運命のパズル

14章

真犯人の影

第14章: 真犯人の影

幹部会議まであと2日。葉羽、彩由美、山田の三人は、放課後の空き教室に集まっていた。机の上には、これまでに集めた情報や地図が広げられている。
「まとめよう」葉羽が口を開いた。「組織の幹部会議が明後日に開かれる。場所はまだ不明だが、おそらく学校の敷地内か、その近くだろう」
山田が頷いた。「その通りです。私の情報源によると、会議の主な議題は学園の今後の方針について。特に、才能ある生徒たちの扱いに関する重要な決定がなされるようです」
彩由美が不安そうに尋ねた。「私たちに何ができるの？」
葉羽は真剣な表情で答えた。「まず、会議の場所を特定する。そして、何らかの方法でその内容を把握しなければならない」
「でも、それって危険じゃ...」
彩由美の言葉が途切れたその時、教室のドアが突然開いた。
「やあ、みんな。何を話し合ってるんだい？」
声の主は佐々木だった。三人は驚いて振り返る。
「佐々木くん！」彩由美が声を上げた。「どうしてここに...？」
佐々木は軽く笑いながら教室に入ってきた。「偶然通りかかったんだ。でも、みんなの様子を見てると、何か重大なことを話し合ってるみたいだね」
葉羽は警戒心を隠せずにいた。「ただの雑談さ。気にしないでくれ」
佐々木はにやりと笑った。その表情に、今までに見たことのない冷たさが感じられた。
「本当かな？」佐々木の声のトーンが変わる。「実は、私も知ってるんだ。幹部会議のことをね」
部屋の空気が一瞬で凍りついた。
山田が素早く立ち上がり、佐々木との間に立ちはだかった。「あなたは...組織の人間なの？」
佐々木は肩をすくめた。「まあ、そうとも言えるし、そうでないとも言える。でも、一つだけ確かなことがある」
彼は急に真剣な表情になった。「私は、あなたたちの味方だ」
葉羽は眉をひそめた。「どういうことだ？」
佐々木は深いため息をついた。「実は私も、この組織の真の姿を知りたいと思っていた。だから、あなたたちの動きを見守っていたんだ」
「じゃあ、あなたも組織に反対しているの？」彩由美が尋ねた。
佐々木は首を横に振った。「反対というわけじゃない。ただ、組織の中にも様々な派閥があって...私は、創設者の理念に近い考えを持つ人たちの側にいるんだ」
葉羽は佐々木をじっと見つめた。「信じていいのか？」
「それは君たち次第さ」佐々木は真摯な表情で答えた。「でも、私には幹部会議の正確な場所と時間が分かっている。協力すれば、君たちの目的を達成できるかもしれない」
部屋に重苦しい沈黙が流れた。葉羽は仲間たちの顔を見回し、ゆっくりと頷いた。
「分かった。協力しよう。でも、少しでも怪しい動きをしたら...」
佐々木は手を挙げた。「分かってる。私を信じてくれて、ありがとう」
こうして、思いがけない協力者を得た四人は、幹部会議に向けての作戦を練り始めた。しかし、彼らはまだ気づいていなかった。この展開が、さらに大きな陰謀の一部であることを...。