運命のパズル

葉羽

文字の大きさ
16 / 19
16章

最後の推理

しおりを挟む
第16章: 最後の推理
理事長の案内で、葉羽たち4人は学園の地下深くにある秘密の部屋へと導かれた。部屋に入ると、そこには最新のコンピューター設備と、壁一面に広がる巨大なスクリーンがあった。
「さて、神藤葉羽君」理事長が振り返った。「君の推理力を、最後にもう一度試させてもらおう」
葉羽は眉をひそめた。「最後の...推理?」
理事長はにやりと笑った。「そう。これまでの全ての出来事、そして我々の真の目的。全てを推理してみせてくれ」
部屋の空気が張り詰める。彩由美、山田、佐々木の視線が、葉羽に集中した。
葉羽は深く息を吐き、頭の中で点と点を結び始めた。
「まず、この組織の存在」葉羽は静かに話し始めた。「表向きは才能ある生徒を育成するためのものだが、実際はもっと大きな目的がある」
理事長は黙ってうなずいた。
「そして、高橋先生の事件、山田さんの失踪、文化祭の資金盗難...全ては僕たちを試すための舞台装置だった」
「そこまでは正解だ」理事長が言った。「では、我々の真の目的は?」
葉羽は一瞬目を閉じ、全ての情報を頭の中で整理した。そして、突然目を見開いた。
「まさか...」
「何か分かったのか?」彩由美が小声で尋ねた。
葉羽はゆっくりと口を開いた。「この組織の真の目的は...未来を変えることだ」
部屋に静寂が流れた。
「どういうことだ?」佐々木が困惑した様子で聞いた。
葉羽は説明を続けた。「この施設、最新の技術...そして、才能ある生徒たちを集めている理由。全ては、未来を予測し、そして操作するためだ」
理事長の目が輝いた。「素晴らしい。その通りだ」
「でも、どうやって?」山田が尋ねた。
葉羽は壁のスクリーンを指さした。「あのコンピューターシステムを使って、膨大なデータを分析し、未来の可能性を計算しているんだ。そして、才能ある人材を戦略的に配置することで、望ましい未来へと導こうとしている」
理事長は大きく拍手した。「見事だ、葉羽君。君の推理力は私の期待以上だ」
彩由美が困惑した様子で言った。「でも、それって...正しいことなの?」
理事長の表情が真剣になった。「正しいか間違っているか、それを判断するのは君たちだ。我々は、人類の未来をより良い方向に導くために、この計画を立てた。しかし、それには大きなリスクも伴う」
葉羽は理事長をまっすぐ見つめた。「そして、僕たちを試したのは...」
「そう」理事長が頷いた。「君たちこそが、この計画を正しく導ける人材かどうかを見極めるためだった」
部屋に重い沈黙が流れた。
「選択の時が来た」理事長が言った。「君たちは我々の計画に参加するか、それとも...」
葉羽は仲間たちの顔を見回した。彩由美の不安そうな表情、山田の真剣な眼差し、佐々木の複雑な表情。
そして、葉羽は決意を固めた。
「その選択を下す前に」葉羽は静かに、しかし力強く言った。「もっと詳しく知る必要がある。この計画の全て、そして...それがもたらす結果を」
理事長は満足そうに微笑んだ。「その答えこそ、我々が求めていたものだ。さあ、君たちに全てを見せよう。そして、未来を選ぶのは君たちだ」
スクリーンに、複雑なデータと未来予測の映像が映し出される。葉羽たちの目の前に、人類の可能な未来が広がっていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

【完結】恋人代行サービス

山田森湖
恋愛
就職に失敗した彼女が選んだのは、“恋人を演じる”仕事。 元恋人への当てつけで雇われた彼との二ヶ月の契約が、やがて本物の恋に変わっていく――。

処理中です...