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第1話 秘密
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「お、お願いいたします! どうかこのことは、あなた様と私だけの秘密にして頂けないでしょうか⁉」
泣きたくなるのを堪えながら、私は土下座をし、目の前の人物に向かって頼みこみました。
手のひらと額から、床の冷たさが伝わってきます。ですが、それ以上に私の体は、恐怖と緊張で冷え切っています。
青年の楽し気な声が私の鼓膜を震わせました。
「じゃ、認めるんだな? お前がべーレンズ伯爵家の一人娘、シャルロッテではないことを」
「……はい、認めます」
肯定した瞬間、私の中で守っていた何かが音を立てて崩れ、強張っていた体から力が抜けました。
「おい偽物、顔を上げて全てを話せ」
命令されて顔をあげた私は、改めて目の前の人物を見ました。
この地域では珍しい白髪に、翠色の大きな瞳。
歳は私と同じ十八歳ぐらいでしょうか。しかし表情に少し幼さを感じるため、年下だと言われても違和感がありません。
整った容姿をしていますが目つきは悪く、着古された服を身につけています。
私は、声が震えそうになるのを堪えながら、語り始めました。
「私の本当の名前は、テレシアと申します」
べーレンズ伯爵家で侍女として仕えていた私が、御令嬢シャルロッテ様だと偽り、トルライン侯爵家御当主ヴェッセル様に嫁いだ経緯を。
目の前の青年、ヴェッセル様の弟だと名乗るチェス様に――
泣きたくなるのを堪えながら、私は土下座をし、目の前の人物に向かって頼みこみました。
手のひらと額から、床の冷たさが伝わってきます。ですが、それ以上に私の体は、恐怖と緊張で冷え切っています。
青年の楽し気な声が私の鼓膜を震わせました。
「じゃ、認めるんだな? お前がべーレンズ伯爵家の一人娘、シャルロッテではないことを」
「……はい、認めます」
肯定した瞬間、私の中で守っていた何かが音を立てて崩れ、強張っていた体から力が抜けました。
「おい偽物、顔を上げて全てを話せ」
命令されて顔をあげた私は、改めて目の前の人物を見ました。
この地域では珍しい白髪に、翠色の大きな瞳。
歳は私と同じ十八歳ぐらいでしょうか。しかし表情に少し幼さを感じるため、年下だと言われても違和感がありません。
整った容姿をしていますが目つきは悪く、着古された服を身につけています。
私は、声が震えそうになるのを堪えながら、語り始めました。
「私の本当の名前は、テレシアと申します」
べーレンズ伯爵家で侍女として仕えていた私が、御令嬢シャルロッテ様だと偽り、トルライン侯爵家御当主ヴェッセル様に嫁いだ経緯を。
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