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帝国の首都、グラン・ガルディア。
そこは、アテナが今まで見てきたどんな景色よりも、黄金と活気に満ち溢れていた。
白亜の城壁が連なり、大通りを埋め尽くす民衆は、新たに迎えられる「太陽」をひと目見ようと、熱狂的な歓声を上げている。
「……すごいわね、ローレンス。王国とは、街の熱量がまるで違うわ」
「当然です。彼らは今日、この国が真に完成する瞬間を待ちわびていたのですから」
隣に座るローレンスが、アテナの肩を引き寄せ、耳元で愛おしそうに囁く。
彼は豪華な馬車の中でも、片時もアテナの手を離そうとはしなかった。
「真に完成する……?」
「ええ。私という不完全な牙に、貴女という魂が宿る。……それで初めて、この帝国は完成するのです」
馬車が皇宮の巨大な門をくぐり、中央広場に面した大階段の前で止まった。
そこには、老練な威厳を纏った皇帝と、数多の貴族たちが整列して二人を待っていた。
「よく帰った、ローレンス。……そして、ようこそ我が帝国へ。アテナ・ヴァン・ベルクール嬢」
皇帝の言葉に、アテナは完璧な礼法で応えた。
王国で培った品格が、帝国の重鎮たちの前でも微塵も揺らぐことはない。
「……素晴らしい。エドワードの奴がこの至宝を捨てたというのは、我が帝国にとって最大の僥倖であったな」
皇帝が満足げに頷くと、ローレンスは一歩前へ出た。
彼は皇帝に向かってではなく、隣に立つアテナに向かって、その場で深々と膝をついた。
「ロ、ローレンス……? 陛下や皆様の前で、何を……っ」
「アテナ。……見てください。この広大な領土、この強大な軍、そしてこの地に生きる全ての民を」
ローレンスは広場を見渡し、再びアテナの瞳を見つめた。
その琥珀色の瞳には、もはや隠しようのない狂おしいほどの情熱が、火のように燃え盛っている。
「これら全てを、貴女に捧げます。……私が奪い、守り、積み上げてきた全ての栄光は、貴女の足元に敷かれる絨毯に過ぎない」
ローレンスは懐から、眩いほどの光を放つ青い宝石の指輪を取り出した。
それは帝国の「建国神話」に語り継がれる、皇妃にのみ許された伝説の宝玉だった。
「アテナ。……私を、貴女だけの騎士として、夫として、そして生涯を賭けた奴隷として、受け入れていただけますか? 貴女の自由を奪い、私の愛だけで塗り潰す権利を、私にください」
周囲から、息を呑む音が聞こえる。
それは単なるプロポーズではない。帝国の次期皇帝が、一人の女性に自らの全てを――文字通り、魂まで差し出すという「服従」の誓いだった。
「……貴方は、本当に……」
アテナの視界が、不意に熱いもので滲んだ。
裏切られ、捨てられ、世界に一人きりだと思っていた自分に、これほどまでに重く、深い場所を用意してくれた男。
「……ええ。喜んで。……私を、貴方の愛の檻から一生出さないと、約束して」
「誓います。死が二人を分かつまで……いいえ、死してもなお、私は貴女を逃がさない」
ローレンスはアテナの細い指に、震える手で指輪を嵌めた。
そして立ち上がると、彼女の腰を引き寄せ、広場を埋め尽くす数万の民衆の前で、奪うような熱い口づけを交わした。
「「「アテナ皇妃殿下に栄光あれ!! ローレンス殿下に勝利あれ!!」」」
空を突き破るような大歓声が巻き起こる。
アテナは、自分を抱きしめるローレンスの腕の強さに、心地よい陶酔を感じていた。
「……アテナ、もう逃げられませんよ。貴女は今日、正式に私の『世界』になったのですから」
「……ええ、望むところだわ。ローレンス」
悪役令嬢としての物語は終わり、今、帝国の最高貴妃としての、果てしない溺愛の物語が始まった。
二人の前に広がるのは、誰にも邪魔されない、黄金色の未来だけだった。
そこは、アテナが今まで見てきたどんな景色よりも、黄金と活気に満ち溢れていた。
白亜の城壁が連なり、大通りを埋め尽くす民衆は、新たに迎えられる「太陽」をひと目見ようと、熱狂的な歓声を上げている。
「……すごいわね、ローレンス。王国とは、街の熱量がまるで違うわ」
「当然です。彼らは今日、この国が真に完成する瞬間を待ちわびていたのですから」
隣に座るローレンスが、アテナの肩を引き寄せ、耳元で愛おしそうに囁く。
彼は豪華な馬車の中でも、片時もアテナの手を離そうとはしなかった。
「真に完成する……?」
「ええ。私という不完全な牙に、貴女という魂が宿る。……それで初めて、この帝国は完成するのです」
馬車が皇宮の巨大な門をくぐり、中央広場に面した大階段の前で止まった。
そこには、老練な威厳を纏った皇帝と、数多の貴族たちが整列して二人を待っていた。
「よく帰った、ローレンス。……そして、ようこそ我が帝国へ。アテナ・ヴァン・ベルクール嬢」
皇帝の言葉に、アテナは完璧な礼法で応えた。
王国で培った品格が、帝国の重鎮たちの前でも微塵も揺らぐことはない。
「……素晴らしい。エドワードの奴がこの至宝を捨てたというのは、我が帝国にとって最大の僥倖であったな」
皇帝が満足げに頷くと、ローレンスは一歩前へ出た。
彼は皇帝に向かってではなく、隣に立つアテナに向かって、その場で深々と膝をついた。
「ロ、ローレンス……? 陛下や皆様の前で、何を……っ」
「アテナ。……見てください。この広大な領土、この強大な軍、そしてこの地に生きる全ての民を」
ローレンスは広場を見渡し、再びアテナの瞳を見つめた。
その琥珀色の瞳には、もはや隠しようのない狂おしいほどの情熱が、火のように燃え盛っている。
「これら全てを、貴女に捧げます。……私が奪い、守り、積み上げてきた全ての栄光は、貴女の足元に敷かれる絨毯に過ぎない」
ローレンスは懐から、眩いほどの光を放つ青い宝石の指輪を取り出した。
それは帝国の「建国神話」に語り継がれる、皇妃にのみ許された伝説の宝玉だった。
「アテナ。……私を、貴女だけの騎士として、夫として、そして生涯を賭けた奴隷として、受け入れていただけますか? 貴女の自由を奪い、私の愛だけで塗り潰す権利を、私にください」
周囲から、息を呑む音が聞こえる。
それは単なるプロポーズではない。帝国の次期皇帝が、一人の女性に自らの全てを――文字通り、魂まで差し出すという「服従」の誓いだった。
「……貴方は、本当に……」
アテナの視界が、不意に熱いもので滲んだ。
裏切られ、捨てられ、世界に一人きりだと思っていた自分に、これほどまでに重く、深い場所を用意してくれた男。
「……ええ。喜んで。……私を、貴方の愛の檻から一生出さないと、約束して」
「誓います。死が二人を分かつまで……いいえ、死してもなお、私は貴女を逃がさない」
ローレンスはアテナの細い指に、震える手で指輪を嵌めた。
そして立ち上がると、彼女の腰を引き寄せ、広場を埋め尽くす数万の民衆の前で、奪うような熱い口づけを交わした。
「「「アテナ皇妃殿下に栄光あれ!! ローレンス殿下に勝利あれ!!」」」
空を突き破るような大歓声が巻き起こる。
アテナは、自分を抱きしめるローレンスの腕の強さに、心地よい陶酔を感じていた。
「……アテナ、もう逃げられませんよ。貴女は今日、正式に私の『世界』になったのですから」
「……ええ、望むところだわ。ローレンス」
悪役令嬢としての物語は終わり、今、帝国の最高貴妃としての、果てしない溺愛の物語が始まった。
二人の前に広がるのは、誰にも邪魔されない、黄金色の未来だけだった。
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