54 / 76
54 光差す道へ②
「オリヴィア!」
「楽しんでいるみたいね」
オリヴィアはいつもの穏やかなアルカイックスマイルを浮かべてこっちに近寄って来た。
「えぇ! オリヴィアもお祭楽しんでいる?」
「えぇ、とっても。――その髪飾りは?」と、オリヴィアは私とグレースを交互に見た。
「あぁ、これね。セルゲイがプレゼントしてくれたのよ。グレースがずっとお揃いにしたいって言ってて」
「そう……。二人ともとっても似合うわ。まるで姉妹みたい」
「本当っ!?」と、グレースが嬉しそうに大声を上げた。
「ありがとう」私は苦笑いをする。「――ところで、オリヴィアは一人なの? 子爵令息は?」
「彼とは今の時間は別行動なの。……だからリナと回ろうと思って。さ、行きましょう?」
オリヴィアは私の手を取って有無を言わせずにすたすたと歩き始めた。
「えっ!? ちょ、ちょっと……」
「ちょと待ちなさいよ!」
グレースが私の反対側の腕を強く握りながら引っ張った。
「……なに?」とオリヴィア。
それはたった一言だけど氷のような冷たい語気で、普段の彼女とはかけ離れている姿に私は背筋が寒くなった。
なんだか、いつものオリヴィアじゃない感じ。
グレースは怯まずに、
「リナはこれからあたしとハートの噴水を見に行くのよ! 勝手に連れて行かないで!」
「それだったらわたしがリナを連れて行くわ」
「はあぁぁぁっ!?」
「グレース、セルゲイ!」剣呑な雰囲気の二人を引き裂くように、私は大声で彼らの名前を呼んだ。「悪いけど、私はしばらくオリヴィアと回るわ。そうね……一時間後にここで落ち合うってことでいいかしら?」
「そんな――」
「分かったよ、リナ」私の意図を察したのか、セルゲイは今にもオリヴィアに掴みかかろうとするグレースを制止して「しばらく二人で楽しんできてくれ」
「ありがとう。じゃあ、またね。さ、オリヴィア、行きましょう?」
今度は私からオリヴィアの手を取って一緒に歩き出した。彼女はニコリと微笑む。でも、そこには彼女らしい陽だまりのようなほっとする温かさはなかった。
私は隣を歩くオリヴィアをちらりと見やった。どう見ても様子がおかしい。
彼女とは最近ゆっくり話ができなかったから、その間になにか不穏なことでも起きたのかしら。私になにかできることがあればいいんだけど……。
◆◆◆
「なんで止めたのっ!?」
リナとオリヴィアを呆然自失と見送ったあと、グレースは正気になってセルゲイに食ってかかった。
「今日はあたしがリナと一緒に回る約束をしていたのにっ!」
セルゲイは軽くため息をついて、
「あのなぁ、グレース。君は最近リナを独り占めしすぎなんだよ」
「はぁ?」
グレースは顔をしかめた。それの、なにが悪いのかしら?
「いいか、リナは入学以来ずっとオリヴィアと行動をともにしていたんだ。それを君が無意識にしろ阻害して、ここ数日の二人は少し軋みが生じていた。ちょっとは自覚しろ」
「だって……あたしはリナの大親友なのよ! 常に一緒にいてもいいじゃない!」
「じゃあ、オリヴィアは? 彼女は入学してからずっと意地の悪い令嬢たちから嫌がらせを受けていたリナを隣で守っていたんだぞ。君がリナを平民だと侮辱したときも、彼女はその平民と率先して親しくしていた。リナのもう一人の大親友であるオリヴィアにも、リナと一緒にいる権利がある」
「そ、それは……」
グレースは口ごもった。取り返しのつかない過去の愚行が、自身の胸をチクチクと突き刺す。
「ちょっとは他人の気持ちも考えろ。君の悪い癖だ。ま、今回ははっきり言わないリナも悪いけどな」
「…………」
「これはリナとオリヴィアが向き合ういい機会なんだ。一時間くらい我慢しろ」
「分かったわ……」
グレースは悄然と頷いた。
たしかにあの日以来、頭の中はリナのことでいっぱいになって周りが見えていなかった。恩人であるエカチェリーナ様に奇跡的にお目にかかれて舞い上がっていたわ。言われてみればジェシカとデイジーからも「リナにまとわり付きすぎ」って苦言を呈されていた。
……オリヴィアには悪いことをしたのかも。
そうね……もう少し、周囲を俯瞰できるようにならなければいけないわ。きっとエカチェリーナ様の侍女になるのに必要な能力なはず。エカチェリーナ様が王太子妃になったら、あたしが侍女頭になるんだから!
――そんなグレースの妄想なんてつゆ知らずのセルゲイは、彼女がやっと理解したものだと満足げに頷いて、
「よし、俺たちもどっかで時間を潰すか。二人でミルキーウェイ・リヴァーでも行く?」
と、からかうようにニヤリと笑ってみせた。
「いっ……行かないわよっ!!」
グレースは顔を真っ赤にして叫ぶ。
◆◆◆
「もうっ、お兄様遅いっ! 何時だと思ってるの!?」
お忍び用のドレスを着てすっかり用意万端のアメリアは、遅れてやって来たフレデリックを認めるなりぶーぶーと文句を垂れた。
「ごめん、ごめん。ちょっと仕事が立て込んでいてね」
フレデリックはポンと従妹の頭を撫でる。すると彼女はみるみるご機嫌になって、従兄に抱きついた。
フレデリックは祭典の当日に王都に到着した。
そして大急ぎでお忍び用の服に着替えて、その足でシェフィールド邸へ向かって叔父である公爵とこれからの行動について話し込んだ。
公爵は可愛い甥っ子を慮ってくれていて、今日のために騎士の手配やその他の事前の根回しまで済ませておいてくれた。また、シェフィールド公爵家は旧帝国の皇女の後ろ盾になると確約もしてくれた。
あとは、エカチェリーナを迎えに行くだけだ。
「ねぇ、お兄様。早くお祭へ行きましょう!」と、なにも知らないアメリアが無邪気に笑う。
「そうだね」と、フレデリックはふっと微笑んで「まずはリーナのところに向かおうか」
「えっ……!?」
アメリアは従兄の想定外の発言に硬直した。
「リーナ……お姉様が見つかったの?」
「あぁ! アミィの魔法の先生だよ! 早く家庭教師に戻って来てもらえるようにお願いしなきゃね」
アメリアはつぶらな瞳を少しの間ぱちくりさせて、
「うそっ!? 本当にっ!? リナがリーナお姉様だったの!?」
「そうだよ。さ、一緒に彼女を迎えに行こうか」
「うんっ!!」
フレデリックとアメリアが公爵家を出たその時だった。
「王太子殿下」
振り返ると、数人の近衛騎士たちが彼らを待ち構えていた。それは国王直属の選りすぐりの騎士たちだった。どの人物も強靭な肉体で、少しも隙のない峻厳な雰囲気を持っていた。
「なんだ」
フレデリックの声色も自然と厳しくなる。
「我々とともに至急王宮までお戻りください。国王陛下がお呼びです」
「父上が?」
「はい。本日、午後よりフォード侯爵令嬢との婚約式を執り行うそうです。ですので、ご準備を」
「なっ……!」フレデリックは目を見張った。「婚約式は来週のはずだぞ!?」
「侯爵家からの提案だそうです。国の象徴である守護神の祭典に婚約を発表したほうが国民も盛り上がるのではないかと」
あの女……と、フレデリックはぎりりと唇を噛んだ。
「参りましょう、殿下」
「私は戻らぬと父上に伝えろ」フレデリックは手を振って拒絶する。「当事者の私が不在の間に事を進めるとは不愉快極まりない。婚約式の日程を変えるつもりはない」
そんな日は永遠に来ないがな、と彼は心の中で嘲笑した。
「王命です、殿下」
「なんだと?」
フレデリックは息を呑んだ。
近衛騎士は矢庭にフレデリックの眼前に書面を突き付けた。そこには王のサインもしっかりと書かれれてあった。紛れもない本物だ。
フレデリックは唖然とする。
父上はそこまでして嫡男と侯爵令嬢と婚約させたいのだろうか。普段は思慮深い父上にしては性急すぎて、首を傾げるばかりだ。
まさか……あの女の毒牙が父上にも……?
