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射手の統領038 蒼碧龍攻略
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射手の統領
Zu-Y
№38 蒼碧龍攻略
翌朝、朝餉の席で、俺は前の晩にライから教わったことを皆に告げた。キョウちゃんズが、お代わりしたのは言うまでもない。その後、キョウちゃんズは頑張っていっぱい食べるようになった。太らなきゃいいが。
朝餉の後、俺はハーネスをキョウちゃんズに装着したのだが、サイズを子供体型に調整しなければならなかった。サイズ調整の後、改めてキョウちゃんズにハーネスを装着した。
弓手にサキョウ、馬手にウキョウ、背中にサジ姉。バランスを取るため、サジ姉にはポジションチェンジしてもらった。
キョウちゃんズは、初めて流邏矢を使うので、副拠館を登録した流邏矢の乙矢で練習する。ふたりのハーネスを金具で留め、しがみついてもらって流邏矢を射た。実験成功。大丈夫だ。
その後、サジ姉を背中に金具で留め、3人にしがみつかれて、甲矢でタケオ島へ飛ぶ。操龍弓を持つと蒼碧龍の気配をひしひしと感じる。
キョウちゃんズは呪を唱え、それぞれ式神3体を次々に飛ばした。さほど広くない島の探索である。間もなく、山頂付近の洞窟に、眠りこける蒼碧龍とその巣を見付けた。まだ昼餉前だ。
ここで、サジ姉とキョウちゃんズには、流邏石でユノベ副拠館に帰館してもらい、俺ひとりで登山を始めた。小さな島である。山頂付近と言っても大して掛からない。昼過ぎには蒼碧龍の洞窟の入り口近くへ流邏矢の甲矢を登録して、俺も流邏矢の乙矢でユノベ副拠館に帰還した。
俺は嫁3人とキョウちゃんズを集め、必勝祈願の儀式に臨む。ユノベ副拠内の北に位置する、歴代館の廟に皆で参拝。
その後、垢離場に行き、白浴衣に着替えて水垢離と禊をする。副拠は垢離場と言っても、冷泉ではなく温泉である。垢離場には炭酸水素泉=トロ湯を引いている。全身に何度も炭酸水素泉を浴び、温泉に浸かった。そのまま一心不乱に戦勝を祈る。
必勝祈願を終え、俺たちは垢離場を出た。
毎回のことだが、禊用の白浴衣はエロい。白い上に薄手の生地のため、濡れると頂がはっきり透ける。桃色、桜色、ベージュに、マイサンはマイドラゴンに変身してしまった。
東都でのことを思い出し、ぷっと吹き出すと、サヤ姉もサジ姉がこっちを見て微笑んだ。ふたりも同じことを考えてたようだ。あのときはいろいろ誤魔化す工作もしたが、今更嫁3人に取り繕う必要はない。
しかしキョウちゃんズは違った。ドラゴン化したところを見たことがないのだろう。
「サキョウ、アタル兄のが、なんや大きゅうなってはるで。」
「せやな、今まであんなになったことないなぁ。」
ふたりでコソコソ話してはいるが、内緒話の割にははっきり聞こえて来る。
「これはな、サヤ姉とサジ姉とホサキに反応したんだ。」
「「なんで?」」
「こいつが3人の中に入りたいって主張してるんだよ。ふにゃふにゃじゃ入れないだろ?」
「「!」」
真っ赤になるキョウちゃんズ。
「どないしたらそうなるの?」
「女の人の裸を見たら勝手にこうなる。俺の言うことは聞かない。」
「うちらのときはならんかったよ。」
「子供の裸には反応しないよ。」
「「そうなんか。」」凹むキョウちゃんズ。
「そのうちふたりが成長すれば反応するようになるさ。」フォローする俺。
「「せやろか…。」」ふたりは凹んだままだ。まぁ、仕方ないか。
作戦は基本的にライのときと同じ。眠っているときに仕掛ける。しかし今回は、ホサキとキョウちゃんズが加わっている。
まず、ウキョウのバフを全員に、サキョウのデバフを蒼碧龍に掛ける。ホサキはガード体制を固めサジ姉とキョウちゃんズを守る。蒼碧龍はサキョウのデバフでおそらく目覚める。蒼碧龍が起きたら、サヤ姉が接近戦で攪乱して注意を引く。その隙をついて俺が封龍矢を放つ。
さて、日暮れまでにはまだ時間があるな。明日まで待つことはない。今日中に攻略してやろう。
まず、嫁3人を流邏矢でタケオ島山頂付近の蒼碧龍の巣がある洞窟近くへ送る。流邏石でユノベ副拠館に帰って、キョウちゃんズを流邏矢で蒼碧龍の洞窟付近へに運ぶ。ピストン輸送だ。1便の嫁3人は、2便が着くまで待機。もし2便が着く前に、蒼碧龍が起きて来て遭遇してしまったら流邏石で帰還する。しかし、その心配はいらなかった。6人が蒼碧龍の巣の洞窟前に勢揃いした。
俺を先頭に洞窟内に入って行く。さして深くない洞窟だ。すぐ巣が見える位置に着いた。作戦開始だ。
ウキョウが全員まとめて、各種強化のバフを次々に掛ける。凄い。力の漲り方がジュピのときと比較にならない。しかもジュピはひとりひとりに、各種強化をいちいち掛けねばならなかったが、ウキョウは、一定の範囲内にいる全員にまとめて掛けることができる。
サキョウがかなりの距離から蒼碧龍に、各種デバフを掛ける。蒼碧龍がもがき出して目覚めた。
「なんだこの不快さは。力が抜けてゆく。」蒼碧龍が口走った。
ホサキは自在の盾を大きく展開し、キョウちゃんズとサジ姉を庇う。
サヤ姉は蒼碧龍の注意を背けるために、疾風の靴の力で俺たちから離れるが、ウキョウのバフのため、いつもより倍の速さに感じた。実際は5割増なのだがな。
「こっちよ。」
サヤ姉は蒼碧龍の尻尾に雷神の太刀の斬撃を入れたが、固い装甲に弾かれた。
「グオオオオ。」斬撃は弾かれたものの、追加効果の雷撃でダメージを与えた。サキョウのデバフが効いている。
蒼碧龍が水流のブレスを連発してサヤ姉を追うが、疾風の靴5割増により、余裕のステップで躱しまくる。さらに頃合いを見計らって雷神の太刀の斬撃を加えて行く。見事なヒットアンドアウェーだ。
蒼碧龍は寝たままでは不利と見て、立ちあがって本格的な戦闘態勢を取った。が、サキョウのデバフの効果で動きが遅い。サジ姉が、閃光の術を放ち、視界を奪われた蒼碧龍がよろめく。この効果はしばらく続く。絶妙のタイミングだ。
俺は5倍雷撃矢を射込んだ。
「グオオオオ!」物凄い咆哮を上げて、ズシンと倒れ込む蒼碧龍。矢は固い装甲に弾かれたが、雷撃の追加効果が効いているのだ。
「おのれぇ、黄金龍の力を得ておるのかぁ。」蒼碧龍は気を溜め始めた。気を高めて一気に放出する気だ。
これを待っていたのだ!操龍弓に金剛鏑を装着した封龍矢を番えて引き絞ると、ウキョウの5割増に加えて、操龍弓が蒼碧龍の高まる気に呼応して、番えた封龍矢の纏う気がどんどん高まって行く。物凄い量の気が封龍矢に集中する。
「なんと!封龍矢か?」
俺は急所の眉間目掛けて封龍矢を放った。5割増のバフが掛かった上に、蒼碧龍の気に呼応した操龍弓から放たれる、大量の気を纏った封龍矢の矢勢は凄まじい。
封龍矢に装着した金剛鏑が、見事に蒼碧龍の眉間にめり込むと、蒼碧龍は青色く発光し出した。
「グオオオオオ」凄まじい咆哮を上げると、発光していた蒼碧龍の全身は、無数の青い光の粒子となり、その粒子が渦を巻きながら金剛鏑に吸い込まれて行く。
やっぱり、この光景は凄ぇ。
「私…、出番が…ほとんど…なかった…。」サジ姉がポツリと呟き、
「私も盾を構えてただけだ。」続けてホサキも呟いた。
「いいじゃないか。それだけ安全に戦えたと言うことだ。それでも、サジ姉の閃光の術は要所で効いたし、ホサキの鉄壁の防御で、後衛の安全が確保できたんだぞ。」
そこへサヤ姉が帰って来た。
「凄く体が軽い。嘘みたいに。」
それを聞いて、サジ姉とホサキも、遅ればせながらウキョウのバフを体感した。
「確かに…凄く…軽い…。」
「ほんとだな。まるで浮いてるようだぞ。」
戻りの箙に封龍矢が戻った。金剛鏑は青く輝いている。
青く発光する金剛鏑を封龍矢から取り外し、西都でサンキから譲り受けた金剛鏑に付け替えた。
