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立花立花

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5章:ヒマワリとナツメの初デート

41話:デート【寿司屋①】

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いい声で俺の耳元で囁くな!!ゾワゾワするだろ!!!

「っぷはは!ごめんごめん!じゃあお寿司屋さんへ行こっか。こっから5分も歩かないから安心して」
「安心って…」
「だって体力ないでしょ?」
「…そうだけど」

別にそんなこと言わなくてもいいだろ!?
そりゃ仕事であちこち行っている棗くんと違って俺はずっと椅子の上にいるよ!!移動距離は全部家の中だけだよ!!

「ほら、ここだよ」
「家紋がついてるのにそんなに安いの!?」
「ランチの時だけね。僕も初めてくるからドキドキするよ」

え…。
棗くんもドキドキするんだ。可笑しな話だけど棗くんも普通の人間だと思えて少しだけびっくりする。そっか。棗くんも緊張するんだ…。親近感が湧いて少しだけニヤついてしまう。

「何、ニヤニヤしてるの?」
「いーや、何でも!」
「…そう?」
「そ!んじゃ、上手い寿司でも食おうぜ!」

家紋が入っている暖簾をくぐり抜けて、お寿司屋さんの中へ入る。そこは思っていた通りの高級感漂うカウンターとテーブル席があった。少し広めな店内には落ち着いた音楽がかかっている。
うん。これは高いお店だ。懐かしいな、よく父さんに連れてきてもらったっけ。あ、あとお義兄さんにも。

「いらっしゃいませ」
「わ、意外と混んでるね」
「そりゃ二千円で食べ放題は破格だよ。こんなにいい店なのに」
「入っただけでも分かるの?」
「あーまぁ。お寿司は実際に食べてみないと分からないけど、あそこのカウンター机は本物の一枚板だから。しかもこれだけ大きい物だと最低でも七万円からだな」
「お客さん詳しいですね」
「…あ、は、初めまして」
「結構いい物を安く譲ってもらったんですよ。本来二十万円相当のものを十万円で」
「うっわ。そこ太っ腹ですね」
「そうなんですよ。もしよかったらこちらのカウンター席へどうぞ」

板前さんに言われるがままカウンター席に棗くんと座る。

「流石だね」
「祖父が一流の物を知りなさいって教えられて…。そのせいかな?」
「大地主だもんね。そりゃそうだ」
「え?よく知ってるね」
「言ったでしょ。ずっと好きだったって…。気持ち悪いと思われるかもだけど、ネットで名前を検索したらでてきたんだよ」
「お、俺の名前を!?」
「うん。中学生の時かな?そしたら葵くんはでなかったけど、向日家の方々は検索でヒットして」
「わー!そんなのあるの!?」

は、恥ずかしい…!
むしろ『ヒワマリ』で検索ヒットして欲しいよ!まぁ今ならヒットすると思うけどさ。エゴサをTubetterでしかしないから分からないけど。
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