。新幹線に乗って、桜姉ちゃんを探しに行くんだ。
もしかしたら、近くにいるだけかもしれない。
立ち上がって、リュックサックを背中に背負った時だった。
梅姉さんが真剣にパフェを食べていた手を止め、僕のリュックサックの紐を掴んだ。
「私…逆転生者なの。…そしてこのゲームの『桜』という少女の子孫なのよ。だから、私はこのゲーム…いいえあっちの世界の次のストーリーを知っているわ。桜はあっちの『朧』という男と恋に落ちて結婚するの。そして…」
「はっ?姉ちゃん誰と結婚するって?!」
「あんた、なんでそこに反応するのよ。別の所に反応しなさいよ。」
僕の麗しの姉ちゃんが誰と結婚するんだってコノヤロー!?
って…。姉さんが姉ちゃんの子孫…?
嘘だろ?じゃあ、どこに置いてきたんだよあの女神のような麗しい輝きを。
「全部声に出てるからね。ってか、私も十分美人だろうが!ったく。
つまりは…よ?私にとってはここが別世界なわけなんだけど、妹の桜が生まれて、物心がついた時に私は思い出したのよ。前世の記憶をね。
私はあっちの世界で普通に生きて死んだんだけど、御先祖様の話を死ぬほど聞かされたの。お陰様でばっちり桜の運命を知っているわ。
いいえ、知っていたはずだったの。でも、予想外のイレギュラーが入ってしまったのよ…。このままでは桜が危ないかもしれない。そこで、手伝ってくれるわよね?凪。」
「全然内容に追いつけない、かつ、桜姉ちゃんの為なら何でもして見せますよ、とだけは答えておこう。
いくつか確認したい点があるんだけど…。
まず、なんで乙女ゲームにしたんだよ。おかしいだろ?桜姉ちゃんがその、おぼ…なんだっけ?その男と結婚することが決まっているのなら、別に他のルート必要なくないか?」
もう一度背負ったリュックを置いて、席に座り直す。
話の内容は全然理解できない。
長女は、別世界の前世を持っていて、しかも次女(桜姉ちゃん)の子孫だって言ってる。
次女は、別世界の所で男を作って(羨ましいなコノヤロー!!)長女(梅姉さん)の先祖を生むらしい。
「私だって初めは編集者に嫌がったわよ。前世の先祖とはいえ、可愛い妹をなんで他の周りにいるだけの護衛共にアン。キャンッ!させなくちゃいけないのかってね。
でも、ゲーム的にルートはたくさん作らなくちゃいけないって言われたから、前世の歴史を思い出してその人物達のルートを死ぬ気で考えたのよ。過去とか少し捏造あるけど、ある程度は合ってるし…。それに、お金足りなかったし欲しかった物あったんだもん…別に本人にバレなきゃいいと思って。」
「え?なにその『アン。キャンッ!』ってまるで十八禁みたいな言い方…。」
「そうよ、十八禁ゲームなの。仕方ないでしょ?歴史もズッコンバッコンして、『影憑き』という恐ろしい化け物を封印したんだから、そこは忠実に再現しないとね。それに、十八禁ゲームってめちゃめちゃ売れるのよ。」
「桜姉ちゃんをそんな風な目で…。この姉、本当に恐ろしいなっ!?」
自分の前世の先祖を題材に金稼ぎするだけでは止まらず、そのまま前世の先祖…現代の妹を十八禁ゲームの主人公にして色々ヤラれる場面を想像するだなんて…。
梅姉さん桜姉ちゃんに知られたら首絞められるぞっ?!
「まぁまぁ。私にとっては前世の先祖の話なんだから。いいじゃない。それに、主人公のキャラクター名を『桜』じゃなくて『桜華』にちょこっと変えたから、ギリセーフよ。」
なぁ~にが、『ギリセーフよ。』だ!信じられん!てか、一文字増やしただけかよっ!!
ったく、前世の記憶を使ってフルチートを使って無双するとか、新しい需要のある商品の開発とか聞いたことあるけど、前世の記憶を使ってエロゲー(十八禁ゲーム)作る奴初めて聞いたよ!
誰だよそんなおかしな奴?!
僕の姉さんだよコノヤロー!!
ん?いやいや…
そしたらだ、時系列がおかしくないか…?
