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第21話 閑話 ~レイとルヴィス、ちょっとティッカ~(別視点)
レイの姿は、執務室にあった。
無言で、領地を治める貴族たちの報告書に目を通しながら、羽ペンを休みなく動かしている。
部屋に並んでいる本棚の前には、ルヴィス。何冊か手に取ると、ルミテリス王国の地図が広げられた別の机の上に、本を積み重ねた。椅子に座り、本のページをめくる。
レイが本当の意味でルミテリスの民たちと分かり合ってから、すでに十日ほどが経っていた。
城内は、すっかり落ち着いている。
聖女不在という最大の懸念が解消され、皆の気持ちが前向きになっているのが、肌でも分かるほどだ。
皆の心が希望で満ちる中、ルヴィスはページをめくる手を止めると、どこか険しい表情でレイに訊ねた。
「レイ。お前……セレスティアル様のことが好ーー」
「好きだ」
「……いや、まだ全部言ってないだろ」
全てを言い終える前に即答したレイに、ルヴィスは呆れながら突っ込んだ。大きくため息をつくと、さらに質問を重ねる。
「好きって……どの種類の好きだ?」
「決まってるだろ」
ルヴィスの質問に、レイは手に持っていた書類を勢いよく机の上に置くと、羽ペンを強く握りしめながら、きっぱりはっきり言い切った。
「一人の女性として、セレスティアルのことが好きだ。この国が落ち着いたら結婚したい。王妃として迎えたい。子どもは十人ぐらい欲しい。最愛の妻と子どもたち、たくさんの孫たちに見守られて死にたい」
「キモいキモいキモい! あと、お前の人生設計なんて知らんし!!」
眉間に深すぎる皺を刻み、得体の知れないものを見ている様子で、ルヴィスが返答した。完全に引いている。
しかしレイは、ルヴィスの困惑など気にもとめず、両腕を組みながら、自信満々に笑う。
「言っておくが、セレスティアルと俺の間に、お前が入り込む余地はないからな」
「安心しろ。余地があっても入らん」
「……はっ? 余地があっても入らないって……お前、正気か? セレスティアルだぞ?」
今度はレイの表情が、得体の知れないものを見るように、ルヴィスを凝視する。だが親友から返ってきたのは、
「……お前こそ、正気を保て」
という、返答と冷ややかすぎる視線だった。
ルヴィスの発言に、レイが眉根を寄せる。
「何が言いたい、ルヴィス。言っておくけどな。自慢じゃないが俺は、はっきり言ってくれなければ伝わらない男だぞ」
「自慢すべきところじゃないだろ、そこは」
国王としてどうなんだ……と呟きながら、ルヴィスは立ち上がると、執務机を挟んでレイと向き合った。
バンッと大きな音を立て、書類が山積みになっている机の上に、両手を付く。
一番上に乗っていた書類が、ヒラリと床に落ちたが、ルヴィスは気にとめず口を開く。
「恋愛に浮かれるのはいいが、もっと冷静になれ! じゃないと、お前の愚かな勘違いのせいで、セレスティアル様に嫌われることになっても知らんぞ」
「はっ?」
臨戦態勢をとっていたレイが、虚を突かれたように目を丸くした。薄く開いたままだった唇から発された声は、震えている。
「お、おお、俺が、セレスティアルに嫌われる? え、何故だ? 言っておくが彼女は、以前俺が『俺の傍でともにこの国を守って欲しい』って言ったとき、『嬉しい』って言ってくれたんだぞ? どう考えても、王妃になっても良いという返答……」
「社交辞令だ」
「だ、だが、お前と彼女が城を出た俺を迎えに来てくれたとき、『もう黙っていなくならないで』と……」
「社交辞令だ」
「俺が大好きだと言ったとき、私も大好きだと……」
「しゃ・こ・う・じ・れ・い・だ!! 本気にするな、馬鹿!!」
一言一句、力を込めて言われたレイは、何度も何度も、え? と呟きながら頭を抱えていたが、やっとルヴィスの言葉を理解したのか、
「嘘……だ、ろ……?」
と呟き、机の上に突っ伏してしまった。
だがルヴィスの反応は、非常に冷ややかだ。
「頭を抱えたいのは、こちらの方だ。ったく……これがこの国の主だとは……」
などと嘆かれ、レイの頭がさらに机に沈んだ。
だが、ルヴィスの呆れ顔が僅かに緩み、声色に笑いを滲ませる。
「でもまあ……お前が暴走し、自爆する前に止められて良かった。お前のことだ。放っておけば最悪、セレスティアル様に結婚式の日取りでも訊ねそうな勢いだったからな」
「…………」
予想に反してレイは、机に突っ伏したままだ。それを見たルヴィスの顔色が、みるみる青くなる。
「おい? お前……ま、さか……?」
「……未遂だ」
そう言ってレイが取り出したのは、しわくちゃになった手紙だった。
ルヴィスにも見覚えがある。レイが城を出て行く際、セレスティアルに渡す予定の手紙だったはずだ。
差し出されたそれを受け取ると、中を読む。
そこに書かれていたのは、レイが城を出る理由、そして影ながら国の安定に自分も力を尽くすこと、そしていずれ国が安定したら、必ずセレスティアルを迎えに行くから待っていて欲しい旨。最後には、ささやかではあるが結婚式を挙げたいことが書かれていた。
完全にアウトだ。
こめかみをマッサージして、頭痛を堪えながら、ルヴィスは手紙をレイに返し、心底しみじみ呟いた。
「……この手紙を渡し忘れて、ほんっっっっっとーーーーーに良かったな。これ読まれてたらお前、完全にキモい勘違い男になってたぞ」
「セレスティアルに手紙をこっそり届けに行ったとき、彼女の寝顔を見ることに夢中になってしまってな。つい本来の理由を忘れてしまった」
「……渡し忘れた理由も、充分キモかったな」
「うっ……」
痛烈すぎる突っ込みに、レイの頭がまた机の上に撃沈した。
でもまあ、最悪の事態は避けられた。
不幸中の幸いだろう。
気落ちという単語が世界一似合わない親友の頭を軽く叩きながら、ルヴィスは諭すように言う。
「まあとにかく……未遂で良かったな。これからは気をつけろよ。まだ立て直しははかれる」
「ほ、本当か!?」
勢いよく顔を上げたレイの瞳が、光り輝いている。清々しいほどの切り替えの速さだ。呆れを通り越して尊敬の念すら生まれる。
そんなことを思いながら、ルヴィスは大きく頷いた。
「まあ少なくとも、セレスティアル様からお前に対する嫌悪感は見えないからな。少しずつ距離を縮めていけば、まあ……良い感じにはなるんじゃないか?」
知らんけど、と心の中で付け加えるルヴィス。
「だけど、今までみたいに突っ走るなよ? それにこの間みたいに、好き好き言いまくるなよ?」
「はっ? 好きって言わないと、相手に伝わらないだろ?」
「お前みたいに言いまくっていたら、相手が本気だと受け取ってくれなくなるだろ。大切な言葉は、ここぞというときに言うもんだ。あと、セレスティアル様に好意を伝えたければ、お前が思っている十分の一ぐらいの熱量でいけ。キモいから」
「キモい言うな。それに十分の一だなんて、セレスティアルに全然俺の気持ちが伝わらないだろうが」
「……なら試しに私の前で、セレスティアル様が困らないとお前が思うレベルで好意を伝えてみろ」
ルヴィスの質問に、レイは沈黙をした。机の上に目線を落とし、考え込んでいる。
そのとき、
「お茶の準備が整いました。陛下、失礼いたします」
ノック音と外から入室の許可を求める声がした。
ルヴィスがドアを開けると、侍女のティッカが、茶器を用意したワゴンと一緒に立っていた。
休憩の時間のようだ。
つまらないことに時間を費やしてしまったと反省しながら、ルヴィスはティッカを部屋に招き入れた。
そのとき、
「これならどうだ、ルヴィス」