「王命は絶対です。たとえ王太子殿下でも拒否をすれば反逆罪にあたります」と、近衛騎士たちは剣の柄に手をかけた。
「楽しんでいるみたいね」
オリヴィアはいつもの穏やかなアルカイックスマイルを浮かべてこっちに近寄って来た。
「えぇ! オリヴィアもお祭楽しんでいる?」
「えぇ、とっても。――その髪飾りは?」と、オリヴィアは私とグレースを交互に見た。
「あぁ、これね。セルゲイがプレゼントしてくれたのよ。グレースがずっとお揃いにしたいって言ってて」
「そう……。二人ともとっても似合うわ。まるで姉妹みたい」
「本当っ!?」と、グレースが嬉しそうに大声を上げた。
「ありがとう」私は苦笑いをする。「――ところで、オリヴィアは一人なの? 子爵令息は?」
「彼とは今の時間は別行動なの。……だからリナと回ろうと思って。さ、行きましょう?」
オリヴィアは私の手を取って有無を言わせずにすたすたと歩き始めた。
「えっ!? ちょ、ちょっと……」
「ちょと待ちなさいよ!」
グレースが私の反対側の腕を強く握りながら引っ張った。
「……なに?」とオリヴィア。
それはたった一言だけど氷のような冷たい語気で、普段の彼女とはかけ離れている姿に私は背筋が寒くなった。
なんだか、いつものオリヴィアじゃない感じ。
グレースは怯まずに、
「リナはこれからあたしとハートの噴水を見に行くのよ! 勝手に連れて行かないで!」
「それだったらわたしがリナを連れて行くわ」
「はあぁぁぁっ!?」
「グレース、セルゲイ!」剣呑な雰囲気の二人を引き裂くように、私は大声で彼らの名前を呼んだ。「悪いけど、私はしばらくオリヴィアと回るわ。そうね……一時間後にここで落ち合うってことでいいかしら?」
「そんな――」
「分かったよ、リナ」私の意図を察したのか、セルゲイは今にもオリヴィアに掴みかかろうとするグレースを制止して「しばらく二人で楽しんできてくれ」
「ありがとう。じゃあ、またね。さ、オリヴィア、行きましょう?」
今度は私からオリヴィアの手を取って一緒に歩き出した。彼女はニコリと微笑む。でも、そこには彼女らしい陽だまりのようなほっとする温かさはなかった。
私は隣を歩くオリヴィアをちらりと見やった。どう見ても様子がおかしい。
彼女とは最近ゆっくり話ができなかったから、その間になにか不穏なことでも起きたのかしら。私になにかできることがあればいいんだけど……。
◆◆◆
「なんで止めたのっ!?」
リナとオリヴィアを呆然自失と見送ったあと、グレースは正気になってセルゲイに食ってかかった。
「今日はあたしがリナと一緒に回る約束をしていたのにっ!」
セルゲイは軽くため息をついて、
「あのなぁ、グレース。君は最近リナを独り占めしすぎなんだよ」
「はぁ?」
グレースは顔をしかめた。それの、なにが悪いのかしら?
「いいか、リナは入学以来ずっとオリヴィアと行動をともにしていたんだ。それを君が無意識にしろ阻害して、ここ数日の二人は少し軋みが生じていた。ちょっとは自覚しろ」
「だって……あたしはリナの大親友なのよ! 常に一緒にいてもいいじゃない!」
「じゃあ、オリヴィアは? 彼女は入学してからずっと意地の悪い令嬢たちから嫌がらせを受けていたリナを隣で守っていたんだぞ。君がリナを平民だと侮辱したときも、彼女はその平民と率先して親しくしていた。リナのもう一人の大親友であるオリヴィアにも、リナと一緒にいる権利がある」
「そ、それは……」
グレースは口ごもった。取り返しのつかない過去の愚行が、自身の胸をチクチクと突き刺す。
「ちょっとは他人の気持ちも考えろ。君の悪い癖だ。ま、今回ははっきり言わないリナも悪いけどな」
「…………」
「これはリナとオリヴィアが向き合ういい機会なんだ。一時間くらい我慢しろ」
「分かったわ……」
グレースは悄然と頷いた。
たしかにあの日以来、頭の中はリナのことでいっぱいになって周りが見えていなかった。恩人であるエカチェリーナ様に奇跡的にお目にかかれて舞い上がっていたわ。言われてみればジェシカとデイジーからも「リナにまとわり付きすぎ」って苦言を呈されていた。
……オリヴィアには悪いことをしたのかも。
そうね……もう少し、周囲を俯瞰できるようにならなければいけないわ。きっとエカチェリーナ様の侍女になるのに必要な能力なはず。エカチェリーナ様が王太子妃になったら、あたしが侍女頭になるんだから!
