4 / 5
4
しおりを挟む
「だれ?」
単純に名前負けしていると思った。
華元(かげん)ーーー
名前を聞いたときはりりしくかっこいいイメージがあった。
何より女だと思っていたのに、
名前と一緒に書かれていた住所にいってみるとそこにいたのは髪はボサボサの金髪、だらけた服装の男だった。
男は私を見ると「だれ?」何て言ってきた。
な!
一応結構人気なアイドルだったんだけど!
何て言えるわけもない。
自分が嫌っていた世界のことをこういうときに使うのはなにかせこい感じがする。
私のことはまだいい。
私は恐る恐る口を開く。
「私、上村芸能事務所のものなんですけど、、
華元(かげん)さんのお宅で間違いないでしょうか?」
すると、華元ということばに反応した男は私に向かってはぁーーっ。とため息をついた。
なんか腹が立つなぁ。
拳を握ってこらえる。
男はだるそうな目を向けていった。
「今日は咲じゃねぇんだ。
てか俺のこと事務所にいってんのか。
ちっ。咲のやろう。」
咲と面識があるのか。
じゃあ、やっぱりこの人が、華元。
私はいう。
「華元さん。
ーーーーアイドルになりませんか」
「ふ。やだ。」
華元は、口角を挙げた。
そのまま、華元は続ける。
「咲が俺をデビューさせてくれるって約束してるから。
だから無理。」
私は握りしめていた手の力を緩めた。
そうか、
思えば葬式にもこんな金髪はいなかった。
病院に来たこともなかった。
わかってないんだ。
咲が死んだこと。
咲、私はこんな残酷なことをしなければならないの。
私があなたが死んだことをやっと少し受け入れて進もうとしているのに、
死んだことすら知らない。
こんな子に「アイドルになりませんか」なんていって、
そんなの、
そんなの、
辛いに決まってるじゃない。
男の前で思わず涙がこぼれた。
男も意外な反応にあたふたしだす。
ティッシュを部屋から持ってきて涙を吹いてくれた。
涙で赤くはれた目で男を見る。
男は迷惑そうにいった。
「泣かれたって、やくそくしてっか「ごめんなさい。」」
私は男にしがみついた。
私が謝る必要なんてない。
でも謝るしかないんだ。
謝ることしかできないんだ。
「ごめんなさい。
ごめんなさいっ。
ごめん、、、なさっ。」
「おいおい、なに謝ってんだよ。あやまんのは俺の方っつーか、、」
ごめんなさい。
私はあなたに今から残酷な現実を突きつけなければならない。
ほんとうに
「華元さんっ、、
咲は、、
もういないの。」
「は」
ごめんなさい。
「亡くなったの。
だから、、
だから、約束はーーー「帰れ」っ、、」
体をいきなり突き放されて
ばたんっ。
扉は閉められた。
私は頭を閉じられた扉に押し付けてずるずるとすわりこんだ。
涙が出てくる。
ポタポタと床を濡らしていった。
「咲、、
なんてことしてくれんのよ。」
とまらない。
「なんで、こんな子、
おいていったの」
言葉がどんどん出てきた。
「私なんかより、この子をデビューさせて、死になさいよ。」
扉の向こうでガンっとおとがした。
男も扉に頭を押さえつけてるようだ。
私がやることは咲に悪態付くことじゃない。
私は男に聞こえるようにいった。
「咲の秘密兵器だって、
やるね。華元さん。」
向こうからはすすり泣く声が聞こえた。
私は立つ。
扉の向こうにいるであろう。男に向かっていった。
「私は、上村芸能事務所の新人プロデューサーです。
咲から、あなたのことを託されてきました。
咲に託そうとしたすべてを私に託してもらえませんか。
すぐな答えなんて要りません。」
答えはない。
一礼した。
「明日またきます。」
返事はやはりなくすすり泣く声が聞こえるだけだった。
強くなきゃいけない。
私は決めたんだ、この華元という咲の残した宝を輝かせると。
強くなきゃいけない。
強くなきゃいけないのに、、
泣けてきた。
私は泣きながら家に帰った。
単純に名前負けしていると思った。
華元(かげん)ーーー
名前を聞いたときはりりしくかっこいいイメージがあった。
何より女だと思っていたのに、
名前と一緒に書かれていた住所にいってみるとそこにいたのは髪はボサボサの金髪、だらけた服装の男だった。
男は私を見ると「だれ?」何て言ってきた。
な!