深く考え込んでいたレイが、顔を上げた。そしておもむろに立ち上がるとルヴィスの前に立ち、彼の両肩を掴んだ。
顔を近づけ、真剣な表情で告げる。
「君がいない人生など考えられない。これからも俺を照らす太陽でいてくれ」
真剣な声色が部屋の空気を震わせ、そして消えていく。
残ったのは沈黙と……とてもとても気まずそうな、ティッカの困惑顔。
ここで初めて、ルヴィス以外の人間がこの部屋にいることに気づいたレイは、ゆっくりとティッカを見て、そして目の前にいるルヴィスの顔を見た。
次の瞬間、 お茶の準備をしようとしていたティッカの手が、もの凄い勢いで茶器を片付け出した。
「あ、あのっ……私、言いませんから! 陛下とルヴィス様が、そ、そのようなご関係だとは……ええ、結構これでも口が硬いと自負しておりまして……だ、だから……えとっ……お、お邪魔しましたっ!!」
「止めろ、ルヴィスっ!! 部屋から出すなーーーーっ!! って、早いっ!? もういないぞっ!!」
「今すぐ探すぞっ!! くっそ、こんなことで、私がこれまで積み上げてきたものを、失ってたまるかっ!! 全部、お前のせいだからな!! そしてさっきの発言、滅茶苦茶キモいから!! セレスティアル様だけでなく、全人類の女性に引かれろ、この勘違い野郎!!」
「だ、誰が勘違い野郎だ!! これでも、俺的には必死に気持ちを抑えたつもりなんだぞ!?」
「なら、私の判断が甘かった! 百分の一に訂正する!! いや、もうお前は何も言うな!!」
「それじゃ、何も伝えられないだろっ!!」
「頼む……もう何も言うな……私に、これ以上何も失わせないでくれ……頼む……」
「え、ルヴィス? お、お前、泣いてるのか?」
「誰のせいだと思ってる!!」
そんなことをギャアギャア言い合いながら、二人は逃げ出したティッカを見つけるために奔走し、なんとか誤解を解いて、ルヴィスのイメージを崩さずに済んだのであった。
無言で、領地を治める貴族たちの報告書に目を通しながら、羽ペンを休みなく動かしている。
部屋に並んでいる本棚の前には、ルヴィス。何冊か手に取ると、ルミテリス王国の地図が広げられた別の机の上に、本を積み重ねた。椅子に座り、本のページをめくる。
レイが本当の意味でルミテリスの民たちと分かり合ってから、すでに十日ほどが経っていた。
城内は、すっかり落ち着いている。
聖女不在という最大の懸念が解消され、皆の気持ちが前向きになっているのが、肌でも分かるほどだ。
皆の心が希望で満ちる中、ルヴィスはページをめくる手を止めると、どこか険しい表情でレイに訊ねた。
「レイ。お前……セレスティアル様のことが好ーー」
「好きだ」
「……いや、まだ全部言ってないだろ」
全てを言い終える前に即答したレイに、ルヴィスは呆れながら突っ込んだ。大きくため息をつくと、さらに質問を重ねる。
「好きって……どの種類の好きだ?」
「決まってるだろ」
ルヴィスの質問に、レイは手に持っていた書類を勢いよく机の上に置くと、羽ペンを強く握りしめながら、きっぱりはっきり言い切った。
「一人の女性として、セレスティアルのことが好きだ。この国が落ち着いたら結婚したい。王妃として迎えたい。子どもは十人ぐらい欲しい。最愛の妻と子どもたち、たくさんの孫たちに見守られて死にたい」
「キモいキモいキモい! あと、お前の人生設計なんて知らんし!!」
眉間に深すぎる皺を刻み、得体の知れないものを見ている様子で、ルヴィスが返答した。完全に引いている。
しかしレイは、ルヴィスの困惑など気にもとめず、両腕を組みながら、自信満々に笑う。
「言っておくが、セレスティアルと俺の間に、お前が入り込む余地はないからな」
「安心しろ。余地があっても入らん」
「……はっ? 余地があっても入らないって……お前、正気か? セレスティアルだぞ?」
今度はレイの表情が、得体の知れないものを見るように、ルヴィスを凝視する。だが親友から返ってきたのは、
「……お前こそ、正気を保て」
という、返答と冷ややかすぎる視線だった。
ルヴィスの発言に、レイが眉根を寄せる。
「何が言いたい、ルヴィス。言っておくけどな。自慢じゃないが俺は、はっきり言ってくれなければ伝わらない男だぞ」
「自慢すべきところじゃないだろ、そこは」
国王としてどうなんだ……と呟きながら、ルヴィスは立ち上がると、執務机を挟んでレイと向き合った。
バンッと大きな音を立て、書類が山積みになっている机の上に、両手を付く。
一番上に乗っていた書類が、ヒラリと床に落ちたが、ルヴィスは気にとめず口を開く。
「恋愛に浮かれるのはいいが、もっと冷静になれ! じゃないと、お前の愚かな勘違いのせいで、セレスティアル様に嫌われることになっても知らんぞ」
「はっ?」
臨戦態勢をとっていたレイが、虚を突かれたように目を丸くした。薄く開いたままだった唇から発された声は、震えている。
「お、おお、俺が、セレスティアルに嫌われる? え、何故だ? 言っておくが彼女は、以前俺が『俺の傍でともにこの国を守って欲しい』って言ったとき、『嬉しい』って言ってくれたんだぞ? どう考えても、王妃になっても良いという返答……」
「社交辞令だ」
「だ、だが、お前と彼女が城を出た俺を迎えに来てくれたとき、『もう黙っていなくならないで』と……」
「社交辞令だ」
「俺が大好きだと言ったとき、私も大好きだと……」
「しゃ・こ・う・じ・れ・い・だ!! 本気にするな、馬鹿!!」
一言一句、力を込めて言われたレイは、何度も何度も、え? と呟きながら頭を抱えていたが、やっとルヴィスの言葉を理解したのか、
「嘘……だ、ろ……?」
と呟き、机の上に突っ伏してしまった。
だがルヴィスの反応は、非常に冷ややかだ。
「頭を抱えたいのは、こちらの方だ。ったく……これがこの国の主だとは……」
などと嘆かれ、レイの頭がさらに机に沈んだ。
だが、ルヴィスの呆れ顔が僅かに緩み、声色に笑いを滲ませる。
「でもまあ……お前が暴走し、自爆する前に止められて良かった。お前のことだ。放っておけば最悪、セレスティアル様に結婚式の日取りでも訊ねそうな勢いだったからな」
「…………」
予想に反してレイは、机に突っ伏したままだ。それを見たルヴィスの顔色が、みるみる青くなる。
「おい? お前……ま、さか……?」
「……未遂だ」
そう言ってレイが取り出したのは、しわくちゃになった手紙だった。
ルヴィスにも見覚えがある。レイが城を出て行く際、セレスティアルに渡す予定の手紙だったはずだ。
差し出されたそれを受け取ると、中を読む。
そこに書かれていたのは、レイが城を出る理由、そして影ながら国の安定に自分も力を尽くすこと、そしていずれ国が安定したら、必ずセレスティアルを迎えに行くから待っていて欲しい旨。最後には、ささやかではあるが結婚式を挙げたいことが書かれていた。
完全にアウトだ。
こめかみをマッサージして、頭痛を堪えながら、ルヴィスは手紙をレイに返し、心底しみじみ呟いた。
「……この手紙を渡し忘れて、ほんっっっっっとーーーーーに良かったな。これ読まれてたらお前、完全にキモい勘違い男になってたぞ」
「セレスティアルに手紙をこっそり届けに行ったとき、彼女の寝顔を見ることに夢中になってしまってな。つい本来の理由を忘れてしまった」
「……渡し忘れた理由も、充分キモかったな」
「うっ……」
痛烈すぎる突っ込みに、レイの頭がまた机の上に撃沈した。
でもまあ、最悪の事態は避けられた。
不幸中の幸いだろう。
気落ちという単語が世界一似合わない親友の頭を軽く叩きながら、ルヴィスは諭すように言う。