――そんなグレースの妄想なんてつゆ知らずのセルゲイは、彼女がやっと理解したものだと満足げに頷いて、
「よし、俺たちもどっかで時間を潰すか。二人でミルキーウェイ・リヴァーでも行く?」
と、からかうようにニヤリと笑ってみせた。
「いっ……行かないわよっ!!」
グレースは顔を真っ赤にして叫ぶ。
◆◆◆
「もうっ、お兄様遅いっ! 何時だと思ってるの!?」
お忍び用のドレスを着てすっかり用意万端のアメリアは、遅れてやって来たフレデリックを認めるなりぶーぶーと文句を垂れた。
「ごめん、ごめん。ちょっと仕事が立て込んでいてね」
フレデリックはポンと従妹の頭を撫でる。すると彼女はみるみるご機嫌になって、従兄に抱きついた。
フレデリックは祭典の当日に王都に到着した。
そして大急ぎでお忍び用の服に着替えて、その足でシェフィールド邸へ向かって叔父である公爵とこれからの行動について話し込んだ。
公爵は可愛い甥っ子を慮ってくれていて、今日のために騎士の手配やその他の事前の根回しまで済ませておいてくれた。また、シェフィールド公爵家は旧帝国の皇女の後ろ盾になると確約もしてくれた。
あとは、エカチェリーナを迎えに行くだけだ。
「ねぇ、お兄様。早くお祭へ行きましょう!」と、なにも知らないアメリアが無邪気に笑う。
「そうだね」と、フレデリックはふっと微笑んで「まずはリーナのところに向かおうか」
「えっ……!?」
アメリアは従兄の想定外の発言に硬直した。
「リーナ……お姉様が見つかったの?」
「あぁ! アミィの魔法の先生だよ! 早く家庭教師に戻って来てもらえるようにお願いしなきゃね」
アメリアはつぶらな瞳を少しの間ぱちくりさせて、
「うそっ!? 本当にっ!? リナがリーナお姉様だったの!?」
「そうだよ。さ、一緒に彼女を迎えに行こうか」
「うんっ!!」
フレデリックとアメリアが公爵家を出たその時だった。
「王太子殿下」
振り返ると、数人の近衛騎士たちが彼らを待ち構えていた。それは国王直属の選りすぐりの騎士たちだった。どの人物も強靭な肉体で、少しも隙のない峻厳な雰囲気を持っていた。
「なんだ」
フレデリックの声色も自然と厳しくなる。
「我々とともに至急王宮までお戻りください。国王陛下がお呼びです」
「父上が?」
「はい。本日、午後よりフォード侯爵令嬢との婚約式を執り行うそうです。ですので、ご準備を」
「なっ……!」フレデリックは目を見張った。「婚約式は来週のはずだぞ!?」
「侯爵家からの提案だそうです。国の象徴である守護神の祭典に婚約を発表したほうが国民も盛り上がるのではないかと」
あの女……と、フレデリックはぎりりと唇を噛んだ。
「参りましょう、殿下」
「私は戻らぬと父上に伝えろ」フレデリックは手を振って拒絶する。「当事者の私が不在の間に事を進めるとは不愉快極まりない。婚約式の日程を変えるつもりはない」
そんな日は永遠に来ないがな、と彼は心の中で嘲笑した。
「王命です、殿下」
「なんだと?」
フレデリックは息を呑んだ。
近衛騎士は矢庭にフレデリックの眼前に書面を突き付けた。そこには王のサインもしっかりと書かれれてあった。紛れもない本物だ。
フレデリックは唖然とする。
父上はそこまでして嫡男と侯爵令嬢と婚約させたいのだろうか。普段は思慮深い父上にしては性急すぎて、首を傾げるばかりだ。
まさか……あの女の毒牙が父上にも……?
「王命は絶対です。たとえ王太子殿下でも拒否をすれば反逆罪にあたります」と、近衛騎士たちは剣の柄に手をかけた。
あなたにおすすめの小説
私だけが愛して1度も笑ったことの無い夫が、死んだはずの息子を連れてもどってきた
まつめ
恋愛
夫はただの一度も私に笑いかけたことは無く、穏やかに夫婦の時間をもったこともない。魔法騎士団の、騎士団長を務める彼は、23年間の結婚生活のほとんどを戦地で過ごしている。22歳の息子の戦死の知らせが届く。けれど夫は元気な息子を連れて私の元に戻って来てくれた。
私と幼馴染と十年間の婚約者
川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。
それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。
アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。
婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
噂の悪女が妻になりました
はくまいキャベツ
恋愛
ミラ・イヴァンチスカ。
国王の右腕と言われている宰相を父に持つ彼女は見目麗しく気品溢れる容姿とは裏腹に、父の権力を良い事に贅沢を好み、自分と同等かそれ以上の人間としか付き合わないプライドの塊の様な女だという。
その名前は国中に知れ渡っており、田舎の貧乏貴族ローガン・ウィリアムズの耳にも届いていた。そんな彼に一通の手紙が届く。その手紙にはあの噂の悪女、ミラ・イヴァンチスカとの婚姻を勧める内容が書かれていた。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
王子様への置き手紙
あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
小説家になろうにも掲載しています。
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。