自称不良は君専用

アtorica

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九章

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屋上事件から一週間が経過した。
あの日俺に言った通り、宮田は俺とは極力関わらないようにしているみたいだった。
元々人気者だった宮田は、昔みたいにクラスメイトに囲まれて笑顔を見せている。
不良の俺は昔に戻ったかのように、一人で外を眺めるだけの毎日になっていた。

「本当は浩介くんと何かあったんでしょ」
「別に何もねえ」
「うっそだあ」

昔も今も変わらずに話しかけてくれる結に、笑顔を作った。

「ほら、今だって。あきちゃん、浩介くんと喋らなくなってから元気ないよ」
「そんな事ない」
「あるってば!」

正直にいうと、宮田が俺を避けるようになってから夜は全然眠れなくなり、ご飯も喉を通らなくなった。
何をしていても、頭の中を占めるのは宮田の存在で辛くなる。

「元に戻っただけだろ」
「それは……そうだけど」
「なら、いいじゃんか」

あいつも俺から離れられて喜んでるよと呟けば、結に可愛く睨まれた。
結の大きな瞳が涙で滲んで、息を飲む。
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