一応結構人気なアイドルだったんだけど!
何て言えるわけもない。
自分が嫌っていた世界のことをこういうときに使うのはなにかせこい感じがする。
私のことはまだいい。
私は恐る恐る口を開く。
「私、上村芸能事務所のものなんですけど、、
華元(かげん)さんのお宅で間違いないでしょうか?」
すると、華元ということばに反応した男は私に向かってはぁーーっ。とため息をついた。
なんか腹が立つなぁ。
拳を握ってこらえる。
男はだるそうな目を向けていった。
「今日は咲じゃねぇんだ。
てか俺のこと事務所にいってんのか。
ちっ。咲のやろう。」
咲と面識があるのか。
じゃあ、やっぱりこの人が、華元。
私はいう。
「華元さん。
ーーーーアイドルになりませんか」
「ふ。やだ。」
華元は、口角を挙げた。
そのまま、華元は続ける。
「咲が俺をデビューさせてくれるって約束してるから。
だから無理。」
私は握りしめていた手の力を緩めた。
そうか、
思えば葬式にもこんな金髪はいなかった。
病院に来たこともなかった。
わかってないんだ。
咲が死んだこと。
咲、私はこんな残酷なことをしなければならないの。
私があなたが死んだことをやっと少し受け入れて進もうとしているのに、
死んだことすら知らない。
こんな子に「アイドルになりませんか」なんていって、
そんなの、
そんなの、
辛いに決まってるじゃない。
男の前で思わず涙がこぼれた。
男も意外な反応にあたふたしだす。
ティッシュを部屋から持ってきて涙を吹いてくれた。
涙で赤くはれた目で男を見る。
男は迷惑そうにいった。
「泣かれたって、やくそくしてっか「ごめんなさい。」」
私は男にしがみついた。
私が謝る必要なんてない。
でも謝るしかないんだ。
謝ることしかできないんだ。
「ごめんなさい。
ごめんなさいっ。
ごめん、、、なさっ。」
「おいおい、なに謝ってんだよ。あやまんのは俺の方っつーか、、」
ごめんなさい。
私はあなたに今から残酷な現実を突きつけなければならない。
ほんとうに
「華元さんっ、、
咲は、、
もういないの。」
「は」
ごめんなさい。
「亡くなったの。
だから、、
だから、約束はーーー「帰れ」っ、、」
体をいきなり突き放されて
ばたんっ。
扉は閉められた。
私は頭を閉じられた扉に押し付けてずるずるとすわりこんだ。
涙が出てくる。
ポタポタと床を濡らしていった。
「咲、、
なんてことしてくれんのよ。」
とまらない。
「なんで、こんな子、
おいていったの」
言葉がどんどん出てきた。
「私なんかより、この子をデビューさせて、死になさいよ。」
扉の向こうでガンっとおとがした。
男も扉に頭を押さえつけてるようだ。
私がやることは咲に悪態付くことじゃない。
私は男に聞こえるようにいった。
「咲の秘密兵器だって、
やるね。華元さん。」
向こうからはすすり泣く声が聞こえた。
私は立つ。
扉の向こうにいるであろう。男に向かっていった。
「私は、上村芸能事務所の新人プロデューサーです。
咲から、あなたのことを託されてきました。
咲に託そうとしたすべてを私に託してもらえませんか。
すぐな答えなんて要りません。」
答えはない。
一礼した。
「明日またきます。」
返事はやはりなくすすり泣く声が聞こえるだけだった。
強くなきゃいけない。
私は決めたんだ、この華元という咲の残した宝を輝かせると。
強くなきゃいけない。
強くなきゃいけないのに、、
泣けてきた。
私は泣きながら家に帰った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる