決められた運命

ring

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アマーリエ

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 おちる 落ちる 堕ちる…


 身体が風に逆らい長い髪が顔を隠すかのように、靡く。



 私は神により愛する人を決められた。

 私が愛する人はこの国の皇太子であるあの方。


 愛する人の為なら何でもやった。辛い事など一つとしてなかった。

 しかし、私が愛する人には私以外の愛する人を神により決められていたのだ。

 嫉妬に狂い、どうしても振り向いて欲しくてあの方が愛する人を傷つける日々。

 それが私の神に与えらた使命なのだと気づいたのはいつだったか…


「あぁ… 彼に会ってからね」


 彼は私へ問うたの。

 本当のお前はどこに居る?

 あの方を愛する事を神に与えられた私へ、そんな馬鹿げた事を聞くなんて彼くらいだわ。

 あの方を愛しているわ。

 当たり前のように答えた私なのに彼は笑ったの。

 随分と安い愛だな。




 私の愛は神に与えられたの。それを笑う彼に猛烈な怒りを覚えたから、証明してあげる。

 ほら、見えるかしら?
 あの方の為なら、この命すら投げ出す事すら厭わない。

 ねぇ、見ているのでしょ?
 あの方が愛する人と共に生きる為に私は私を殺せるのよ?だから私は、

 おちる 落ちる 堕ちる…


 

 
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