私の愛する王子様

ring

文字の大きさ
41 / 71
第2章

ガードン様と念願の再会を果たしました。

しおりを挟む
ルルの体力づくり、料理教室をやりながら、週末に向け慌ただしいリュンヌ。

愛用のバスケットには、大量の料理。大きいカバンには、自分の着替え等を入れ、スカドウェイ様が寄越した馬車が来るのを待っていた。

金曜日に、ブルーノ殿下から呼び出され話を聞いたリュンヌ。

「リュンヌ嬢は、いつスカドウェイ様と会ったの?

まぁいい。明日の朝に女子寮へ馬車が迎えに行くから、それに乗って行って。

それと、ルルが最近楽しそうなのは、リュンヌ嬢のおかげ?
あのままで、充分可愛いけど…」

最後はモゴモゴ言っていたブルーノ殿下の事は、リュンヌは全く聞いていなかった。


侍女に呼ばれ、荷物を持ったリュンヌは馬車へ乗り込む。これでガードン様と会える!と、妄想の世界へ旅立ったリュンヌは、馬車の扉が開き、やっと現実に戻った。

「本当に来たな」

その低い、私の心に響く声は、

「ガードン様!!」

振り向くと、髪は短髪に切られ、また少し背が伸びてがっちりした姿に、しばし見惚れてしまう。

「なんだ?どうした?」

いつも、ススッと近寄り隙あらば手を握ろうとするリュンヌが、その場に立ち尽くす事に、ビックリしたガードンだが、

相変わらず大きなバスケットを持ったリュンヌに、フッ。と笑ってしまった。

くそジジイは、初日から厳しかったが、ここに来るまでの経緯を話した。

自分の弱さを克服したい。

かなり笑われたが、ついでにリュンヌの話もしておいた。

「俺の自意識過剰と言われると思うが、アイツは俺の事になると、無茶をする。
何度も離れようと思ったのに…」

俺は真剣に話したのに、あのくそジジイは、腹を抱えて笑いやがった。
 
「偶然ガードンが言ってた、リュンヌ嬢と会ったけど、あの子、本当に面白いね」

そう言われ、アイツはまた何をしたんだ!と、頭を抱えたが、週末に招待したと聞き、くそジジイに食って掛かった。

まぁ俺の方がボロボロになったが。

そして、馬車から降りたリュンヌは、やはり可愛かった。でも、そんな事は口が裂けても言わない。

「更に素敵になったガードン様を抱きしめていいですか?」

瞳をキラキラさせて、頬はほんのり赤く。すらりとした身体なのに、胸はデカイ。しかし、

何で男装してんだ!身体の線が丸わかりじゃないか!そんなんで抱きつかれたら、俺はどうすれば良いんだ!

「バ、バカな事言ってる暇があるなら、訓練するぞ!ほら、ついてこい!」

「はい!どこまでもお供します」

くるりと背中を向けた俺に、嬉しそうな声で返事をするリュンヌ。

あ~!本当にバカな奴。

くそジジイは、後ろでゲラゲラ笑ってやがる。チッ。覚えてろよ、いつか絶対、勝ってやる。

「ガードン様、ちゃんと朝ごはんは食べましたか?
まだなら、私いっぱい作ってきたので。準備しますよ」

いつもより高いテンションで話すリュンヌに、ククっと笑ってしまう。

「朝は食べた。それより学園で何をしているんだ?」

「勿論、ガードン様の隣に立つ為に、日夜訓練は欠かしておりません。

それと、お友達が出来ましたの。何故か、師匠と呼ばれますが、ガードン様。どうしてだと思いますか?」

はっ?師匠?振り返ってリュンヌを見れば、首をコテンと傾け、俺を見た。

「リュンヌ後でじっくり聞く。分かったな」

また、絶対何かやらかしたな……

「じっくりなんて、ガードン様になら全てお教えいたしますわ。そんなに私の事を知りたいなんて、初めて言って頂きました。

私にもガードン様の全てを教えて下さい!大好きです!」

「バカ!そうじゃない!」

もう!このバカ、俺の心臓が持たないじゃないか!

はぁ、だからイヤだったんだ。みっともない姿をリュンヌには見せたくない。

いつもより、気合いを入れてやらなきゃな。いつまでも子豚とは、言わせない。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さくら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。 「君の為の時間は取れない」と。 それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。 そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。 旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。 あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。 そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。 ※35〜37話くらいで終わります。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

処理中です...