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血に染まる白き冠
作戦会議
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バロール軍進軍の報は、コナハト城を監視していた斥候により、すぐにベルヘイム遠征軍に知らされる事になる。
アルパスターは主要な将のみを集め、急遽作戦会議を開く事になった。
「バロールが動いた………てっきり、籠城してくると思ったが…………しかしバロールがいなければ、魔眼による攻撃が無い分、攻城戦は有利か??」
オルフェが別動隊によるコナハト城攻略の策を提案するが、アルパスターが遮る。
「いや、クロウ・クルワッハが城の守りに入っているとの報告も受けている。隊を割って、半数の部隊でバロール以上の力を持つクロウ・クルワッハを相手するのは、現状では不可能だ。バロールに集中しなければ、全滅しかねない」
ディノ家はバロールの力の強大さを、教訓として代々伝えていた。
アルパスターの先祖ランティストも、当時最強だった7国の騎士の1人として実際にバロールと戦ったが、魔眼を1つ潰すのが精一杯で、戦いには敗れている。
そのランティストの足元にも及ばないであろう自分がバロールに勝つには、全軍をバロールにぶつけるしかないと考えていた。
オルフェは頷くと、集まっている将の方を向いた。
「航太とゼークは二手に分かれて、バロール軍の左右から挟むように攻めてくれ。オレの隊は林の影に隠れ、バロール軍が通り過ぎたら後ろから攻める。アルパスター将軍とユングヴィ王子は正面に陣を構え、バロール軍をおびき出してもらう」
オルフェの部隊配置にアルパスターは頷き、全員の方を向く。
「バロールは、フェルグスやガイエンなど比べ物にならないぐらい強い。バロールの視界に入った者は、魔眼の力で全て殺されてしまう。必ず、死角から攻撃する事を心掛けてくれ!!」
アルパスターの言葉に、一同に緊張が走る。
「視界に入ったら殺されるって……………戦いようが無い……………」
「それに、死角からって言っても…………バロールが高台からグルグル回って下を見続けたら、成す統べなく全滅じゃん………」
智美と絵美が顔を青くして、絶望感を漂わせながら力無く言う。
「方法が無い訳じゃないよ!!バロールの視界に入っても【魔眼】が発動してなければ、効果はないの。魔眼を使うにはかなりのエネルギーと集中力を使うみたいだし、バロールの力も衰えてるって聞いた事あるから、その隙さえ付ければ………」
そんな2人の手を、ゼークが力強く握って答える。
「しかし、魔眼が脅威なのは変わらない。くれぐれも注意して戦いに挑んでもらいたい」
アルパスターが、気持ちを引き締めるように全体に伝えた。
「兵を指揮する初戦から難敵とか………ハードル高ぇな!!しかし………オレにも秘策アリだ。視界に入ったら死ぬって言っても、それはバロールが認識しなきゃ効果は無い筈だ。ってー事は??」
航太は椅子に座りながら後ろに反り返って、ふざけた口調で言う。
「航ちゃん、それって、どういう意味…………」
「目って言うのは、光を捉える物だ。で、水は光を反射する…………智美と絵美がいるウチの部隊しか使えないが、バロールに迫れる筈だ!!」
智美と絵美は、ナルホドと言わんばかりに手を叩く。
「航ちゃんには、私と智美が付いてるんだから大丈夫だょ♪♪うーっし、力湧いてきたー」
絵美は先程の青ざめた顔が嘘のように、声に明るさが戻った。
智美と絵美以外は意味が分からず、首を捻っている。
「航太の言っている事は、よく分からんが…………秘策と言うなら期待させてもらおう」
光の反射やらなんやら、科学の事はアルパスターは分からない。
それでも、航太達の不思議な知識は力になると信じていた。
その時、突然立ち上がった背の低い女性がいた…………テューネである。
「オルフェ様、私には何の役割も頂けないのですか??バロールとの戦いなら、皇の目は力になるはず。私は自分を鍛えて、ランカスト様とソフィーア様の敵を討つ力をつけなきゃいけない…………その為にも、戦場で経験を積みたいんです!!」
真剣なテューネの眼差しを避けるように首を振ったオルフェは、その口を開く。
「テューネ…………敵討ちに囚われていては、ガヌロンと同じになってしまうぞ。それはランカストもソフィーアも、望んではいないだろう??皇の目を使わない事を条件に、ゼーク隊で戦ってもらおうと思っているが…………ゼーク、頼めるか??」
「私の隊には、神剣を使える者がいません。テューネを付けて頂けるのは有り難いですが…………」
ゼークはそう言うと、テューネを見る。
「分かりました。でも、仲間を救う時は皇の目を使います。目の前で、親しい者が倒れていくのは、もう見たくないから…………」
その言葉に、オルフェは止む終えず頷いた。
「皆、勝つ事も大切だが、自分の身を守る事を最優先にしてくれ!!自分が死なない為には、今テューネも言っていたが仲間と助け合いながら戦うのが一番だ!!そして、生きて帰るという強い意思が集まれば、魔眼を跳ね返す力になるかもしれない。気持ちを強く持って戦おう!!」
オルフェの言葉に、航太は胸の内から力が湧いてくる気がした。
アルパスターは主要な将のみを集め、急遽作戦会議を開く事になった。
「バロールが動いた………てっきり、籠城してくると思ったが…………しかしバロールがいなければ、魔眼による攻撃が無い分、攻城戦は有利か??」
オルフェが別動隊によるコナハト城攻略の策を提案するが、アルパスターが遮る。
「いや、クロウ・クルワッハが城の守りに入っているとの報告も受けている。隊を割って、半数の部隊でバロール以上の力を持つクロウ・クルワッハを相手するのは、現状では不可能だ。バロールに集中しなければ、全滅しかねない」
ディノ家はバロールの力の強大さを、教訓として代々伝えていた。
アルパスターの先祖ランティストも、当時最強だった7国の騎士の1人として実際にバロールと戦ったが、魔眼を1つ潰すのが精一杯で、戦いには敗れている。
そのランティストの足元にも及ばないであろう自分がバロールに勝つには、全軍をバロールにぶつけるしかないと考えていた。
オルフェは頷くと、集まっている将の方を向いた。
「航太とゼークは二手に分かれて、バロール軍の左右から挟むように攻めてくれ。オレの隊は林の影に隠れ、バロール軍が通り過ぎたら後ろから攻める。アルパスター将軍とユングヴィ王子は正面に陣を構え、バロール軍をおびき出してもらう」
オルフェの部隊配置にアルパスターは頷き、全員の方を向く。
「バロールは、フェルグスやガイエンなど比べ物にならないぐらい強い。バロールの視界に入った者は、魔眼の力で全て殺されてしまう。必ず、死角から攻撃する事を心掛けてくれ!!」
アルパスターの言葉に、一同に緊張が走る。
「視界に入ったら殺されるって……………戦いようが無い……………」
「それに、死角からって言っても…………バロールが高台からグルグル回って下を見続けたら、成す統べなく全滅じゃん………」
智美と絵美が顔を青くして、絶望感を漂わせながら力無く言う。
「方法が無い訳じゃないよ!!バロールの視界に入っても【魔眼】が発動してなければ、効果はないの。魔眼を使うにはかなりのエネルギーと集中力を使うみたいだし、バロールの力も衰えてるって聞いた事あるから、その隙さえ付ければ………」
そんな2人の手を、ゼークが力強く握って答える。
「しかし、魔眼が脅威なのは変わらない。くれぐれも注意して戦いに挑んでもらいたい」
アルパスターが、気持ちを引き締めるように全体に伝えた。
「兵を指揮する初戦から難敵とか………ハードル高ぇな!!しかし………オレにも秘策アリだ。視界に入ったら死ぬって言っても、それはバロールが認識しなきゃ効果は無い筈だ。ってー事は??」
航太は椅子に座りながら後ろに反り返って、ふざけた口調で言う。
「航ちゃん、それって、どういう意味…………」
「目って言うのは、光を捉える物だ。で、水は光を反射する…………智美と絵美がいるウチの部隊しか使えないが、バロールに迫れる筈だ!!」
智美と絵美は、ナルホドと言わんばかりに手を叩く。
「航ちゃんには、私と智美が付いてるんだから大丈夫だょ♪♪うーっし、力湧いてきたー」
絵美は先程の青ざめた顔が嘘のように、声に明るさが戻った。
智美と絵美以外は意味が分からず、首を捻っている。
「航太の言っている事は、よく分からんが…………秘策と言うなら期待させてもらおう」
光の反射やらなんやら、科学の事はアルパスターは分からない。
それでも、航太達の不思議な知識は力になると信じていた。
その時、突然立ち上がった背の低い女性がいた…………テューネである。
「オルフェ様、私には何の役割も頂けないのですか??バロールとの戦いなら、皇の目は力になるはず。私は自分を鍛えて、ランカスト様とソフィーア様の敵を討つ力をつけなきゃいけない…………その為にも、戦場で経験を積みたいんです!!」
真剣なテューネの眼差しを避けるように首を振ったオルフェは、その口を開く。
「テューネ…………敵討ちに囚われていては、ガヌロンと同じになってしまうぞ。それはランカストもソフィーアも、望んではいないだろう??皇の目を使わない事を条件に、ゼーク隊で戦ってもらおうと思っているが…………ゼーク、頼めるか??」
「私の隊には、神剣を使える者がいません。テューネを付けて頂けるのは有り難いですが…………」
ゼークはそう言うと、テューネを見る。
「分かりました。でも、仲間を救う時は皇の目を使います。目の前で、親しい者が倒れていくのは、もう見たくないから…………」
その言葉に、オルフェは止む終えず頷いた。
「皆、勝つ事も大切だが、自分の身を守る事を最優先にしてくれ!!自分が死なない為には、今テューネも言っていたが仲間と助け合いながら戦うのが一番だ!!そして、生きて帰るという強い意思が集まれば、魔眼を跳ね返す力になるかもしれない。気持ちを強く持って戦おう!!」
オルフェの言葉に、航太は胸の内から力が湧いてくる気がした。
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