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89 変わらぬ想い
「それで、勇司くんにこっちにきてもらうための方法なんだけどね」
『ああ』
「そっちでしてもらうことは、とくにないんだよね。待機でよろしく」
『……は?』
ノアの言葉に、勇司が拍子抜けしたような声を漏らす。
「これはあくまでただの意思確認だからね」
ノアはちょっと意地悪そうに笑って言った。
これで女神に対する措置が決まったと。
「時が来るまでは、今まで通りそっちで生活しててほしい。お別れしときたい人がいるなら、会いに行ってもいいかもね」
『時が来るまで?』
「そう。今のこの世界は女神の管轄下にある。そこに勇司くんを転移させると、すぐに勘付かれるはずだ。だから事前に女神をどうにかする必要がある」
『なるほど』
「こっちの対処が済んだら、また連絡するよ」
『わかった。よろしく頼む』
勇司が頭を下げる。
するとノアがにまにまと笑い「そろそろ限界かな?」と呟いた。
勇司が『なにが……』っと問いかける間に、ノアがそっとロエナに手招きをする。
ロエナは緊張した面持ちで、勇司の映るモニターに近づいた。
勇司と目があった瞬間、ロエナの瞳に涙が浮かんだ。
勇司は心底驚いた様子で、愛する女性の名前を呼ぶ。
『ロエナ……』
「ユージ……。あなた、何で若返ってるのよ。……私のほうが年上になっちゃったじゃない……」
『こっちに帰ってきたら、鍛える前に戻されちまって……ていうか、年上?』
「私、もう25よ」
『は?!』
衝撃を受ける勇司に、ロエナは少し傷ついたような顔をした。
この国では、結婚相手には年上の男性、年下の女性が好まれるという。
自分が年上になったことで、勇司の心が離れてしまうのではないかと不安になったのかもしれない。
そういう心配は不要だろうと思ったが、野暮になるので黙っておく。
『わっっっか!』
思い切り溜め込んで、勇司が言った。
「……え?」
ロエナは勇司の言葉に戸惑い、困ったように視線を泳がせた。
『いっしょに旅してた頃とまったく変わってねえじゃん!やっぱあの父ちゃんの娘だからか?』
「なにそれ……」
『悪い悪い。見た目変わんないのに、年取ったって言われてびっくりしちまった』
「そ、そう」
頬を染めるロエナは、普段の凛とした様子とはまったく異なる。
まさに恋する娘そのものだ。
微笑ましく思いつつも、この場に王がいたらどんな反応をするだろうとか思う。
ちなみに俺の娘の柚乃が彼氏と甘酸っぱい会話をしていたら……数日落ち込みそうな気がする。
『あ……』
ふと勇司の顔が曇った。
そして少し寂しそうに笑う。
『25ってことは、もう結婚してるよな……。お前、王族だし……相手はどんなやつだ?ちゃんと大事にしてくれてるか?』
「……してないわ」
『……え?』
「だから、結婚!どうして私があなた以外の人と結婚するなんて思うの?」
『……っ!』
ロエナの言葉に、勇司が涙ぐむ。
目の前にいる最愛の人が、もしも人妻だったら。
そんな想像は、孤独に耐え続けてきた彼の心を苦しめたことだろう。
すぐに誤解が解かれたことに安堵する。
「ユージこそ、元の世界で恋人とか作ってたんじゃないの?」
頬を膨らませて、ロエナが言う。
勇司が否定すると、嬉しそうに笑った。
「ユージ。私は今でも変わらず、あなたのことを愛しているわ」
『……俺も』
勇司は少し照れくさそうに言った。
この場にいるのがロエナだけではないことを知っているからだろう。
人前で愛を囁くのに抵抗があるのは、同じ日本人として理解できる。
「私は、今でもあなたといっしょになりたい」
まっすぐにロエナが言った。
勇司はその言葉を慈しむように微笑み、確かに頷いた。
ロエナも嬉しそうに笑った。
『ああ』
「そっちでしてもらうことは、とくにないんだよね。待機でよろしく」
『……は?』
ノアの言葉に、勇司が拍子抜けしたような声を漏らす。
「これはあくまでただの意思確認だからね」
ノアはちょっと意地悪そうに笑って言った。
これで女神に対する措置が決まったと。
「時が来るまでは、今まで通りそっちで生活しててほしい。お別れしときたい人がいるなら、会いに行ってもいいかもね」
『時が来るまで?』
「そう。今のこの世界は女神の管轄下にある。そこに勇司くんを転移させると、すぐに勘付かれるはずだ。だから事前に女神をどうにかする必要がある」
『なるほど』
「こっちの対処が済んだら、また連絡するよ」
『わかった。よろしく頼む』
勇司が頭を下げる。
するとノアがにまにまと笑い「そろそろ限界かな?」と呟いた。
勇司が『なにが……』っと問いかける間に、ノアがそっとロエナに手招きをする。
ロエナは緊張した面持ちで、勇司の映るモニターに近づいた。
勇司と目があった瞬間、ロエナの瞳に涙が浮かんだ。
勇司は心底驚いた様子で、愛する女性の名前を呼ぶ。
『ロエナ……』
「ユージ……。あなた、何で若返ってるのよ。……私のほうが年上になっちゃったじゃない……」
『こっちに帰ってきたら、鍛える前に戻されちまって……ていうか、年上?』
「私、もう25よ」
『は?!』
衝撃を受ける勇司に、ロエナは少し傷ついたような顔をした。
この国では、結婚相手には年上の男性、年下の女性が好まれるという。
自分が年上になったことで、勇司の心が離れてしまうのではないかと不安になったのかもしれない。
そういう心配は不要だろうと思ったが、野暮になるので黙っておく。
『わっっっか!』
思い切り溜め込んで、勇司が言った。
「……え?」
ロエナは勇司の言葉に戸惑い、困ったように視線を泳がせた。
『いっしょに旅してた頃とまったく変わってねえじゃん!やっぱあの父ちゃんの娘だからか?』
「なにそれ……」
『悪い悪い。見た目変わんないのに、年取ったって言われてびっくりしちまった』
「そ、そう」
頬を染めるロエナは、普段の凛とした様子とはまったく異なる。
まさに恋する娘そのものだ。
微笑ましく思いつつも、この場に王がいたらどんな反応をするだろうとか思う。
ちなみに俺の娘の柚乃が彼氏と甘酸っぱい会話をしていたら……数日落ち込みそうな気がする。
『あ……』
ふと勇司の顔が曇った。
そして少し寂しそうに笑う。
『25ってことは、もう結婚してるよな……。お前、王族だし……相手はどんなやつだ?ちゃんと大事にしてくれてるか?』
「……してないわ」
『……え?』
「だから、結婚!どうして私があなた以外の人と結婚するなんて思うの?」
『……っ!』
ロエナの言葉に、勇司が涙ぐむ。
目の前にいる最愛の人が、もしも人妻だったら。
そんな想像は、孤独に耐え続けてきた彼の心を苦しめたことだろう。
すぐに誤解が解かれたことに安堵する。
「ユージこそ、元の世界で恋人とか作ってたんじゃないの?」
頬を膨らませて、ロエナが言う。
勇司が否定すると、嬉しそうに笑った。
「ユージ。私は今でも変わらず、あなたのことを愛しているわ」
『……俺も』
勇司は少し照れくさそうに言った。
この場にいるのがロエナだけではないことを知っているからだろう。
人前で愛を囁くのに抵抗があるのは、同じ日本人として理解できる。
「私は、今でもあなたといっしょになりたい」
まっすぐにロエナが言った。
勇司はその言葉を慈しむように微笑み、確かに頷いた。
ロエナも嬉しそうに笑った。
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