赤い糸のさきに

アtorica

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 もう既に希輝が俺を呼びにきたことは噂になっていそうだけど、あまり長居をしなければ大丈夫だろう。
 自分の教室に戻ろうと足を踏み出した瞬間、再び熱を感じる手のひらに手首を掴まれてドキリとする。

「……希輝?」
「――俺も」
「え?」

 今にも消え入りそうな声に耳を澄ませば、強い光を宿した瞳と目が合った。

「俺も、もう噂なんか気にしない」
「……は?」
「だから」

 一瞬の間。
 覚悟を決めたように、希輝がゴクリと唾を呑んだのが、喉仏の上下の動きでわかった。

「その赤い糸の解き方、俺も一緒に探すから」

 希輝の瞳に揺るぎない意志を感じて、俺の喉も上下にゴクリと動いた。 
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