6人で青く光る金剛鏑を見ていると、ライのときと同じように、青色の光が金剛鏑の中で渦を巻き出し、それからだんだんと蒼碧龍の形になった。そして蒼碧龍の念話が来た。
『見事だ。寝込みを襲われたとはいえ完敗だ。』
「たまたま奇襲が上手く行っただけのことだ。」
『あのデバフはきつかったぞ。それからバフもな。普段ならほとんど効かぬ攻撃でダメージを受けてしまった。』
「ああ、俺たちには優秀な陰士がふたりもいる。」
『そのようだな。
ところで、お前は操龍弓と封龍矢の遣い手よな?』
「そうだ。」
『黄金龍が最後の遣い手を仕留めたと聞いていたが違ったのか?』
「俺はその息子だ。」
『そうか。なぜ余に仕掛けて来た?』
「わが眷属とするためだ。」
『眷属か?そう言えばお前は黄金龍の力を纏ったな。黄金龍も眷属にしているのか?』
「ああ。」
『そうか。黄金龍も負けたのか。そして余も負けた。眷属になれと言うなら仕方あるまいな。』
ライのときと同じであっさり承知したな。
『では、ご主人、新たに名を付けてくれ。』
「ウズでどうだ?水の流れが巻くと渦になってとても強くなる。その渦だ。」
実はこの展開を予想して考えて来たのだ。他の七神龍の名前もすでに考えている。
『それでよい。』
「ウズ、これからよろしくな。」
『こちらこそよろしく頼む。それから、3人の奥方と、小娘ふたりは…じきに奥方か?よろしくな。』
「「よろしく」」「よろ…。」嫁3人即答。
「「ウズはん、よろしゅう。」」キョウちゃんズも嬉しそうだ。
「ウズ、俺のことはアタルと呼んでくれ。」
『分かった。』
「なあ、ウキョウ、うちらも奥方やて。」
「せやな。じきに言うたで。もうすぐやな。」
「成人までダメだからな!」
「「いけずー。」」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/3/20
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№38 蒼碧龍攻略
翌朝、朝餉の席で、俺は前の晩にライから教わったことを皆に告げた。キョウちゃんズが、お代わりしたのは言うまでもない。その後、キョウちゃんズは頑張っていっぱい食べるようになった。太らなきゃいいが。
朝餉の後、俺はハーネスをキョウちゃんズに装着したのだが、サイズを子供体型に調整しなければならなかった。サイズ調整の後、改めてキョウちゃんズにハーネスを装着した。
弓手にサキョウ、馬手にウキョウ、背中にサジ姉。バランスを取るため、サジ姉にはポジションチェンジしてもらった。
キョウちゃんズは、初めて流邏矢を使うので、副拠館を登録した流邏矢の乙矢で練習する。ふたりのハーネスを金具で留め、しがみついてもらって流邏矢を射た。実験成功。大丈夫だ。
その後、サジ姉を背中に金具で留め、3人にしがみつかれて、甲矢でタケオ島へ飛ぶ。操龍弓を持つと蒼碧龍の気配をひしひしと感じる。
キョウちゃんズは呪を唱え、それぞれ式神3体を次々に飛ばした。さほど広くない島の探索である。間もなく、山頂付近の洞窟に、眠りこける蒼碧龍とその巣を見付けた。まだ昼餉前だ。
ここで、サジ姉とキョウちゃんズには、流邏石でユノベ副拠館に帰館してもらい、俺ひとりで登山を始めた。小さな島である。山頂付近と言っても大して掛からない。昼過ぎには蒼碧龍の洞窟の入り口近くへ流邏矢の甲矢を登録して、俺も流邏矢の乙矢でユノベ副拠館に帰還した。
俺は嫁3人とキョウちゃんズを集め、必勝祈願の儀式に臨む。ユノベ副拠内の北に位置する、歴代館の廟に皆で参拝。
その後、垢離場に行き、白浴衣に着替えて水垢離と禊をする。副拠は垢離場と言っても、冷泉ではなく温泉である。垢離場には炭酸水素泉=トロ湯を引いている。全身に何度も炭酸水素泉を浴び、温泉に浸かった。そのまま一心不乱に戦勝を祈る。
必勝祈願を終え、俺たちは垢離場を出た。
毎回のことだが、禊用の白浴衣はエロい。白い上に薄手の生地のため、濡れると頂がはっきり透ける。桃色、桜色、ベージュに、マイサンはマイドラゴンに変身してしまった。
東都でのことを思い出し、ぷっと吹き出すと、サヤ姉もサジ姉がこっちを見て微笑んだ。ふたりも同じことを考えてたようだ。あのときはいろいろ誤魔化す工作もしたが、今更嫁3人に取り繕う必要はない。
しかしキョウちゃんズは違った。ドラゴン化したところを見たことがないのだろう。
「サキョウ、アタル兄のが、なんや大きゅうなってはるで。」
「せやな、今まであんなになったことないなぁ。」
ふたりでコソコソ話してはいるが、内緒話の割にははっきり聞こえて来る。
「これはな、サヤ姉とサジ姉とホサキに反応したんだ。」
「「なんで?」」
「こいつが3人の中に入りたいって主張してるんだよ。ふにゃふにゃじゃ入れないだろ?」
「「!」」
真っ赤になるキョウちゃんズ。
「どないしたらそうなるの?」
「女の人の裸を見たら勝手にこうなる。俺の言うことは聞かない。」
「うちらのときはならんかったよ。」
「子供の裸には反応しないよ。」
「「そうなんか。」」凹むキョウちゃんズ。
「そのうちふたりが成長すれば反応するようになるさ。」フォローする俺。
「「せやろか…。」」ふたりは凹んだままだ。まぁ、仕方ないか。
作戦は基本的にライのときと同じ。眠っているときに仕掛ける。しかし今回は、ホサキとキョウちゃんズが加わっている。
まず、ウキョウのバフを全員に、サキョウのデバフを蒼碧龍に掛ける。ホサキはガード体制を固めサジ姉とキョウちゃんズを守る。蒼碧龍はサキョウのデバフでおそらく目覚める。蒼碧龍が起きたら、サヤ姉が接近戦で攪乱して注意を引く。その隙をついて俺が封龍矢を放つ。
さて、日暮れまでにはまだ時間があるな。明日まで待つことはない。今日中に攻略してやろう。
まず、嫁3人を流邏矢でタケオ島山頂付近の蒼碧龍の巣がある洞窟近くへ送る。流邏石でユノベ副拠館に帰って、キョウちゃんズを流邏矢で蒼碧龍の洞窟付近へに運ぶ。ピストン輸送だ。1便の嫁3人は、2便が着くまで待機。もし2便が着く前に、蒼碧龍が起きて来て遭遇してしまったら流邏石で帰還する。しかし、その心配はいらなかった。6人が蒼碧龍の巣の洞窟前に勢揃いした。
俺を先頭に洞窟内に入って行く。さして深くない洞窟だ。すぐ巣が見える位置に着いた。作戦開始だ。
ウキョウが全員まとめて、各種強化のバフを次々に掛ける。凄い。力の漲り方がジュピのときと比較にならない。しかもジュピはひとりひとりに、各種強化をいちいち掛けねばならなかったが、ウキョウは、一定の範囲内にいる全員にまとめて掛けることができる。
サキョウがかなりの距離から蒼碧龍に、各種デバフを掛ける。蒼碧龍がもがき出して目覚めた。
「なんだこの不快さは。力が抜けてゆく。」蒼碧龍が口走った。
ホサキは自在の盾を大きく展開し、キョウちゃんズとサジ姉を庇う。
サヤ姉は蒼碧龍の注意を背けるために、疾風の靴の力で俺たちから離れるが、ウキョウのバフのため、いつもより倍の速さに感じた。実際は5割増なのだがな。
「こっちよ。」
サヤ姉は蒼碧龍の尻尾に雷神の太刀の斬撃を入れたが、固い装甲に弾かれた。
「グオオオオ。」斬撃は弾かれたものの、追加効果の雷撃でダメージを与えた。サキョウのデバフが効いている。
蒼碧龍が水流のブレスを連発してサヤ姉を追うが、疾風の靴5割増により、余裕のステップで躱しまくる。さらに頃合いを見計らって雷神の太刀の斬撃を加えて行く。見事なヒットアンドアウェーだ。
蒼碧龍は寝たままでは不利と見て、立ちあがって本格的な戦闘態勢を取った。が、サキョウのデバフの効果で動きが遅い。サジ姉が、閃光の術を放ち、視界を奪われた蒼碧龍がよろめく。この効果はしばらく続く。絶妙のタイミングだ。
俺は5倍雷撃矢を射込んだ。
「グオオオオ!」物凄い咆哮を上げて、ズシンと倒れ込む蒼碧龍。矢は固い装甲に弾かれたが、雷撃の追加効果が効いているのだ。
「おのれぇ、黄金龍の力を得ておるのかぁ。」蒼碧龍は気を溜め始めた。気を高めて一気に放出する気だ。
これを待っていたのだ!操龍弓に金剛鏑を装着した封龍矢を番えて引き絞ると、ウキョウの5割増に加えて、操龍弓が蒼碧龍の高まる気に呼応して、番えた封龍矢の纏う気がどんどん高まって行く。物凄い量の気が封龍矢に集中する。
「なんと!封龍矢か?」
俺は急所の眉間目掛けて封龍矢を放った。5割増のバフが掛かった上に、蒼碧龍の気に呼応した操龍弓から放たれる、大量の気を纏った封龍矢の矢勢は凄まじい。
封龍矢に装着した金剛鏑が、見事に蒼碧龍の眉間にめり込むと、蒼碧龍は青色く発光し出した。
「グオオオオオ」凄まじい咆哮を上げると、発光していた蒼碧龍の全身は、無数の青い光の粒子となり、その粒子が渦を巻きながら金剛鏑に吸い込まれて行く。
やっぱり、この光景は凄ぇ。
「私…、出番が…ほとんど…なかった…。」サジ姉がポツリと呟き、
「私も盾を構えてただけだ。」続けてホサキも呟いた。
「いいじゃないか。それだけ安全に戦えたと言うことだ。それでも、サジ姉の閃光の術は要所で効いたし、ホサキの鉄壁の防御で、後衛の安全が確保できたんだぞ。」
そこへサヤ姉が帰って来た。
「凄く体が軽い。嘘みたいに。」
それを聞いて、サジ姉とホサキも、遅ればせながらウキョウのバフを体感した。
「確かに…凄く…軽い…。」
「ほんとだな。まるで浮いてるようだぞ。」
戻りの箙に封龍矢が戻った。金剛鏑は青く輝いている。
青く発光する金剛鏑を封龍矢から取り外し、西都でサンキから譲り受けた金剛鏑に付け替えた。
6人で青く光る金剛鏑を見ていると、ライのときと同じように、青色の光が金剛鏑の中で渦を巻き出し、それからだんだんと蒼碧龍の形になった。そして蒼碧龍の念話が来た。
『見事だ。寝込みを襲われたとはいえ完敗だ。』
「たまたま奇襲が上手く行っただけのことだ。」
『あのデバフはきつかったぞ。それからバフもな。普段ならほとんど効かぬ攻撃でダメージを受けてしまった。』
「ああ、俺たちには優秀な陰士がふたりもいる。」
『そのようだな。
ところで、お前は操龍弓と封龍矢の遣い手よな?』
「そうだ。」
『黄金龍が最後の遣い手を仕留めたと聞いていたが違ったのか?』
「俺はその息子だ。」
『そうか。なぜ余に仕掛けて来た?』
「わが眷属とするためだ。」
『眷属か?そう言えばお前は黄金龍の力を纏ったな。黄金龍も眷属にしているのか?』
「ああ。」
『そうか。黄金龍も負けたのか。そして余も負けた。眷属になれと言うなら仕方あるまいな。』
ライのときと同じであっさり承知したな。
『では、ご主人、新たに名を付けてくれ。』
「ウズでどうだ?水の流れが巻くと渦になってとても強くなる。その渦だ。」
実はこの展開を予想して考えて来たのだ。他の七神龍の名前もすでに考えている。
『それでよい。』
「ウズ、これからよろしくな。」
『こちらこそよろしく頼む。それから、3人の奥方と、小娘ふたりは…じきに奥方か?よろしくな。』
「「よろしく」」「よろ…。」嫁3人即答。
「「ウズはん、よろしゅう。」」キョウちゃんズも嬉しそうだ。
「ウズ、俺のことはアタルと呼んでくれ。」
『分かった。』
「なあ、ウキョウ、うちらも奥方やて。」
「せやな。じきに言うたで。もうすぐやな。」
「成人までダメだからな!」
「「いけずー。」」
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更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
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