梅姉さんの前世は、桜姉ちゃんを先祖にもつ人物だった…。
「その話が本当なら、じゃあなんで梅姉さんと桜姉ちゃんが姉妹として誕生…出会うんだよ。時系列がおかしいだろ?」
「そこなのよ。たぶん…の話になるんだけど、ここと私の前世の世界、今は『乙女ゲーム世界』と呼びましょう。乙女ゲーム世界の時の流れはここの地球の世界とは違うということよ。」
「でも、姉ちゃんはしっかりと1年間歳を取って帰ってきたぞ?」
「えぇ。つまりは桜はパラレルワールドに巻き込まれているのよ。」
パラレルワールド…。
それは言わば似て異なる世界。
例えば、昨日食べた朝食をご飯にした世界か、パンにした世界のような本当に些細な違いの世界。
それでも些細な違いがあるまったくの別世界。
「世界のというのは縦…いわば過去・今・未来などと、横…昨日食べたパンが米粉か、小麦粉だった場合の世界が交差して沢山あるのよ。私たちはその縦と横の交差する場所に生きている。つまりは、私たちの運命はある程度決まっているのよ。
勿論、他のファンタジーな世界も横に沢山あるわ。随分と地球とは距離があるけどね。
通常は地球の世界と、他の異世界は、重なり合うことはないわ。意識することも感じることも不可能。
だけど、別世界には『召喚』と呼ばれる特別な力が存在して、その力をもってこの地球から人物達を呼び出しているわ。
この地球にある色々な異世界話の中には、本当の話が紛れ込んでいる…。読んでいて面白いわよね。おっと、話が脱線したわ。」
『召喚』…。
確かに、トラックに轢かれて…だとか。猫を追いかけたらそのまま。だとか。
病気死だとか、過労死だとかの末、異世界召喚、異世界転生とか話にあるけど、中には本当の話が紛れ込んでいるのか…。
ロマンがあるような、ないような…。
「地球には召喚なんて魅力的な力ないんだけど?」
「地球には召喚なんて力がない代わりに、召喚される才能がある人物が多いわ。勇者だとか聖女だとかどこかの歴史に残る御令嬢だとか悪役…桜みたいに巫女だったりね。
ある意味いろんな世界に呼ばれるのも一種の魅力だわ。それに、人以上に恐ろしい生物がいないこの世界には魔法や術なんてモノ必要ないもの。発展しないのは当然よね。
御かげで、秘めた力を持っている勇者や聖女などの強力な力を閉じ込めることに成功している世界がこの地球よ。この地球はいろんな世界の助っ人を生み出し、その力を封印する役割があるのよ。」
まぁ、確かに異世界人を召喚しなくちゃいけないくらい危険な世界ではないだけマシなのか。人と人の争いの絶えない世界だけどな。
魔法がもし、かつてあったとしても、それが発展しないのは当然だ。
そのおかげて、力を持っているどこかの世界で召喚される予定の勇者とかの力が封印されているらしい。そんな力があってもこの地球では迷惑この上ないので、確かにこの世界はある意味封印に向いている世界なのかもしれない。
「話を戻すわね、一度目の召喚の時にここの世界の桜が選ばれてしまって、私の知っている歴史よりも桜が数年早くあっちの世界に行ってしまったの。
ここでもう既に私の知っている縦軸の世界ではないことが分かったわ。私の知っている歴史ではゲームのストーリー通り、今年初めて召喚されるはずだった。」
縦行ったり、横行ったり忙しいなこの人。
え~…つまりは、梅姉さんから見て…。
乙女ゲームの世界が自分の世界だと考え、縦(未来・過去)の内、過去の世界に桜姉ちゃんがいて。
しかも、色々と知ってる話と違うから、考えるに横(様々なパターン世界)のどっかに桜姉ちゃんが呼ばれた…。
図にすると、たくさんの交差する線と線を描いて、右か左の斜め下に桜姉ちゃんが呼ばれたのか。
いや、ややこしすぎね?
てか理解できた僕、実は理数系か?大学は理数系に進もうかな。
「だから具体的に言うと、私たちの桜は私の前世の先祖とはまた別人なのかもしれないわ。
でも、大まかな歴史は絶対に変わらないはずなのよ。だから安心していた。
例え、桜が召喚されても巫女として活躍してもしなくても、朧っていう妖と赤い契りを交わし…恋に落ちて幸せになる…。とね。」
「そうなるんじゃないのか?」
桜姉ちゃんが幸せになるなら俺は離れていても…構わないけど…。いや本当は少し寂しいんだけどさ。
でもそういえば梅姉さんは言った。『桜が危ないかもしれない』と。
どういうことなんだ…?
