27 / 71
第1章
リュンヌは周りが見えなくなりました。
しおりを挟む
自邸に帰って、ドレスを脱ぐと用意された湯船にゆっくり浸かった。
襲ってきた人達、一体何者だろう?
ガードン様は、私が狙われたと言っていた。腕を掴んだヤツも、迎えに来たと言っていたわ。
私のせいでガードン様を危険に晒したのね。
悲しみと怒り。リュンヌは湯船から出てベッドに向かう。今は身体を休めなければ。
目覚めると、いつもの時間。軽く身支度を整え、食堂へ向かう。パンとスープで朝食を済ませ、病院へ向かった。
病室に入ると、すでに目覚めたガードン様。
「ガードン様!!」
ベッドに駆け寄り、床に膝をつきガードン様の手を両手で握りしめた。
「リュンヌ、すまなかったな。俺がもっと強ければ」
いつになく、弱気な言葉にリュンヌはワナワナと震え、ここが病室だって事も、後ろにローザとセーラがいた事も、タイミング悪く入ったセウスが『ゲッ!ローザとセーラさん』と呟いた事も、見えてなかった。
「弱気なガードン様なんて嫌いです!いつもの強気なアナタはどこへ行ったのですか!?」
立ち上がり大声で叫ぶと、瞳から涙が溢れ出し、ガードン様を見ても涙で歪みはっきり見えない。
ガードンは、いきなり叫び泣き出したリュンヌに、まだ残る傷の痛みも忘れ、ベッドから起き出しリュンヌを抱き締めた。
「泣くな、俺が悪かった。大丈夫だ、何があっても、お前だけは守る」
いきなり、ふわりと抱かれたリュンヌは、ガードン様の背中へ手をまわし、先ほどと違う涙が出てくる。
「…良かった。ガードン様が助かって本当に良かった…」
リュンヌの呟きは、ガードンの耳に届き、両手に力を入れる。
「リュンヌが助かったなら、それだけで良い」
ここが病室と絶対忘れてる。そう思う後ろに居る方々は、これってバカップルじゃないの?と、心は1つになった。
「リュンヌ、一旦、手を離せ。背中の傷に当たる」
ガードン様の言葉に、パッと離れたリュンヌは、力任せにベッドへうつむきで寝かせ、着ていたシャツをガバッとあげた。
傷に手を当てると、治癒を始めるがリュンヌの手に、ピリッと何かが反応し、治癒を邪魔している気がする。
「もしかして、この反応が毒?」
毒ごときが、私のガードン様を苦しめるなんて許さない!
体内に回っているはずのガードン様の魔力を探す。しかし、心臓付近に何かの種が魔力を吸収していた。
これか!よくも私のガードン様に!!
怒りMAXのリュンヌは、その種を傷口まで戻し、塞いだ傷口を少し開け取り出す。
もう一度、治癒をし全て終了。
怒りMAXのリュンヌは気付いてなかった。
いきなり脱がされ、真っ赤になるガードン様、身体中にリュンヌの魔力を感じ、真っ赤になるガードン様、背中に痛みが走り、ウッ!!と唸ったガードン様。
それをはっきり見ていたのは、後ろに居る方々。ニヤニヤするセーラとローザ、固まるセウスだ。
「憎き敵は排除しましたわ!」
やりきった顔に笑みが浮かぶ。
「リュンヌちゃん。私達の存在に気付いてる?」
いきなり話し掛けられ、バッと振り返るリュンヌ。
「セーラお姉様………ローザとセウスまで…」
恥ずかしさMAXになったリュンヌは、真っ赤になり両手で顔を隠す。
ガードンは、サッとシャツを直しベッドの縁に腰かけた。
「リュンヌ、傷は治せたな」
ガードン様の問いかけに、コクコク頷く。耳まで真っ赤なリュンヌは再起不能だ。
襲ってきた人達、一体何者だろう?
ガードン様は、私が狙われたと言っていた。腕を掴んだヤツも、迎えに来たと言っていたわ。
私のせいでガードン様を危険に晒したのね。
悲しみと怒り。リュンヌは湯船から出てベッドに向かう。今は身体を休めなければ。
目覚めると、いつもの時間。軽く身支度を整え、食堂へ向かう。パンとスープで朝食を済ませ、病院へ向かった。
病室に入ると、すでに目覚めたガードン様。
「ガードン様!!」
ベッドに駆け寄り、床に膝をつきガードン様の手を両手で握りしめた。
「リュンヌ、すまなかったな。俺がもっと強ければ」
いつになく、弱気な言葉にリュンヌはワナワナと震え、ここが病室だって事も、後ろにローザとセーラがいた事も、タイミング悪く入ったセウスが『ゲッ!ローザとセーラさん』と呟いた事も、見えてなかった。
「弱気なガードン様なんて嫌いです!いつもの強気なアナタはどこへ行ったのですか!?」
立ち上がり大声で叫ぶと、瞳から涙が溢れ出し、ガードン様を見ても涙で歪みはっきり見えない。
ガードンは、いきなり叫び泣き出したリュンヌに、まだ残る傷の痛みも忘れ、ベッドから起き出しリュンヌを抱き締めた。
「泣くな、俺が悪かった。大丈夫だ、何があっても、お前だけは守る」
いきなり、ふわりと抱かれたリュンヌは、ガードン様の背中へ手をまわし、先ほどと違う涙が出てくる。
「…良かった。ガードン様が助かって本当に良かった…」
リュンヌの呟きは、ガードンの耳に届き、両手に力を入れる。
「リュンヌが助かったなら、それだけで良い」
ここが病室と絶対忘れてる。そう思う後ろに居る方々は、これってバカップルじゃないの?と、心は1つになった。
「リュンヌ、一旦、手を離せ。背中の傷に当たる」
ガードン様の言葉に、パッと離れたリュンヌは、力任せにベッドへうつむきで寝かせ、着ていたシャツをガバッとあげた。
傷に手を当てると、治癒を始めるがリュンヌの手に、ピリッと何かが反応し、治癒を邪魔している気がする。
「もしかして、この反応が毒?」
毒ごときが、私のガードン様を苦しめるなんて許さない!
体内に回っているはずのガードン様の魔力を探す。しかし、心臓付近に何かの種が魔力を吸収していた。
これか!よくも私のガードン様に!!
怒りMAXのリュンヌは、その種を傷口まで戻し、塞いだ傷口を少し開け取り出す。
もう一度、治癒をし全て終了。
怒りMAXのリュンヌは気付いてなかった。
いきなり脱がされ、真っ赤になるガードン様、身体中にリュンヌの魔力を感じ、真っ赤になるガードン様、背中に痛みが走り、ウッ!!と唸ったガードン様。
それをはっきり見ていたのは、後ろに居る方々。ニヤニヤするセーラとローザ、固まるセウスだ。
「憎き敵は排除しましたわ!」
やりきった顔に笑みが浮かぶ。
「リュンヌちゃん。私達の存在に気付いてる?」
いきなり話し掛けられ、バッと振り返るリュンヌ。
「セーラお姉様………ローザとセウスまで…」
恥ずかしさMAXになったリュンヌは、真っ赤になり両手で顔を隠す。
ガードンは、サッとシャツを直しベッドの縁に腰かけた。
「リュンヌ、傷は治せたな」
ガードン様の問いかけに、コクコク頷く。耳まで真っ赤なリュンヌは再起不能だ。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
悪役令嬢まさかの『家出』
にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。
一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。
ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。
帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる