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スラハト解放戦
赤き騎士の決意2
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「悪いが、貴様に構ってる暇はない。次の一撃で決めさせてもらうぞ!!」
ガイエンはグラムを構える一真との距離を一瞬で詰めると、閃光の如き速さでヘルギを振る。
その首を確実に捉えたであろうタイミングの一撃を、一真はバックステップで簡単に躱し、その動作の流れのままグラムをガイエン目掛けて突き出した。
ガァキキィィン!!
無駄の無い動きで繰り出されたグラムの一撃をガイエンは辛うじてヘルギの鞘で防ぐと、咄嗟に一真との距離をとる。
(強い!!一体、どうなっているんだ??たった数日で、何故こんな急激に強くなった!!)
一真は自分から攻撃する気が無いのか……グラムを構えたままガイエンの様子を伺っている。
ガイエンも一真の様子をしばらく観察したが、以前と何か変わったか分からない……いや、その手に握られたグラムを見て納得した。
「なるほど……神剣を手に入れて、強さに目覚めたか……オレもヘルギに出会って強くなった。だが、一鳥一石では真の強さは得られん!!」
額から流れる汗を一度拭うと、ガイエンはヘルギに力を込める。
ガイエンの力に呼応するようにヘルギが微かに赤く輝き、不気味な輝きを灯し始めた。
その輝きの照らす範囲は小さいが、近くに立つ一真を照らすのには充分である。
「きゃあああっ!!」
??????
一真が怯えた瞬間に斬りかかろうと構えていたガイエンは、林の中から聞こえた女の子の叫び声に驚き思わず躓く。
「なんだ??何の声だ??」
「って、ルナじゃないかっ!!なんで、こんな場所に??」
身体を震わせながら……林の中から転げるように現れた女の子を見て、一真も驚いて思わず叫んでしまった。
「まずい!!」
名前を叫んでしまった事で、自分とルナが知り合いである事をガイエンに気付かれた……ガイエンならば、ルナを人質に使ったり危害を加えたりする可能性もある。
ルナを庇うように動き出した一真は、自分の考えとは違う方向からの攻撃に反応が遅れた。
それでも、辛うじてグラムの腹でヘルギの一撃を受け止め、転がりながらルナの前に辿り着く。
「ちっ、オレがガキを人質に取るとでも思ってたのか……ふざけやがって!!」
そう……一真はルナを守る為に動き出したが、ガイエンはルナなど見向きもせず、一直線に一真に斬りかかったのだ。
ネイアを殺した時とは、明らかに太刀筋が違う……禍々しい感じは一切無く、迷いも無い。
まるで、正義の為に振るわれている剣のようだ……
そして、弱い者を利用しない……以前のガイエンからは想像も出来なかった。
「カズ兄ちゃん、ごめんなさい……1人でお城に行ったって聞いて、心配で……」
「ルナ、話は後で聞くよ。今は危ないから、木の間に隠れていて」
一真はそう言うと、ルナを再び林の中に戻す。
「バルデルス……以前のガイエンじゃニャイみたいだニャ。ニャンでかニャ??」
「そうだね……少なくとも、復讐に燃えていた頃とは明らかに違う。ティアの話だと、幼少期のガイエンは優しかったって……その頃に戻ったのかな??」
立ち上がりながらアクアと話す一真を、ガイエンはヘルギを構えながら睨んでいる。
「随分と余裕だな。だが、次の一撃で決めてやる!!こんな所でチンタラやっている暇は無いんでなっ!!」
先程よりも更に濃い赤の光がヘルギの刀身から発せられ、一真の身体を包み込む。
(殺す必要はない……今は時間も無いしな……身動きが出来ない程度に痛め付けて、それで終わりだ)
ガイエンは怯えているであろう一真に、ヘルギで斬りかかろうとした。
「なにっ!!その瞳は??」
思わず驚きの声を上げるガイエンの視線の先には、赤い瞳を輝かせながら、怯える様子もない一真が立っている。
「ヘルギの力が無効可されている??ま……まさか……凰の目なのか??いや、そんな筈はない!!」
立ち止まったガイエンを見た一真は、肩に座るアクアの頭を撫でた。
「バロールと戦う前だけど……ごめんアクア……一瞬だけ力を使う。しっかり掴まってて」
「今のガイエンなら大丈夫……でもバルデルス、一瞬だけニャ!!」
一真は頷くと、グラムを構える。
「凰の目だろうが……オレの邪魔はさせん!!うおぉぉぉぉお!!」
ヘルギを構え、叫びながら再び一真との距離を詰めるガイエン。
ヘルギの力が及ばないのなら……凰の目の力で、神剣の力が封じられるなら……ガイエンは、純粋な剣技での勝負に賭けた。
渾身の力で振られるヘルギを、尽く躱す一真。
(馬鹿な……掠りもしない!!)
躱され続けながらも、ガイエンはヘルギを振り続ける。
いつしかその顔は、自信に満ちた表情から焦りの表情に変わっていく。
「ガイエン、これで終わらせる!!」
一真の瞳が赤く光り、その背中に炎の翼が一瞬具現化する。
「なっ……焔の翼……だと……」
少しの火の粉を残して一真の姿は消え、振られたヘルギは空を斬った……
ガイエンはグラムを構える一真との距離を一瞬で詰めると、閃光の如き速さでヘルギを振る。
その首を確実に捉えたであろうタイミングの一撃を、一真はバックステップで簡単に躱し、その動作の流れのままグラムをガイエン目掛けて突き出した。
ガァキキィィン!!
無駄の無い動きで繰り出されたグラムの一撃をガイエンは辛うじてヘルギの鞘で防ぐと、咄嗟に一真との距離をとる。
(強い!!一体、どうなっているんだ??たった数日で、何故こんな急激に強くなった!!)
一真は自分から攻撃する気が無いのか……グラムを構えたままガイエンの様子を伺っている。
ガイエンも一真の様子をしばらく観察したが、以前と何か変わったか分からない……いや、その手に握られたグラムを見て納得した。
「なるほど……神剣を手に入れて、強さに目覚めたか……オレもヘルギに出会って強くなった。だが、一鳥一石では真の強さは得られん!!」
額から流れる汗を一度拭うと、ガイエンはヘルギに力を込める。
ガイエンの力に呼応するようにヘルギが微かに赤く輝き、不気味な輝きを灯し始めた。
その輝きの照らす範囲は小さいが、近くに立つ一真を照らすのには充分である。
「きゃあああっ!!」
??????
一真が怯えた瞬間に斬りかかろうと構えていたガイエンは、林の中から聞こえた女の子の叫び声に驚き思わず躓く。
「なんだ??何の声だ??」
「って、ルナじゃないかっ!!なんで、こんな場所に??」
身体を震わせながら……林の中から転げるように現れた女の子を見て、一真も驚いて思わず叫んでしまった。
「まずい!!」
名前を叫んでしまった事で、自分とルナが知り合いである事をガイエンに気付かれた……ガイエンならば、ルナを人質に使ったり危害を加えたりする可能性もある。
ルナを庇うように動き出した一真は、自分の考えとは違う方向からの攻撃に反応が遅れた。
それでも、辛うじてグラムの腹でヘルギの一撃を受け止め、転がりながらルナの前に辿り着く。
「ちっ、オレがガキを人質に取るとでも思ってたのか……ふざけやがって!!」
そう……一真はルナを守る為に動き出したが、ガイエンはルナなど見向きもせず、一直線に一真に斬りかかったのだ。
ネイアを殺した時とは、明らかに太刀筋が違う……禍々しい感じは一切無く、迷いも無い。
まるで、正義の為に振るわれている剣のようだ……
そして、弱い者を利用しない……以前のガイエンからは想像も出来なかった。
「カズ兄ちゃん、ごめんなさい……1人でお城に行ったって聞いて、心配で……」
「ルナ、話は後で聞くよ。今は危ないから、木の間に隠れていて」
一真はそう言うと、ルナを再び林の中に戻す。
「バルデルス……以前のガイエンじゃニャイみたいだニャ。ニャンでかニャ??」
「そうだね……少なくとも、復讐に燃えていた頃とは明らかに違う。ティアの話だと、幼少期のガイエンは優しかったって……その頃に戻ったのかな??」
立ち上がりながらアクアと話す一真を、ガイエンはヘルギを構えながら睨んでいる。
「随分と余裕だな。だが、次の一撃で決めてやる!!こんな所でチンタラやっている暇は無いんでなっ!!」
先程よりも更に濃い赤の光がヘルギの刀身から発せられ、一真の身体を包み込む。
(殺す必要はない……今は時間も無いしな……身動きが出来ない程度に痛め付けて、それで終わりだ)
ガイエンは怯えているであろう一真に、ヘルギで斬りかかろうとした。
「なにっ!!その瞳は??」
思わず驚きの声を上げるガイエンの視線の先には、赤い瞳を輝かせながら、怯える様子もない一真が立っている。
「ヘルギの力が無効可されている??ま……まさか……凰の目なのか??いや、そんな筈はない!!」
立ち止まったガイエンを見た一真は、肩に座るアクアの頭を撫でた。
「バロールと戦う前だけど……ごめんアクア……一瞬だけ力を使う。しっかり掴まってて」
「今のガイエンなら大丈夫……でもバルデルス、一瞬だけニャ!!」
一真は頷くと、グラムを構える。
「凰の目だろうが……オレの邪魔はさせん!!うおぉぉぉぉお!!」
ヘルギを構え、叫びながら再び一真との距離を詰めるガイエン。
ヘルギの力が及ばないのなら……凰の目の力で、神剣の力が封じられるなら……ガイエンは、純粋な剣技での勝負に賭けた。
渾身の力で振られるヘルギを、尽く躱す一真。
(馬鹿な……掠りもしない!!)
躱され続けながらも、ガイエンはヘルギを振り続ける。
いつしかその顔は、自信に満ちた表情から焦りの表情に変わっていく。
「ガイエン、これで終わらせる!!」
一真の瞳が赤く光り、その背中に炎の翼が一瞬具現化する。
「なっ……焔の翼……だと……」
少しの火の粉を残して一真の姿は消え、振られたヘルギは空を斬った……
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