「まあとにかく……未遂で良かったな。これからは気をつけろよ。まだ立て直しははかれる」
「ほ、本当か!?」
勢いよく顔を上げたレイの瞳が、光り輝いている。清々しいほどの切り替えの速さだ。呆れを通り越して尊敬の念すら生まれる。
そんなことを思いながら、ルヴィスは大きく頷いた。
「まあ少なくとも、セレスティアル様からお前に対する嫌悪感は見えないからな。少しずつ距離を縮めていけば、まあ……良い感じにはなるんじゃないか?」
知らんけど、と心の中で付け加えるルヴィス。
「だけど、今までみたいに突っ走るなよ? それにこの間みたいに、好き好き言いまくるなよ?」
「はっ? 好きって言わないと、相手に伝わらないだろ?」
「お前みたいに言いまくっていたら、相手が本気だと受け取ってくれなくなるだろ。大切な言葉は、ここぞというときに言うもんだ。あと、セレスティアル様に好意を伝えたければ、お前が思っている十分の一ぐらいの熱量でいけ。キモいから」
「キモい言うな。それに十分の一だなんて、セレスティアルに全然俺の気持ちが伝わらないだろうが」
「……なら試しに私の前で、セレスティアル様が困らないとお前が思うレベルで好意を伝えてみろ」
ルヴィスの質問に、レイは沈黙をした。机の上に目線を落とし、考え込んでいる。
そのとき、
「お茶の準備が整いました。陛下、失礼いたします」
ノック音と外から入室の許可を求める声がした。
ルヴィスがドアを開けると、侍女のティッカが、茶器を用意したワゴンと一緒に立っていた。
休憩の時間のようだ。
つまらないことに時間を費やしてしまったと反省しながら、ルヴィスはティッカを部屋に招き入れた。
そのとき、
「これならどうだ、ルヴィス」
深く考え込んでいたレイが、顔を上げた。そしておもむろに立ち上がるとルヴィスの前に立ち、彼の両肩を掴んだ。
顔を近づけ、真剣な表情で告げる。
「君がいない人生など考えられない。これからも俺を照らす太陽でいてくれ」
真剣な声色が部屋の空気を震わせ、そして消えていく。
残ったのは沈黙と……とてもとても気まずそうな、ティッカの困惑顔。
ここで初めて、ルヴィス以外の人間がこの部屋にいることに気づいたレイは、ゆっくりとティッカを見て、そして目の前にいるルヴィスの顔を見た。
次の瞬間、 お茶の準備をしようとしていたティッカの手が、もの凄い勢いで茶器を片付け出した。
「あ、あのっ……私、言いませんから! 陛下とルヴィス様が、そ、そのようなご関係だとは……ええ、結構これでも口が硬いと自負しておりまして……だ、だから……えとっ……お、お邪魔しましたっ!!」
「止めろ、ルヴィスっ!! 部屋から出すなーーーーっ!! って、早いっ!? もういないぞっ!!」
「今すぐ探すぞっ!! くっそ、こんなことで、私がこれまで積み上げてきたものを、失ってたまるかっ!! 全部、お前のせいだからな!! そしてさっきの発言、滅茶苦茶キモいから!! セレスティアル様だけでなく、全人類の女性に引かれろ、この勘違い野郎!!」
「だ、誰が勘違い野郎だ!! これでも、俺的には必死に気持ちを抑えたつもりなんだぞ!?」
「なら、私の判断が甘かった! 百分の一に訂正する!! いや、もうお前は何も言うな!!」
「それじゃ、何も伝えられないだろっ!!」
「頼む……もう何も言うな……私に、これ以上何も失わせないでくれ……頼む……」
「え、ルヴィス? お、お前、泣いてるのか?」
「誰のせいだと思ってる!!」
そんなことをギャアギャア言い合いながら、二人は逃げ出したティッカを見つけるために奔走し、なんとか誤解を解いて、ルヴィスのイメージを崩さずに済んだのであった。
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