〘完結〛病欠で婚約破棄が中止になったら、あれよあれよと溺愛されました

桜井ことり

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「王太子殿下とリディア・グランシェール侯爵令嬢の婚約継続を、ここに正式にお祝い申し上げます」

 

王宮の大広間。明るい照明と華やかな装飾が会場を彩る中、王妃マリアの力添えによって盛大な祝宴が開催されていた。国の主要貴族や各国の使節が招かれ、あの婚約破棄騒動は遠い昔のように感じられるほどの賑わいだ。

 

「リディア、今日は最高に美しいな」

 

クリストファーはリディアの手を取って、ダンスフロアへエスコートする。彼女が身につけた淡いブルーのドレスは、緩やかな曲線を描きながら床をすべる。周囲から感嘆の声があがり、二人の姿はまるで絵画のように映っていた。

 

「殿下もとてもお似合いです。こんな晴れやかな日は、今までなかったかもしれません」

 

音楽が始まり、二人は優雅にステップを踏む。あの日の婚約破棄宣言、毒の脅威との闘い、国外勢力との交渉――様々な困難を乗り越えたからこそ、この瞬間がどれほど尊いか、リディアは胸にかみしめる。

 

「実は今日は、お前に一つ伝えたいことがあるんだ」

 

踊りながらクリストファーが耳元で囁く。リディアは心臓が高鳴るのを感じながら、彼を見上げた。

 

「……なんでしょう、殿下?」

 

「いずれ近いうちに、俺は正式に即位することになるだろう。父王が退位を考えていると王妃から聞いているんだ。そのとき、お前には王妃として、隣に立ってもらう」

 

「それは……」

 

あまりに大きな話だ。王妃。つまり王太子妃から一気に“王妃”へ。今まで覚悟はしていたが、改めて言葉にされると感無量である。二人のダンスは続きながら、リディアは夢見心地になりそうな感覚を必死にこらえる。

 

「私が、本当に王妃になっていいのでしょうか……?」

 

「いいんだ。お前じゃなきゃ困る。長い時間をかけて見てきたけれど、俺はお前の優しさも強さもすべて知っている。もう誰にも、この絆を壊すことはできない」

 

リディアは目が潤みそうになるのをこらえ、しっかりとクリストファーの肩に手を置く。音楽のリズムがゆったりと二人を包み込み、周囲の視線を感じても気にならない。

 

「……はい。私、殿下の隣で国を支えていきます。これ以上の幸せはありません」

 

ダンスが終わると、会場から拍手が湧き起こる。人々が祝福の声を惜しみなく送る中、二人は照れくさそうに微笑み合った。王妃マリアやアレクサンダー侯爵、カイル、エミリアなど、これまで支えてくれた人々も皆、笑顔で見守っている。

 

「リディア、ありがとう。お前がいなければ、俺は毒に倒れたまま――あるいは婚約破棄を本当に成立させてしまっていたかもしれない」

 

「殿下、私の方こそ感謝しています。最初は婚約破棄を宣言されて絶望しかけましたが、いま振り返ればあれが始まりだったのかも……」

 

そう言って笑い合う二人。あの衝撃的な宣言がなければ、お互いの本当の気持ちや強さに気づけなかったのかもしれない。困難を経て結ばれた分、これから先の人生はきっと輝きに満ちたものになる――リディアはそう確信していた。

 

「では、皆さまに改めてお伝えしましょう」

 

クリストファーが皆に聞こえるように声を張り上げる。静まり返る会場。そこに彼の凛とした声が響いた。

 

「私、クリストファー・エベレット・アステリアは、リディア・グランシェール侯爵令嬢を未来の王妃として深く愛し、共に国を導くことをここに誓います」

 

歓声と拍手が大広間を埋め尽くす。リディアも胸の奥から湧き上がる幸せを押しとどめられずに、少し涙を浮かべながら微笑んだ。

 

「私も……これから先、殿下をお支えすることを誓います。よろしくお願いします」

 

こうして、大勢の祝福の中で二人は未来を見据える。婚約破棄はもう過去の話。病欠によって中止された破談は、今では誰もが“あれは幻だったのか”と笑い話にするほどだ。  
長い苦難の先に掴んだ確かな絆。困難を共に乗り越えた二人だからこそ、この国の未来を照らす希望となるだろう。リディアは涙混じりの笑顔で、拍手に応えながらクリストファーと手をつないだまま、幸せと使命感を胸に大きく息を吸う。ここが新たなる始まり――王太子と侯爵令嬢が紡ぐ、永遠に続く物語の第一歩なのだ。  
かつて“病欠で婚約破棄が中止”となった奇縁が、今やかけがえのない運命を結びつけている。二人の愛はこれからも、多くの人々の前で堂々と花開いていくに違いない。
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みんなの感想(1件)

ななし
2025.06.06 ななし

何かよく分かんなかった

2025.06.06 桜井ことり

今度はななしさんが何か分かるように頑張ります⊂⌒~⊃。Д。)⊃

解除

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