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第2章
ガードン様と念願の再会を果たしました。
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ルルの体力づくり、料理教室をやりながら、週末に向け慌ただしいリュンヌ。
愛用のバスケットには、大量の料理。大きいカバンには、自分の着替え等を入れ、スカドウェイ様が寄越した馬車が来るのを待っていた。
金曜日に、ブルーノ殿下から呼び出され話を聞いたリュンヌ。
「リュンヌ嬢は、いつスカドウェイ様と会ったの?
まぁいい。明日の朝に女子寮へ馬車が迎えに行くから、それに乗って行って。
それと、ルルが最近楽しそうなのは、リュンヌ嬢のおかげ?
あのままで、充分可愛いけど…」
最後はモゴモゴ言っていたブルーノ殿下の事は、リュンヌは全く聞いていなかった。
侍女に呼ばれ、荷物を持ったリュンヌは馬車へ乗り込む。これでガードン様と会える!と、妄想の世界へ旅立ったリュンヌは、馬車の扉が開き、やっと現実に戻った。
「本当に来たな」
その低い、私の心に響く声は、
「ガードン様!!」
振り向くと、髪は短髪に切られ、また少し背が伸びてがっちりした姿に、しばし見惚れてしまう。
「なんだ?どうした?」
いつも、ススッと近寄り隙あらば手を握ろうとするリュンヌが、その場に立ち尽くす事に、ビックリしたガードンだが、
相変わらず大きなバスケットを持ったリュンヌに、フッ。と笑ってしまった。
くそジジイは、初日から厳しかったが、ここに来るまでの経緯を話した。
自分の弱さを克服したい。
かなり笑われたが、ついでにリュンヌの話もしておいた。
「俺の自意識過剰と言われると思うが、アイツは俺の事になると、無茶をする。
何度も離れようと思ったのに…」
俺は真剣に話したのに、あのくそジジイは、腹を抱えて笑いやがった。
「偶然ガードンが言ってた、リュンヌ嬢と会ったけど、あの子、本当に面白いね」
そう言われ、アイツはまた何をしたんだ!と、頭を抱えたが、週末に招待したと聞き、くそジジイに食って掛かった。
まぁ俺の方がボロボロになったが。
そして、馬車から降りたリュンヌは、やはり可愛かった。でも、そんな事は口が裂けても言わない。
「更に素敵になったガードン様を抱きしめていいですか?」
瞳をキラキラさせて、頬はほんのり赤く。すらりとした身体なのに、胸はデカイ。しかし、
何で男装してんだ!身体の線が丸わかりじゃないか!そんなんで抱きつかれたら、俺はどうすれば良いんだ!
「バ、バカな事言ってる暇があるなら、訓練するぞ!ほら、ついてこい!」
「はい!どこまでもお供します」
くるりと背中を向けた俺に、嬉しそうな声で返事をするリュンヌ。
あ~!本当にバカな奴。
くそジジイは、後ろでゲラゲラ笑ってやがる。チッ。覚えてろよ、いつか絶対、勝ってやる。
「ガードン様、ちゃんと朝ごはんは食べましたか?
まだなら、私いっぱい作ってきたので。準備しますよ」
いつもより高いテンションで話すリュンヌに、ククっと笑ってしまう。
「朝は食べた。それより学園で何をしているんだ?」
「勿論、ガードン様の隣に立つ為に、日夜訓練は欠かしておりません。
それと、お友達が出来ましたの。何故か、師匠と呼ばれますが、ガードン様。どうしてだと思いますか?」
はっ?師匠?振り返ってリュンヌを見れば、首をコテンと傾け、俺を見た。
「リュンヌ後でじっくり聞く。分かったな」
また、絶対何かやらかしたな……
「じっくりなんて、ガードン様になら全てお教えいたしますわ。そんなに私の事を知りたいなんて、初めて言って頂きました。
私にもガードン様の全てを教えて下さい!大好きです!」
「バカ!そうじゃない!」
もう!このバカ、俺の心臓が持たないじゃないか!
はぁ、だからイヤだったんだ。みっともない姿をリュンヌには見せたくない。
いつもより、気合いを入れてやらなきゃな。いつまでも子豚とは、言わせない。
愛用のバスケットには、大量の料理。大きいカバンには、自分の着替え等を入れ、スカドウェイ様が寄越した馬車が来るのを待っていた。
金曜日に、ブルーノ殿下から呼び出され話を聞いたリュンヌ。
「リュンヌ嬢は、いつスカドウェイ様と会ったの?
まぁいい。明日の朝に女子寮へ馬車が迎えに行くから、それに乗って行って。
それと、ルルが最近楽しそうなのは、リュンヌ嬢のおかげ?
あのままで、充分可愛いけど…」
最後はモゴモゴ言っていたブルーノ殿下の事は、リュンヌは全く聞いていなかった。
侍女に呼ばれ、荷物を持ったリュンヌは馬車へ乗り込む。これでガードン様と会える!と、妄想の世界へ旅立ったリュンヌは、馬車の扉が開き、やっと現実に戻った。
「本当に来たな」
その低い、私の心に響く声は、
「ガードン様!!」
振り向くと、髪は短髪に切られ、また少し背が伸びてがっちりした姿に、しばし見惚れてしまう。
「なんだ?どうした?」
いつも、ススッと近寄り隙あらば手を握ろうとするリュンヌが、その場に立ち尽くす事に、ビックリしたガードンだが、
相変わらず大きなバスケットを持ったリュンヌに、フッ。と笑ってしまった。
くそジジイは、初日から厳しかったが、ここに来るまでの経緯を話した。
自分の弱さを克服したい。
かなり笑われたが、ついでにリュンヌの話もしておいた。
「俺の自意識過剰と言われると思うが、アイツは俺の事になると、無茶をする。
何度も離れようと思ったのに…」
俺は真剣に話したのに、あのくそジジイは、腹を抱えて笑いやがった。
「偶然ガードンが言ってた、リュンヌ嬢と会ったけど、あの子、本当に面白いね」
そう言われ、アイツはまた何をしたんだ!と、頭を抱えたが、週末に招待したと聞き、くそジジイに食って掛かった。
まぁ俺の方がボロボロになったが。
そして、馬車から降りたリュンヌは、やはり可愛かった。でも、そんな事は口が裂けても言わない。
「更に素敵になったガードン様を抱きしめていいですか?」
瞳をキラキラさせて、頬はほんのり赤く。すらりとした身体なのに、胸はデカイ。しかし、
何で男装してんだ!身体の線が丸わかりじゃないか!そんなんで抱きつかれたら、俺はどうすれば良いんだ!
「バ、バカな事言ってる暇があるなら、訓練するぞ!ほら、ついてこい!」
「はい!どこまでもお供します」
くるりと背中を向けた俺に、嬉しそうな声で返事をするリュンヌ。
あ~!本当にバカな奴。
くそジジイは、後ろでゲラゲラ笑ってやがる。チッ。覚えてろよ、いつか絶対、勝ってやる。
「ガードン様、ちゃんと朝ごはんは食べましたか?
まだなら、私いっぱい作ってきたので。準備しますよ」
いつもより高いテンションで話すリュンヌに、ククっと笑ってしまう。
「朝は食べた。それより学園で何をしているんだ?」
「勿論、ガードン様の隣に立つ為に、日夜訓練は欠かしておりません。
それと、お友達が出来ましたの。何故か、師匠と呼ばれますが、ガードン様。どうしてだと思いますか?」
はっ?師匠?振り返ってリュンヌを見れば、首をコテンと傾け、俺を見た。
「リュンヌ後でじっくり聞く。分かったな」
また、絶対何かやらかしたな……
「じっくりなんて、ガードン様になら全てお教えいたしますわ。そんなに私の事を知りたいなんて、初めて言って頂きました。
私にもガードン様の全てを教えて下さい!大好きです!」
「バカ!そうじゃない!」
もう!このバカ、俺の心臓が持たないじゃないか!
はぁ、だからイヤだったんだ。みっともない姿をリュンヌには見せたくない。
いつもより、気合いを入れてやらなきゃな。いつまでも子豚とは、言わせない。
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