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第一章 輝葬師
序幕 「輝葬」 一
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深夜、草木が鬱蒼と茂る山の中に少年はいた。
そこは登山道からかなり外れ、およそ人が通うような所ではなかった。
一粒の汗が少年の頬を伝う。
少年は自分の腰位の長さまで乱雑に育った草木を前屈みの状態でかき分け、慎重に何かを探すように前進していた。
捜索を始めてから既に一時間程度が経っていた。
少年は少し疲労を感じたため、作業を中断しその場に立ち上がる。
顔の汗を拭い、仰反るようにかるく伸びをして、曲げ続けた腰を労わった。
ふと周りを見渡すと、暗闇の中、木々の間からほんのりと差す月明かりが草木を照らしており、静寂の闇夜に浮かぶその光景を見ているとなんとなしに心が落ち着いた。
少年は大きく深呼吸をしてから捜索を再開し、程なくして、草木の隙間から伸びる人の手を発見する。
その手から続く腕の方、体があるであろう場所の草木をかき分けると、月明かりよりも淡く発光する拳大の光球があり、その光球の下に少年の探していたものがあった。
人の骸だ。
心音が高鳴り、全身が熱くなる。骸を発見することはこれまでにも何度か経験してはいたが、いざ目の前にするとやはり体が緊張してしまう。
目を閉じ、胸に手をあて数回呼吸をすると、少し落ち着いてきた。
大丈夫。心でつぶやくとゆっくり目を開けた。
落ち着きを取り戻した少年は改めて骸を確認する。
男性であることは間違いない。着ている衣服は血と泥で酷く汚れており、腕や顔には打撲痕が多数確認された。
鼻も折れているのだろう、不自然に曲がっている。
蟲や獣に襲われたとは到底思えないこの状態から、人の手によって執拗かつ激しい暴行を受けたことが容易に想像できた。
その他に致命傷になりそうな外傷は見当たらないため、暴行の結果、死に至ったのだろう。
少年は骸の左手薬指にはめられていた指輪をそっと外し、内側に刻まれた文字を読む。<リーベルマン&カテリーネ>と刻まれていた。
依頼者から捜索願いが出されていた人物で間違いないようだった。
少年は背負っていた鞄から手のひらに収まる程度の小さな発光機器を取り出し、スイッチを入れる。
機器はシューっという音を立てながら大気の魔力を吸収すると、青白く淡い光で付近を照らした。
闇世に少年の姿が朧げに浮かび上がる。あどけない顔に澄んだ青色の瞳が美しかった。
次に鞄から小さな笛を取り出し、ピッピッピーと強く吹く。骸を見つけた合図だ。
しばらくすると、ピーっという返答の音が二箇所から聞こえてきた。別れて骸を探していた他の二名からの了解の合図である。
合図を確認した少年は、骸にゆっくり顔を向けると目を閉じ、手を合わせて死者へ祈りを捧げた。
山間を吹き抜ける風が少年の頬を優しく撫でた。
そこは登山道からかなり外れ、およそ人が通うような所ではなかった。
一粒の汗が少年の頬を伝う。
少年は自分の腰位の長さまで乱雑に育った草木を前屈みの状態でかき分け、慎重に何かを探すように前進していた。
捜索を始めてから既に一時間程度が経っていた。
少年は少し疲労を感じたため、作業を中断しその場に立ち上がる。
顔の汗を拭い、仰反るようにかるく伸びをして、曲げ続けた腰を労わった。
ふと周りを見渡すと、暗闇の中、木々の間からほんのりと差す月明かりが草木を照らしており、静寂の闇夜に浮かぶその光景を見ているとなんとなしに心が落ち着いた。
少年は大きく深呼吸をしてから捜索を再開し、程なくして、草木の隙間から伸びる人の手を発見する。
その手から続く腕の方、体があるであろう場所の草木をかき分けると、月明かりよりも淡く発光する拳大の光球があり、その光球の下に少年の探していたものがあった。
人の骸だ。
心音が高鳴り、全身が熱くなる。骸を発見することはこれまでにも何度か経験してはいたが、いざ目の前にするとやはり体が緊張してしまう。
目を閉じ、胸に手をあて数回呼吸をすると、少し落ち着いてきた。
大丈夫。心でつぶやくとゆっくり目を開けた。
落ち着きを取り戻した少年は改めて骸を確認する。
男性であることは間違いない。着ている衣服は血と泥で酷く汚れており、腕や顔には打撲痕が多数確認された。
鼻も折れているのだろう、不自然に曲がっている。
蟲や獣に襲われたとは到底思えないこの状態から、人の手によって執拗かつ激しい暴行を受けたことが容易に想像できた。
その他に致命傷になりそうな外傷は見当たらないため、暴行の結果、死に至ったのだろう。
少年は骸の左手薬指にはめられていた指輪をそっと外し、内側に刻まれた文字を読む。<リーベルマン&カテリーネ>と刻まれていた。
依頼者から捜索願いが出されていた人物で間違いないようだった。
少年は背負っていた鞄から手のひらに収まる程度の小さな発光機器を取り出し、スイッチを入れる。
機器はシューっという音を立てながら大気の魔力を吸収すると、青白く淡い光で付近を照らした。
闇世に少年の姿が朧げに浮かび上がる。あどけない顔に澄んだ青色の瞳が美しかった。
次に鞄から小さな笛を取り出し、ピッピッピーと強く吹く。骸を見つけた合図だ。
しばらくすると、ピーっという返答の音が二箇所から聞こえてきた。別れて骸を探していた他の二名からの了解の合図である。
合図を確認した少年は、骸にゆっくり顔を向けると目を閉じ、手を合わせて死者へ祈りを捧げた。
山間を吹き抜ける風が少年の頬を優しく撫でた。
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