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5 入学試験
試験は魔法学園の校舎で執り行われた。
午前中に筆記試験があって、これから魔法の実技試験だ。試験といっても貴族にとっては既に入学が確定しているようなものなので、皆お気楽な様子だった。
一方、私のほうは特待生の椅子がかかっているので、必死だった。
試験まで日中は図書館で勉強をして、夕方からは郊外の公園で魔法の特訓をした。
幸い、皇女時代に家庭教師が付いていたので筆記試験は習ったことばかりで余裕があったけれど、問題は魔法だ。魔法学園と冠しているのでそれだけの能力が求められるはず。ましてや特待生なら尚更だ。
実技試験は魔力の量と操作能力を見る。流氷のような分厚いクリスタルの長方形の板に的が描かれていて、その中央に向かって魔法を放つ。その力や操作の精確さで評価をするのだ。
他の受験者の様子を見ると中央に魔法を当てられる者はごく僅かで、軌道がずれたり中には的まで届かない者もいた。それでも貴族ならよっぽどのことがない限りは合格するらしくて、フレデリック様は生徒の意識やレベルの低下を嘆いていたわ。
「次!」
私の番が来た。ドキリと胸が打った。落ち着こうと軽く深呼吸をしてから前へ出る。
「受験番号99番、リナです」
私が名乗り上げた途端に周囲がざわついた。
「なに……平民?」
「どうせ少しばかり魔力があるからって記念受験だろ」
「平民と同じ学校なんて嫌だぁ」
「顔は可愛いんだから入学したら遊んでやれば?」
「まぁっ、可哀想な平民さん。くすくすくす」
「こ、こらっ! 静かにしなさい!」
私は周囲の雑音は気にせずにそっと瞳を閉じた。近くのグループの受験者の魔法が板に当たる音が響く。
集中、集中。
全身の力を抜いて、体内に流れる魔法を指先に誘導する。じわじわと人差し指が熱くなった。
限界まで魔力が移動したところで、私はカッと目を見開く。
刹那、私の指先が光った。
周囲を白く染める。
次の瞬間、ガラガラとけたたましい音を立てながら、クリスタルの板は粉々に砕けた。
「…………」
「…………」
「…………」
しんと水を打ったように静まり返った。受験生も試験管も驚愕した様相で私を見る。
「つ……次…………」
しばらくして試験管が小さく声を上げた。それが合図かのように受験生たちは再びざわめき出す。
私はばつが悪い思いをしながら後ろに下がった。視線が痛い。冷や汗が頬を伝った。
これは……やりすぎたかしら? で、でも特待生の座を手に入れるためには仕方がないわよね? ど、ど、どうしましょう……。
最後の受験者の順番が来て試験は終了した。私は他の受験生から注目を浴びる中、そそくさと会場をあとにする。うぅ……気まずい。
合格発表は一週間後だ。それまでは紹介してもらった仕事に精を出すとしましょうか。
私が校門まで来た折も折、
「で……殿下…………?」
とても懐かしい単語で呼び止められた。
ギクリとして振り返ると、そこには皇女時代に何度か顔を合わせたことのあるセルゲイ・ミハイロヴィチ・ストロガノフ公爵令息が唖然とした表情で私を見ていた。
午前中に筆記試験があって、これから魔法の実技試験だ。試験といっても貴族にとっては既に入学が確定しているようなものなので、皆お気楽な様子だった。
一方、私のほうは特待生の椅子がかかっているので、必死だった。
試験まで日中は図書館で勉強をして、夕方からは郊外の公園で魔法の特訓をした。
幸い、皇女時代に家庭教師が付いていたので筆記試験は習ったことばかりで余裕があったけれど、問題は魔法だ。魔法学園と冠しているのでそれだけの能力が求められるはず。ましてや特待生なら尚更だ。
実技試験は魔力の量と操作能力を見る。流氷のような分厚いクリスタルの長方形の板に的が描かれていて、その中央に向かって魔法を放つ。その力や操作の精確さで評価をするのだ。
他の受験者の様子を見ると中央に魔法を当てられる者はごく僅かで、軌道がずれたり中には的まで届かない者もいた。それでも貴族ならよっぽどのことがない限りは合格するらしくて、フレデリック様は生徒の意識やレベルの低下を嘆いていたわ。
「次!」
私の番が来た。ドキリと胸が打った。落ち着こうと軽く深呼吸をしてから前へ出る。
「受験番号99番、リナです」
私が名乗り上げた途端に周囲がざわついた。
「なに……平民?」
「どうせ少しばかり魔力があるからって記念受験だろ」
「平民と同じ学校なんて嫌だぁ」
「顔は可愛いんだから入学したら遊んでやれば?」
「まぁっ、可哀想な平民さん。くすくすくす」
「こ、こらっ! 静かにしなさい!」
私は周囲の雑音は気にせずにそっと瞳を閉じた。近くのグループの受験者の魔法が板に当たる音が響く。
集中、集中。
全身の力を抜いて、体内に流れる魔法を指先に誘導する。じわじわと人差し指が熱くなった。
限界まで魔力が移動したところで、私はカッと目を見開く。
刹那、私の指先が光った。
周囲を白く染める。
次の瞬間、ガラガラとけたたましい音を立てながら、クリスタルの板は粉々に砕けた。
「…………」
「…………」
「…………」
しんと水を打ったように静まり返った。受験生も試験管も驚愕した様相で私を見る。
「つ……次…………」
しばらくして試験管が小さく声を上げた。それが合図かのように受験生たちは再びざわめき出す。
私はばつが悪い思いをしながら後ろに下がった。視線が痛い。冷や汗が頬を伝った。
これは……やりすぎたかしら? で、でも特待生の座を手に入れるためには仕方がないわよね? ど、ど、どうしましょう……。
最後の受験者の順番が来て試験は終了した。私は他の受験生から注目を浴びる中、そそくさと会場をあとにする。うぅ……気まずい。
合格発表は一週間後だ。それまでは紹介してもらった仕事に精を出すとしましょうか。
私が校門まで来た折も折、
「で……殿下…………?」
とても懐かしい単語で呼び止められた。
ギクリとして振り返ると、そこには皇女時代に何度か顔を合わせたことのあるセルゲイ・ミハイロヴィチ・ストロガノフ公爵令息が唖然とした表情で私を見ていた。
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追記
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