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空波遥の章
担任教師
しおりを挟む「改めまして、クラス担任の永沢です。担当教科は理科です。よろしくね」
目の前に座る30歳くらいの男性は、そう言って微笑んだ。ニット生地の白いベストがあちこちほつれている。
「よろしくお願いします」
と、オレはお辞儀をしかえす。
しまった。口元がへの字に曲がってた。
顔を上げ、慌てて笑みを作りなおす。永沢先生は特に気分を害した様子もなさそうで、とりあえずほっとした。大人・・・・・・、特に教師の前で表情筋が死ぬ癖がまだ抜けない。
「学期途中での転入になるけど、きちんとサポートしていくから学習面は心配しないでね。・・・・・・と言っても、テストの結果を見させてもらったところだと、かなりしっかり勉強してるみたいだから、特に問題はなさそうだね」
永沢先生は片手で書類をパラパラめくる。
「勉強は好き?」
「はい」
「ふむふむ。それは大変結構!」
書類に顔を向けたまま、永沢先生は目を細めた。
「うちはこう見えてなかなか優秀な教職員が揃ってるからね。志望校とか今の段階であるのかな?」
「はい。堀澤大学の理学部に進学希望です」
「ほうほう!明確だね。・・・・・・もしかしてもう赤本とか見てたり?」
「あ、はい・・・・・・。先々月のオープンキャンパスにも参加しました」
「そりゃすごいや!頼もしい!」
永沢先生は嫌味のない笑顔で穏やかに言う。よく見ると、先生のベストはほつれているだけでなく恐らくコーヒーでつけたものと思われる茶色いシミが点々としていた。
「うちこう見えて掘澤へのノウハウあるからね。いい環境だと思うよ」
「はい。だからこの学校に転入したんです。毎年合格者30人前後出てますよね?」
「うん。ここまではっきりと目標を持っている生徒がいると、教える側としてもモチベーション上がるよ。一緒に頑張ろうね」
「よろしくお願いします」
オレはペコリと頭を下げる。
( よし、・・・・・・いける)
五月という半端な時期にやってきた転校生として、変に目立たず静かに学園生活を送ろうとしている少年としてはなかなかの滑り出しなのではないか。
そう、間違いなく順調だった。この時点までは。
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