「どの未来でも、どの世界線でも大抵は同じ運命を辿ると私は言ったわ。つまりは登場人物は増えることはないの。
どの世界においても、そこの世界の運命の為に生きる人物達は始めから決まっていて、増えることも減ることもない…。これが運命のルール。
でも、今回問題が発生しているわ。イレギュラーな存在…桜の親友である『葵』さんという乙女ゲーム世界の歴史には存在していない人物が登場してしまっているのよ。」
「なんで人数が増えちゃダメなんだよ?別にいいじゃん。」
「当たり前でしょう?一人ひとり役割があるのよ。全員が人生の主役であり、脇役なの。自分の役という枠に入っている。一つの枠に二人は入れない、一人はその枠から弾け出されてしまうのよ。
弾き出されるのが、私の桜なのか、桜の親友の葵さんになるのかは分からない。そこが問題よ。
これは予想の話にすぎないけれど、一番可能性が高い話よ。
おそらく、葵さんを乙女ゲーム世界に呼んだのは別の世界の住人よ。葵さんは本来は別の世界に召喚されるはずだったのかもしれない。それが今回交差してしまったのよ。
葵さんは高校一年生で乙女ゲーム世界とも違うどこか別の世界に召喚される予定の人物だった。そして桜は今年二四歳で乙女ゲーム世界に召喚される予定の人物。
この二人が同じ地球とは違う異世界にいる。これは由々しき事態よ。」
葵さんは桜姉ちゃんの親友だ。
スポーツ万能の桜姉ちゃんと違って、葵さんは美術部だった。
そんな葵さんを異世界に置いてきてしまった罪悪感からか、桜姉ちゃんは葵さんが目標としてた芸術大学に入った。それくらい信頼があって信用がある…お互いの絆が深い友人同士だったはずだ。
確かに、二人召喚されてしまったのは可笑しな話かもしれないが、別に葵さんが増えたところで何の問題もないように思える。
だって、普通の人間じゃないか。なんの力も持たない…。
何の力も持たない?
梅姉さんは言った、この地球という世界は召喚されるというステータスがある世界だ…と。
中には勇者や聖女、どこかの歴史に残る令嬢やら、悪役などがいるのだと。
そんな秘めた力を持っている人物がこの封印に向いている世界から抜け出して、呼ばれてもいない…役割の枠もない世界に召喚されたらどうなるのか…。
秘められた力が解放されてしまって、歴史を変えてしまうのでは…?
「そうよ、凪が考えてるようにどこかの世界に召喚されるはずだった葵さんは何らかの力を持っているはずよ。
本来呼ばれるはずだった世界での役割もわからない…。最悪の場合、悪役だったりするわ。
葵さんがどんな力を持っているかわからない状況の中、残念ながら予定通りに乙女ゲーム世界に入ってしまった桜は自分の役割を果たそうと…果たさせようと世界が強制的に働くはずよ。
二人は巫女として呼ばれた可能性が高いわ。つまりは、葵さんは自分が巫女だと信じている、又は信じ込むことで自分を保っているのだとしたら、今は『巫女という枠』に二人が入っている状況のままなの。
このままだとお互いが衝突し合って、どちらかが枠から弾き出されない限り争いが終わらないはずよ。」
「親友同士を争わせるのか?!しかも、どっちもとんでもない力を持っているだなんて…。姉ちゃんが枠の人物なんだろ?もし枠から外されたらどうなるんだよ?」
「桜が枠から外されたら、運命が全て壊れてしまうわ。なんて言ったって、本当の役割を果たせるのは本人だけなんだからね、他の人がその枠に入ったら、その枠は役割を失ってしまうわ。
運命が壊れてしまったら、私の存在も消えるかもしれないし、他の人物や世界にも影響が出るでしょうね。
既に、葵さんが行くはずだった別世界は影響が出ているはずよ。地球にはまだ影響が出ていないだけ。
それに、弾き出された桜は、存在そのものを木端微塵にされてしまうかもしれないわ。」
最悪じゃねぇかよ。
僕の周り問題しかないの?!
「そうならない為にも、手伝ってくれるでしょ?」
「そっか、そういえば『手伝って』って…。つまりは、何か手段があるんだろ?!なんでもするよ!桜姉ちゃんを助けるためならなんでもする。」
僕の意志は固い。僕の女神のような桜姉ちゃんを助けるためにも…世界は…どうでもいいか。
僕の意志を受け取った梅姉さんはうんうん、と何度も頻りに頷くと、満足そうにいい笑顔で言い放った。
「えぇ、凪ならそう言ってくれると思っていたわ!その意気よ。
じゃ、凪にはちょっと異世界に行ってもらおうかしら。」
「は?」
召喚されない限り異世界に行けないって貴方さっき自分で言った言葉をお忘れで?
「うん、たぶんまた『あっちの世界』に行ってるんだと思うの。」
カフェに呼び出された高校生男子は、目の前に座ってドでかいパフェを細いスプーンで器用に食べている姉を見た。
僕の名前は日暮 凪(ひぐらし なぎさ)高校1年生になった分類的には可愛い顔してる男だ。
目の前にいるのは二人いる姉の内、長女の方。日暮 梅(ひぐらし うめ)。三十歳になったけどいまだ結婚の文字が見えない、その話をすれば鬼になる女…僕の姉だ。
「で?前々から聞きたかったんだけどその『あっちの世界』ってどこなの。」
もう一人の姉が先日から連絡がぱったり取れなくなった。もう一人の姉の名は、『日暮 桜』。
いなくなった姉は芸術大学生で、二十四歳になる。僕らの姉弟の中で一番の美人で、超絶可愛くて、姉弟じゃなかったら絶対惚れてたレベルで性格がいい。いや、惚れてるかもしれない。
まじでモデルか芸能人か、アイドルか…あのAIで流行りの女子の絵みたいな顔とスタイルしてる姉だ。
高校の時はあらゆる男子生徒が狙っていたが、お互いにお互いを牽制しまくったせいで、誰も告白することできず、そのまま姉は大学へ…。
大学で彼氏ができたが、超がつくほどのクズ男。
男の方から別れたらしいが、また男の方から復縁を望んでいるらしい。お前から別れたなら、今更姉ちゃんにまた寄り添うなよクズ男!と心の底から思っていた今日この頃だったのだが…。
また桜姉ちゃんが行方不明らしい。
また、ということは、御察しの通り…前回も一度行方不明になったことがある。
その時はボロい布を繋ぎ合わせたかのような酷い着物を着て、ボロボロの髪に、痛々しい肌…。
近所でも有名の女神…ゲフンゲフンッ。有名の美少女は悲しきかな、酷い姿になって帰ってきた。
そんな姉は連れ去られた時の話を一切覚えておらず、一緒に行方不明になった姉ちゃんの親友の葵さんのことも思い出せないと言ったそうだ。
でも、目の前にいるもう一人の姉、『梅』はそのことを否定する。
桜姉ちゃんは、地球とは別の世界に連れていかれていたのだと教えられた。
いや、どういう状況だよそれ。
「えぇ。あっちの世界というのはね、『妖恋物語~あなたとまた巡り合う~』という乙女ゲームの世界のことよ。」
もう帰ろうかな。
この人『転生物』とか大好きなオタクなんだよな。
行方不明になった桜姉ちゃんのこと心配しろよ、血の繋がった大切な妹だろ?
「あのなぁ…梅姉さん、桜姉ちゃんのこと本気で心配しろよ!またそんな阿保みてぇなはな…し…。え?なんでゲーム名まで指定なの?」
おかしいぞ、なんでゲーム名まで指定なんだよ。
普通『たぶんどっかの乙女ゲーム』とか言う所なんじゃないのか?
「なぜならこのゲームをのストーリーを作ったのは私だからよ。いえ、真実これはストーリーというよりは私の前世の歴史の話なのだけどね。」
「帰ります。ここは姉らしく僕の分まで払ってくださいね。」
鞄…教科書などが入っているリュックサックをもって、立ち上がる。
桜姉ちゃんの大学の寮までいこう。新幹線に乗って、桜姉ちゃんを探しに行くんだ。
もしかしたら、近くにいるだけかもしれない。
立ち上がって、リュックサックを背中に背負った時だった。
梅姉さんが真剣にパフェを食べていた手を止め、僕のリュックサックの紐を掴んだ。
「私…逆転生者なの。…そしてこのゲームの『桜』という少女の子孫なのよ。だから、私はこのゲーム…いいえあっちの世界の次のストーリーを知っているわ。桜はあっちの『朧』という男と恋に落ちて結婚するの。そして…」
「はっ?姉ちゃん誰と結婚するって?!」
「あんた、なんでそこに反応するのよ。別の所に反応しなさいよ。」
僕の麗しの姉ちゃんが誰と結婚するんだってコノヤロー!?
って…。姉さんが姉ちゃんの子孫…?
嘘だろ?じゃあ、どこに置いてきたんだよあの女神のような麗しい輝きを。
「全部声に出てるからね。ってか、私も十分美人だろうが!ったく。
つまりは…よ?私にとってはここが別世界なわけなんだけど、妹の桜が生まれて、物心がついた時に私は思い出したのよ。前世の記憶をね。
私はあっちの世界で普通に生きて死んだんだけど、御先祖様の話を死ぬほど聞かされたの。お陰様でばっちり桜の運命を知っているわ。
いいえ、知っていたはずだったの。でも、予想外のイレギュラーが入ってしまったのよ…。このままでは桜が危ないかもしれない。そこで、手伝ってくれるわよね?凪。」
「全然内容に追いつけない、かつ、桜姉ちゃんの為なら何でもして見せますよ、とだけは答えておこう。
いくつか確認したい点があるんだけど…。
まず、なんで乙女ゲームにしたんだよ。おかしいだろ?桜姉ちゃんがその、おぼ…なんだっけ?その男と結婚することが決まっているのなら、別に他のルート必要なくないか?」
もう一度背負ったリュックを置いて、席に座り直す。
話の内容は全然理解できない。
長女は、別世界の前世を持っていて、しかも次女(桜姉ちゃん)の子孫だって言ってる。
次女は、別世界の所で男を作って(羨ましいなコノヤロー!!)長女(梅姉さん)の先祖を生むらしい。
「私だって初めは編集者に嫌がったわよ。前世の先祖とはいえ、可愛い妹をなんで他の周りにいるだけの護衛共にアン。キャンッ!させなくちゃいけないのかってね。
でも、ゲーム的にルートはたくさん作らなくちゃいけないって言われたから、前世の歴史を思い出してその人物達のルートを死ぬ気で考えたのよ。過去とか少し捏造あるけど、ある程度は合ってるし…。それに、お金足りなかったし欲しかった物あったんだもん…別に本人にバレなきゃいいと思って。」
「え?なにその『アン。キャンッ!』ってまるで十八禁みたいな言い方…。」
「そうよ、十八禁ゲームなの。仕方ないでしょ?歴史もズッコンバッコンして、『影憑き』という恐ろしい化け物を封印したんだから、そこは忠実に再現しないとね。それに、十八禁ゲームってめちゃめちゃ売れるのよ。」
「桜姉ちゃんをそんな風な目で…。この姉、本当に恐ろしいなっ!?」
自分の前世の先祖を題材に金稼ぎするだけでは止まらず、そのまま前世の先祖…現代の妹を十八禁ゲームの主人公にして色々ヤラれる場面を想像するだなんて…。
梅姉さん桜姉ちゃんに知られたら首絞められるぞっ?!
「まぁまぁ。私にとっては前世の先祖の話なんだから。いいじゃない。それに、主人公のキャラクター名を『桜』じゃなくて『桜華』にちょこっと変えたから、ギリセーフよ。」
なぁ~にが、『ギリセーフよ。』だ!信じられん!てか、一文字増やしただけかよっ!!
ったく、前世の記憶を使ってフルチートを使って無双するとか、新しい需要のある商品の開発とか聞いたことあるけど、前世の記憶を使ってエロゲー(十八禁ゲーム)作る奴初めて聞いたよ!
誰だよそんなおかしな奴?!
僕の姉さんだよコノヤロー!!
ん?いやいや…
そしたらだ、時系列がおかしくないか…?
