双極の鏡

葉羽

文字の大きさ
7 / 14
7章

心の闇

しおりを挟む
葉羽は小さな鏡を手に持ちながら、部屋の中を再度見回した。美咲が亡くなる前に何を見たのか、彼女の心の中に潜む闇を理解するためには、もっと深く掘り下げる必要があると感じていた。彼は彩由美に向き直り、真剣な声で言った。

「彩由美、僕たちは美咲の心の中に何があったのかを理解しないといけない。彼女がどうしてこんなに恐れを抱いていたのか、その理由を探る必要があるんだ。」

彩由美は少し驚いたように彼を見つめ、頷いた。「そうだね。美咲には何か隠していることがあったのかもしれない。私たちが知らない部分が…」

葉羽は彼女の言葉を受け止めながら、再び美咲のメモに目を戻した。美咲は最近、何かを悩んでいた。それが彼女の死に繋がる何かであることを考えると、胸が締め付けられる思いだった。彼は、彼女の友人や周囲の人々に何か情報を求める必要があると感じた。

「彩由美、他に美咲の友達に聞いてみることができるかな?彼女が最近何を考えていたのか、どんな悩みを抱えていたのかを知るために。」

彩由美は少し考え込んだ後、頷いた。「うん、私たちの共通の友達に連絡してみる。もしかしたら、何か知っているかもしれない。」

彼女は携帯電話を取り出し、友人に連絡を取る準備を始めた。その間、葉羽はメモを眺め、彼女の心の闇について考え続けた。美咲が抱えていた恐れや不安、それがどのように彼女を追い詰めたのか、彼の頭の中で様々な想像が巡る。

しばらくして、彩由美が電話を終えた。「友達に連絡したけど、何も知らないって。美咲が最近、何か悩んでいる様子はなかったって言ってた。」

葉羽はため息をついた。彼は美咲の心の中に潜む闇を知るために、他に何か手がかりが必要だと感じていた。

「もしかしたら、美咲が何を考えていたのか、彼女自身が書いた日記やメモが残っているかもしれない。彼女の部屋のどこかに、何か手がかりがあるかも。」

彩由美は目を輝かせ、「それなら、もう一度美咲の部屋を調べてみよう!」と提案した。

葉羽は再び美咲の部屋に向かうことにした。部屋に入ると、彼はまず机の引き出しを開けてみた。そこには、散らばった書類や本が入っていたが、特に重要なものは見当たらなかった。引き出しの奥には古いノートがあり、彼はそれを引っ張り出した。

「これ、何かのノートだ。」

彼はノートを開き、中を確認する。ページには美咲の手書きの文字がびっしりと書かれていた。彼はその内容を読み進めるうちに、彼女の心の葛藤や不安が浮かび上がってきた。

「最近、何もかもうまくいかない。友達にも迷惑をかけたくない。誰にも本当の気持ちを知ってほしくない…」

葉羽の心が痛んだ。美咲は周囲に気を使い、自分の心の中にある闇を誰にも見せないようにしていたのだ。彼女の思いが、彼女を孤独に追い込んでいた。

「このノート、彼女の心の叫びだ…」

葉羽は思わず呟いた。彼はページをめくりながら、さらに深く彼女の心を理解しようとした。すると、あるページに目が留まった。

「鏡の中に映る私が、どれほど醜いかを見せつけられている気がする。反射する自分を見たくない…」

その言葉が、葉羽の心に重く響いた。美咲は自分の姿を鏡で見ることに対して恐怖を抱いていたのだ。彼女の心の闇は、単なる不安や孤独だけではなく、自分自身を受け入れられない苦しみでもあった。

「彼女は、鏡を使って自分の姿を見つめることができなかったのかもしれない…」

葉羽はその考えに驚愕した。美咲の恐怖は、彼女自身の存在に対する否定だったのだ。鏡は彼女にとって、恐ろしい真実を映し出す存在だった。

「彩由美、これを見て!」葉羽はノートを彩由美に見せた。彼女はその内容を読み、深い息をついた。

「美咲は、自分を受け入れられなかったんだ…それが、彼女の心の闇だったのかもしれない。」

葉羽はその言葉に頷きながら、さらにページをめくった。美咲の言葉から彼女の心情が伝わってくる。彼女の苦しみや不安、それがどのように彼女を追い詰めていったのか、葉羽はその全てを感じ取った。

「美咲は、鏡を通じて自分の本当の姿を見たくなかった。でも、その反発が彼女を追い詰めたんだ。」

彩由美は涙を浮かべ、悲しそうに言った。「彼女は本当の自分を受け入れたかったのに、誰にもそれを言えなかったんだね。」

葉羽はその言葉に心を痛め、決意を新たにした。「この心の闇を解き明かさなければならない。美咲が何を見たのか、その真実を知ることで、彼女を救えるかもしれない。」

彼は再びノートを手にし、目を凝らした。美咲が何を見ていたのか、そして彼女の心に何が潜んでいたのか。その真実を見つけるために、彼は全力を尽くす覚悟を決めた。

「彩由美、一緒に頑張ろう。美咲の思いを理解し、彼女のために真実を見つけるんだ。」

彼の言葉に彩由美は力強く頷いた。「うん、私も頑張る。美咲のために、私たちができることをするんだ。」

葉羽は彼女の言葉に勇気をもらい、心に新たな決意を抱いた。美咲の心の闇を解き明かすために、彼らはさらに深く進んでいくのだった。果たして、彼らはこの苦しみの真相を明らかにすることができるのか。葉羽はその期待と不安を胸に、次の行動へと向かっていった。 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

M性に目覚めた若かりしころの思い出 その2

kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、終活的に少しづつ綴らせていただいてます。 荒れていた地域での、高校時代の体験になります。このような、古き良き(?)時代があったことを、理解いただけましたらうれしいです。 一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。

処理中です...