梅姉さんの前世は、桜姉ちゃんを先祖にもつ人物だった…。
「その話が本当なら、じゃあなんで梅姉さんと桜姉ちゃんが姉妹として誕生…出会うんだよ。時系列がおかしいだろ?」
「そこなのよ。たぶん…の話になるんだけど、ここと私の前世の世界、今は『乙女ゲーム世界』と呼びましょう。乙女ゲーム世界の時の流れはここの地球の世界とは違うということよ。」
「でも、姉ちゃんはしっかりと1年間歳を取って帰ってきたぞ?」
「えぇ。つまりは桜はパラレルワールドに巻き込まれているのよ。」
パラレルワールド…。
それは言わば似て異なる世界。
例えば、昨日食べた朝食をご飯にした世界か、パンにした世界のような本当に些細な違いの世界。
それでも些細な違いがあるまったくの別世界。
「世界のというのは縦…いわば過去・今・未来などと、横…昨日食べたパンが米粉か、小麦粉だった場合の世界が交差して沢山あるのよ。私たちはその縦と横の交差する場所に生きている。つまりは、私たちの運命はある程度決まっているのよ。
勿論、他のファンタジーな世界も横に沢山あるわ。随分と地球とは距離があるけどね。
通常は地球の世界と、他の異世界は、重なり合うことはないわ。意識することも感じることも不可能。
だけど、別世界には『召喚』と呼ばれる特別な力が存在して、その力をもってこの地球から人物達を呼び出しているわ。
この地球にある色々な異世界話の中には、本当の話が紛れ込んでいる…。読んでいて面白いわよね。おっと、話が脱線したわ。」
『召喚』…。
確かに、トラックに轢かれて…だとか。猫を追いかけたらそのまま。だとか。
病気死だとか、過労死だとかの末、異世界召喚、異世界転生とか話にあるけど、中には本当の話が紛れ込んでいるのか…。
ロマンがあるような、ないような…。
「地球には召喚なんて魅力的な力ないんだけど?」
「地球には召喚なんて力がない代わりに、召喚される才能がある人物が多いわ。勇者だとか聖女だとかどこかの歴史に残る御令嬢だとか悪役…桜みたいに巫女だったりね。
ある意味いろんな世界に呼ばれるのも一種の魅力だわ。それに、人以上に恐ろしい生物がいないこの世界には魔法や術なんてモノ必要ないもの。発展しないのは当然よね。
御かげで、秘めた力を持っている勇者や聖女などの強力な力を閉じ込めることに成功している世界がこの地球よ。この地球はいろんな世界の助っ人を生み出し、その力を封印する役割があるのよ。」
まぁ、確かに異世界人を召喚しなくちゃいけないくらい危険な世界ではないだけマシなのか。人と人の争いの絶えない世界だけどな。
魔法がもし、かつてあったとしても、それが発展しないのは当然だ。
そのおかげて、力を持っているどこかの世界で召喚される予定の勇者とかの力が封印されているらしい。そんな力があってもこの地球では迷惑この上ないので、確かにこの世界はある意味封印に向いている世界なのかもしれない。
「話を戻すわね、一度目の召喚の時にここの世界の桜が選ばれてしまって、私の知っている歴史よりも桜が数年早くあっちの世界に行ってしまったの。
ここでもう既に私の知っている縦軸の世界ではないことが分かったわ。私の知っている歴史ではゲームのストーリー通り、今年初めて召喚されるはずだった。」
縦行ったり、横行ったり忙しいなこの人。
え~…つまりは、梅姉さんから見て…。
乙女ゲームの世界が自分の世界だと考え、縦(未来・過去)の内、過去の世界に桜姉ちゃんがいて。
しかも、色々と知ってる話と違うから、考えるに横(様々なパターン世界)のどっかに桜姉ちゃんが呼ばれた…。
図にすると、たくさんの交差する線と線を描いて、右か左の斜め下に桜姉ちゃんが呼ばれたのか。
いや、ややこしすぎね?
てか理解できた僕、実は理数系か?大学は理数系に進もうかな。
「だから具体的に言うと、私たちの桜は私の前世の先祖とはまた別人なのかもしれないわ。
でも、大まかな歴史は絶対に変わらないはずなのよ。だから安心していた。
例え、桜が召喚されても巫女として活躍してもしなくても、朧っていう妖と赤い契りを交わし…恋に落ちて幸せになる…。とね。」
「そうなるんじゃないのか?」
桜姉ちゃんが幸せになるなら俺は離れていても…構わないけど…。いや本当は少し寂しいんだけどさ。
でもそういえば梅姉さんは言った。『桜が危ないかもしれない』と。
どういうことなんだ…?
「どの未来でも、どの世界線でも大抵は同じ運命を辿ると私は言ったわ。つまりは登場人物は増えることはないの。
どの世界においても、そこの世界の運命の為に生きる人物達は始めから決まっていて、増えることも減ることもない…。これが運命のルール。
でも、今回問題が発生しているわ。イレギュラーな存在…桜の親友である『葵』さんという乙女ゲーム世界の歴史には存在していない人物が登場してしまっているのよ。」
「なんで人数が増えちゃダメなんだよ?別にいいじゃん。」
「当たり前でしょう?一人ひとり役割があるのよ。全員が人生の主役であり、脇役なの。自分の役という枠に入っている。一つの枠に二人は入れない、一人はその枠から弾け出されてしまうのよ。
弾き出されるのが、私の桜なのか、桜の親友の葵さんになるのかは分からない。そこが問題よ。
これは予想の話にすぎないけれど、一番可能性が高い話よ。
おそらく、葵さんを乙女ゲーム世界に呼んだのは別の世界の住人よ。葵さんは本来は別の世界に召喚されるはずだったのかもしれない。それが今回交差してしまったのよ。
葵さんは高校一年生で乙女ゲーム世界とも違うどこか別の世界に召喚される予定の人物だった。そして桜は今年二四歳で乙女ゲーム世界に召喚される予定の人物。
この二人が同じ地球とは違う異世界にいる。これは由々しき事態よ。」
葵さんは桜姉ちゃんの親友だ。
スポーツ万能の桜姉ちゃんと違って、葵さんは美術部だった。
そんな葵さんを異世界に置いてきてしまった罪悪感からか、桜姉ちゃんは葵さんが目標としてた芸術大学に入った。それくらい信頼があって信用がある…お互いの絆が深い友人同士だったはずだ。
確かに、二人召喚されてしまったのは可笑しな話かもしれないが、別に葵さんが増えたところで何の問題もないように思える。
だって、普通の人間じゃないか。なんの力も持たない…。
何の力も持たない?
梅姉さんは言った、この地球という世界は召喚されるというステータスがある世界だ…と。
中には勇者や聖女、どこかの歴史に残る令嬢やら、悪役などがいるのだと。
そんな秘めた力を持っている人物がこの封印に向いている世界から抜け出して、呼ばれてもいない…役割の枠もない世界に召喚されたらどうなるのか…。
秘められた力が解放されてしまって、歴史を変えてしまうのでは…?
「そうよ、凪が考えてるようにどこかの世界に召喚されるはずだった葵さんは何らかの力を持っているはずよ。
本来呼ばれるはずだった世界での役割もわからない…。最悪の場合、悪役だったりするわ。
葵さんがどんな力を持っているかわからない状況の中、残念ながら予定通りに乙女ゲーム世界に入ってしまった桜は自分の役割を果たそうと…果たさせようと世界が強制的に働くはずよ。
二人は巫女として呼ばれた可能性が高いわ。つまりは、葵さんは自分が巫女だと信じている、又は信じ込むことで自分を保っているのだとしたら、今は『巫女という枠』に二人が入っている状況のままなの。
このままだとお互いが衝突し合って、どちらかが枠から弾き出されない限り争いが終わらないはずよ。」
「親友同士を争わせるのか?!しかも、どっちもとんでもない力を持っているだなんて…。姉ちゃんが枠の人物なんだろ?もし枠から外されたらどうなるんだよ?」
「桜が枠から外されたら、運命が全て壊れてしまうわ。なんて言ったって、本当の役割を果たせるのは本人だけなんだからね、他の人がその枠に入ったら、その枠は役割を失ってしまうわ。
運命が壊れてしまったら、私の存在も消えるかもしれないし、他の人物や世界にも影響が出るでしょうね。
既に、葵さんが行くはずだった別世界は影響が出ているはずよ。地球にはまだ影響が出ていないだけ。
それに、弾き出された桜は、存在そのものを木端微塵にされてしまうかもしれないわ。」
最悪じゃねぇかよ。
僕の周り問題しかないの?!
「そうならない為にも、手伝ってくれるでしょ?」
「そっか、そういえば『手伝って』って…。つまりは、何か手段があるんだろ?!なんでもするよ!桜姉ちゃんを助けるためならなんでもする。」
僕の意志は固い。僕の女神のような桜姉ちゃんを助けるためにも…世界は…どうでもいいか。
僕の意志を受け取った梅姉さんはうんうん、と何度も頻りに頷くと、満足そうにいい笑顔で言い放った。
「えぇ、凪ならそう言ってくれると思っていたわ!その意気よ。
じゃ、凪にはちょっと異世界に行ってもらおうかしら。」
「は?」
召喚されない限り異世界に行けないって貴方さっき自分で言った言葉をお忘れで?
0
あなたにおすすめの小説
聖女を解雇された私のハーレム奮闘記
小村辰馬
恋愛
聖女として召喚されて3年が経過したある日、国の邪気は根絶されたので、城から出ていくように告げられた。
ついでに新たな命として、隣国の王子の妃候補として、住み込みで入城するよう言い渡される。
元の世界へ帰ることもできず、かと言って働きたくもない。というか、王宮で散々自堕落を繰り返していたので今更働くのとか無理!
だったら入ってやろうじゃないのハーレムへ!
働くことが嫌いな怠惰な主人公が、お付きの騎士と一緒に他国の女の園で頑張ったり頑張らなかったりするお話。
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
わたしのヤンデレ吸引力が強すぎる件
こいなだ陽日
恋愛
病んだ男を引き寄せる凶相を持って生まれてしまったメーシャ。ある日、暴漢に襲われた彼女はアルと名乗る祭司の青年に助けられる。この事件と彼の言葉をきっかけにメーシャは祭司を目指した。そうして二年後、試験に合格した彼女は実家を離れ研修生活をはじめる。しかし、そこでも彼女はやはり病んだ麗しい青年たちに淫らに愛され、二人の恋人を持つことに……。しかも、そんな中でかつての恩人アルとも予想だにせぬ再会を果たして――!?
偶然同じ集合住宅の同じ階に住んでいるだけなのに、有名な美形魔法使いに付き纏いする熱烈なファンだと完全に勘違いされていた私のあやまり。
待鳥園子
恋愛
同じ集合住宅で同じ階に住んでいた美形魔法使い。たまに帰り道が一緒になるだけなんだけど、絶対あの人私を熱烈な迷惑ファンだと勘違いしてる!
誤解を解きたくても、嫌がられて避けられている気もするし……と思っていたら、彼の部屋に連れ込まれて良くわからない事態になった話。
襲われていた美男子を助けたら溺愛されました
茜菫
恋愛
伯爵令嬢でありながら公爵家に仕える女騎士イライザの元に縁談が舞い込んだ。
相手は五十歳を越え、すでに二度の結婚歴があるラーゼル侯爵。
イライザの実家であるラチェット伯爵家はラーゼル侯爵に多額の借金があり、縁談を突っぱねることができなかった。
なんとか破談にしようと苦慮したイライザは結婚において重要視される純潔を捨てようと考えた。
相手をどうしようかと悩んでいたイライザは町中で言い争う男女に出くわす。
イライザが女性につきまとわれて危機に陥っていた男ミケルを助けると、どうやら彼に気に入られたようで……
「僕……リズのこと、好きになっちゃったんだ」
「……は?」
ムーンライトノベルズにも投稿しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【短編完結】元聖女は聖騎士の執着から逃げられない 聖女を辞めた夜、幼馴染の聖騎士に初めてを奪われました
えびのおすし
恋愛
瘴気を祓う任務を終え、聖女の務めから解放されたミヤ。
同じく役目を終えた聖女たちと最後の女子会を開くことに。
聖女セレフィーナが王子との婚約を決めたと知り、彼女たちはお互いの新たな門出を祝い合う。
ミヤには、ずっと心に秘めていた想いがあった。
相手は、幼馴染であり専属聖騎士だったカイル。
けれど、その気持ちを告げるつもりはなかった。
女子会を終え、自室へ戻ったミヤを待っていたのはカイルだった。
いつも通り無邪気に振る舞うミヤに、彼は思いがけない熱を向けてくる。
――きっとこれが、カイルと過ごす最後の夜になる。
彼の真意が分からないまま、ミヤはカイルを受け入れた。
元聖女と幼馴染聖騎士の、鈍感すれ違いラブ。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる