80 / 183
精霊の加護077 夜伽
しおりを挟む
精霊の加護
Zu-Y
№77 夜伽
教国の国境砦をふたつとも、跡形もなく壊滅させて来たその夜、俺たちの宿屋に来客があった。ミュンヒェー辺境伯の長女で末娘のクラーラ・ミュンヒェーである。
もちろん夜なので、護衛の国境警備兵数名を連れて来ていた。
ロビーに面会に出ると、クララがさっと立って深々とお辞儀した。
「先程は母が調子に乗り、ゲオルク様を御不快にさせてしまいまして、誠に申し訳ございませんでした。」
「ああ、そのことならもういいよ。」
「精霊様やお仲間の皆様は?」
「ん?部屋にいるけど…。」
「ゲオルク様に折り入ってご相談したいことがございます。ここでは護衛の者たちの目もありますので、お部屋にお邪魔してよろしいでしょうか?」
「部屋はちょっとなぁ。」精霊たちが素っ裸でふわふわしてるからあらぬ誤解を受けるに決まっている。精霊たちは衣類を嫌うから、部屋では素っ裸を容認しているのだ。
「どうかお願いします。」必死の懇願に俺は折れた。
「精霊たちが、自由にしてるんだ。驚かないでくれよ。」
「もちろんです。」
護衛をロビーに残したまま、クララを俺と精霊たちの部屋に案内すると、部屋に入るなり、
「ええ~?」と言って真っ赤になって俯くクララ。まぁ仕方ないよな。
「精霊たちは衣類が嫌いでね、いつも部屋ではこうなんだ。驚かせて悪かったな。」
「いえ。こちらこそ驚かないと申し上げましたのに、驚いてしまいまして申し訳ありませんでした。」
「まぁ、適当に座って。で、相談って何?」
「はい。母上の御申し付けで、ゲオルク様の夜伽に参りました。」
「は?クララ、自分が何を言ってるのか、分かってる?」
「詳しくは存知ませんが、ゲオルク様にそうお伝えしてすべてをお任せすればよいと、母上から申し付かっております。」
「いや、それは無理でしょ。そもそもクララって未成年だよね?」クララの見てくれは第三形態の精霊たちと大差ない少女+αだ。
「はい。14歳です。母上からは、夜伽が叶わなければ、跡目は継がせぬと言われましたので、夜伽をさせて頂かないと困るのです。」
「はぁ?なんだそれ。」
「私は、これでもミュンヒェー辺境伯家の一員です。兄ふたりは残念ながら魔法の才に乏しいので、私が辺境伯家を継いで、教国の脅威から領民たちを守らなくてはなりません。ですから跡目を継げないと困るのです。」
「なるほどねぇ。で、その様子だと夜伽の意味をよく知らないまま、ここへ来たって訳か?」
「はい。でもゲオルク様がご存知ゆえ、問題ないと母上が仰いました。」
なるほどね。さて、どうしたもんか?
俺はツリに向けて舌を出し、レロレロと上下に動かした、魔力補給に来ないかと言う合図だ。
ツリがふわふわとやって来て、ぶっちゅーっ、ちゅーちゅーと、濃厚なキスを始めた。そして緑色に輝く。魔力が満タンになった。
クララに見せ付けるようにツリを抱えつつ、あちこちを撫でてやる。ツリはキャハハと嬌声を上げた。流石ツリ、俺の裏の意図までしっかり理解している。
「ゲオルク様、その、そういうことは…。」真っ赤になって俯き、声が消え入りそうだ。
「クララ、お前は俺にこう言うことをされに来たのだぞ。」それはそう言いつつ、ツリを解放した。
「え?」
「クララ、ハイジが情夫たちと、夜な夜な大人の秘めごとをしているのは知っているな?夜伽と言うのはあれだ。」
「え?ええー!」驚くクララ。
「ハイジは、クララに大人の秘めごとを、俺と行えと申し付けたのだ。そこんとこ、クララはきちんと理解しているか?」
「そんな…、嘘です。」
「嘘なものか。俺にすべてを任せろ言われて来たのだろう?」
「それは、そうですが…。」
「つまり身を任せろと言う意味だぞ。
でもな、安心しろ。それに対する俺の答えはノーだ。その理由は、クララが未成年であること、そして俺には婚約者がいることだ。
ハイジはその点については実に奔放なようだが、普通、夜伽と言うものは夫婦間や恋人同士で行うもので、クララと俺のような、単なる知り合い程度では行わない。」
「でも…それでは、私は辺境伯家を継げなくなってしまいます。」
「では、このまま俺に、クララの初めてを摘み取らせるつもりか?」
「それは…。」俯くクララ。必死に考えを巡らせているのだろう。可哀想に。では助け舟を出してやるか。
「要はクララが、俺と夜伽をせずとも辺境伯家を継げればいいのだろう?」
「え?…あ、はい。」
「今宵ハイジはどこにいる?」
「館におります。」
「館はどこにある?」
「詰所に隣接しています。」
俺は、2階にある部屋の窓を開けて、クララに確認した。
「クララ、館はあれだな?」
「はい。」
「フィア、あの館の真上にでかい花火をな。クレ、同時に地震で館を半壊させろ。標的は館だけだ。詰所には被害を出すなよ。」
『『はーい。』』
ヒュールルルルル、ドッガーン。と、同時に遠目からでも分かる程、館が揺れて館は半壊した。
「ゲオルク様、何と言うことをなさるのですか!」
「うん、それでいい。クララ、そなたが今、俺の怒りを鎮めた。」
「え?」
『ゲオルクー、お腹すいたー。』『フィアも、ご飯ー。』
クレとフィアに濃厚なキスで魔力を補給し、ふたりがそれぞれ輝いた。
俺は両腕でふたりを抱えたまま、あちらやこちらへのスキンシップを繰り返す。やはり俺の裏の意図を理解しているふたりも、キャッキャと嬌声を上げた。クララがまた真っ赤になって俯く。
「しつこいハイジに怒った俺が、領主館に攻撃を仕掛けたので、クララが必死になって俺を止めたんだ。いいな。」
「でも。」
「これ以上俺にちょっかいを出すと、領主館を教国の国境砦のようにしてやると、ハイジに伝えてくれ。」
「承知しました。」
「では、護衛とともに館に戻るがいい。クララが俺に追い返されたのは、ハイジのせいだからな。」クレとフィアがふわふわと離れて行った。
翌朝、朝餉の席でお姉様方に昨夜の出来事を話すと、
「それで外が騒がしかったんですのね。」
「しかしゲオルクどのも容赦ないな。少々やり過ぎたのではないか?」
「追手が来なきゃいいけどなー。ゲオっち、大丈夫?」
「奴らも馬鹿じゃない。わざわざ全滅しに来るもんか。」
「それもそうね。」
宿屋を発つとき、宿屋の主人から、昨日の騒ぎでハイジがケガをしたらしいと言うことを聞いた。流石にちょっとやり過ぎたか。
俺たちは出発の挨拶がてら、ハイジを見舞うことにした。ジュヌさんに回復魔法を掛けてもらうためだ。
レンタル馬車に乗って領主館に行くと、半壊した館で国境警備兵たちが忙しく後片付けをしていた。
片付けの指揮を執っていたジークに状況を聞くと、昨日の一件でハイジは軽傷を負ったらしい。ハイジのケガはひどいものではないが、倒れて来る家具からハイジを庇った3人の情夫が皆骨折したそうだ。
「情夫3人から庇われたってことは、4Pでもしてたのか?」と聞くと、ジークが黙って眼を逸らした。あらら、図星のようだ。苦笑
まったくあの女領主ときたら…。娘を夜伽に出しておきながら、自分は何をやってるんだか。本当に自由奔放だな。苦笑
ジークから、ハイジは医務室にいると聞き、ヴォルが医務室まで案内してくれた。
ヴォルは、ビーチェさんと眼を合わそうともしない。昨日コテンパンにやられたのが相当堪えてるようだ。笑
医務室に着くと、案内してくれたヴォルは逃げるように去って行き、ハイジはベッドで上半身を起こしつつも、ベッドにもたれ掛かっていた。
横にクララが付いている。ハイジの世話をしているようだ。
「帰るので挨拶に来た。ハイジ、ケガの具合はどうだ?」
「これはゲオルク様。わざわざのお運び、痛み入りまする。わらわは大したケガではござりませぬ。」
「ジュヌさん、頼む。」ジュヌさんが回復魔法のリペアを掛けて、ハイジの軽傷は完全に癒えた。
「おお、これは相すまぬ。礼を申すぞ。」ハイジがジュヌさんに頭を下げた。
「情夫3人は骨折したと聞いたが?」
「わらわを庇ってくれましての。
そなた、済まぬがその者たちの治療も頼めぬだろうか?」
「よろしいですわ。」
「それとゲオルク様、申し訳ありませんでした。わらわが浅はかでした。」
「そうだな、未成年の娘を夜伽に出すなどもっての外だ。その娘に、領主館が助けられたこと、ゆめゆめ忘れるでないぞ。」
「はい。ゲオルクどのの御配慮、身に沁みましてござります。」あれ、ひと芝居打ったの、分かっているのかな?
「まぁ、いずれにせよクララはよくやったよ。領主館があの程度の被害で済んだのはクララが必死に俺を止めたからだ。」
「はい。末娘ゆえ、ヴォルはまだしもジークを差し置いて跡目を継がすには、余程の手柄が必要と考えておりました。身を犠牲にさせれば、十分な理由になろうかと思うて夜伽に出しましたが、そのせいでわらわはゲオルク様のご不興を買ってしまいました。クララはそのわらわの尻拭いをしてくれた訳です。本当によくやってくれました。申し分ない大手柄です。わらわの自慢の娘です。」
「母上、勿体ないお言葉です。」クララが涙ぐんだ。
「それに万が一、俺の子を宿せば切り札になるとでも思ったか。」
「はい。ゲオルク様は何もかもお見通しで。」
「まぁ、そんなことせずとも、俺の助けが必要になったらいつでも言って来い。」
「え?それは真でしょうや?」
「ああ。お前のことは結構気に入っている。それにクララのこともな。ふたりとも一途にミュンヒェーとその領民のことを考えている。いい領主と跡継ぎだ。ミュンヒェーは安泰だな。」
「嬉しいことを。」ハイジとクララの眼に涙が光った。
「ではハイジ、これにてな。傷は治ったが、今日はしっかり休めよ。
クララ、情夫どもの所に案内せよ。」
それからジュヌさんが骨折している情夫3人にリペアを掛けて骨折を治し、俺たちは帰路に就いたのだった。
目指すはラスプ村経由で東府、そして王都だ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/6/19
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№77 夜伽
教国の国境砦をふたつとも、跡形もなく壊滅させて来たその夜、俺たちの宿屋に来客があった。ミュンヒェー辺境伯の長女で末娘のクラーラ・ミュンヒェーである。
もちろん夜なので、護衛の国境警備兵数名を連れて来ていた。
ロビーに面会に出ると、クララがさっと立って深々とお辞儀した。
「先程は母が調子に乗り、ゲオルク様を御不快にさせてしまいまして、誠に申し訳ございませんでした。」
「ああ、そのことならもういいよ。」
「精霊様やお仲間の皆様は?」
「ん?部屋にいるけど…。」
「ゲオルク様に折り入ってご相談したいことがございます。ここでは護衛の者たちの目もありますので、お部屋にお邪魔してよろしいでしょうか?」
「部屋はちょっとなぁ。」精霊たちが素っ裸でふわふわしてるからあらぬ誤解を受けるに決まっている。精霊たちは衣類を嫌うから、部屋では素っ裸を容認しているのだ。
「どうかお願いします。」必死の懇願に俺は折れた。
「精霊たちが、自由にしてるんだ。驚かないでくれよ。」
「もちろんです。」
護衛をロビーに残したまま、クララを俺と精霊たちの部屋に案内すると、部屋に入るなり、
「ええ~?」と言って真っ赤になって俯くクララ。まぁ仕方ないよな。
「精霊たちは衣類が嫌いでね、いつも部屋ではこうなんだ。驚かせて悪かったな。」
「いえ。こちらこそ驚かないと申し上げましたのに、驚いてしまいまして申し訳ありませんでした。」
「まぁ、適当に座って。で、相談って何?」
「はい。母上の御申し付けで、ゲオルク様の夜伽に参りました。」
「は?クララ、自分が何を言ってるのか、分かってる?」
「詳しくは存知ませんが、ゲオルク様にそうお伝えしてすべてをお任せすればよいと、母上から申し付かっております。」
「いや、それは無理でしょ。そもそもクララって未成年だよね?」クララの見てくれは第三形態の精霊たちと大差ない少女+αだ。
「はい。14歳です。母上からは、夜伽が叶わなければ、跡目は継がせぬと言われましたので、夜伽をさせて頂かないと困るのです。」
「はぁ?なんだそれ。」
「私は、これでもミュンヒェー辺境伯家の一員です。兄ふたりは残念ながら魔法の才に乏しいので、私が辺境伯家を継いで、教国の脅威から領民たちを守らなくてはなりません。ですから跡目を継げないと困るのです。」
「なるほどねぇ。で、その様子だと夜伽の意味をよく知らないまま、ここへ来たって訳か?」
「はい。でもゲオルク様がご存知ゆえ、問題ないと母上が仰いました。」
なるほどね。さて、どうしたもんか?
俺はツリに向けて舌を出し、レロレロと上下に動かした、魔力補給に来ないかと言う合図だ。
ツリがふわふわとやって来て、ぶっちゅーっ、ちゅーちゅーと、濃厚なキスを始めた。そして緑色に輝く。魔力が満タンになった。
クララに見せ付けるようにツリを抱えつつ、あちこちを撫でてやる。ツリはキャハハと嬌声を上げた。流石ツリ、俺の裏の意図までしっかり理解している。
「ゲオルク様、その、そういうことは…。」真っ赤になって俯き、声が消え入りそうだ。
「クララ、お前は俺にこう言うことをされに来たのだぞ。」それはそう言いつつ、ツリを解放した。
「え?」
「クララ、ハイジが情夫たちと、夜な夜な大人の秘めごとをしているのは知っているな?夜伽と言うのはあれだ。」
「え?ええー!」驚くクララ。
「ハイジは、クララに大人の秘めごとを、俺と行えと申し付けたのだ。そこんとこ、クララはきちんと理解しているか?」
「そんな…、嘘です。」
「嘘なものか。俺にすべてを任せろ言われて来たのだろう?」
「それは、そうですが…。」
「つまり身を任せろと言う意味だぞ。
でもな、安心しろ。それに対する俺の答えはノーだ。その理由は、クララが未成年であること、そして俺には婚約者がいることだ。
ハイジはその点については実に奔放なようだが、普通、夜伽と言うものは夫婦間や恋人同士で行うもので、クララと俺のような、単なる知り合い程度では行わない。」
「でも…それでは、私は辺境伯家を継げなくなってしまいます。」
「では、このまま俺に、クララの初めてを摘み取らせるつもりか?」
「それは…。」俯くクララ。必死に考えを巡らせているのだろう。可哀想に。では助け舟を出してやるか。
「要はクララが、俺と夜伽をせずとも辺境伯家を継げればいいのだろう?」
「え?…あ、はい。」
「今宵ハイジはどこにいる?」
「館におります。」
「館はどこにある?」
「詰所に隣接しています。」
俺は、2階にある部屋の窓を開けて、クララに確認した。
「クララ、館はあれだな?」
「はい。」
「フィア、あの館の真上にでかい花火をな。クレ、同時に地震で館を半壊させろ。標的は館だけだ。詰所には被害を出すなよ。」
『『はーい。』』
ヒュールルルルル、ドッガーン。と、同時に遠目からでも分かる程、館が揺れて館は半壊した。
「ゲオルク様、何と言うことをなさるのですか!」
「うん、それでいい。クララ、そなたが今、俺の怒りを鎮めた。」
「え?」
『ゲオルクー、お腹すいたー。』『フィアも、ご飯ー。』
クレとフィアに濃厚なキスで魔力を補給し、ふたりがそれぞれ輝いた。
俺は両腕でふたりを抱えたまま、あちらやこちらへのスキンシップを繰り返す。やはり俺の裏の意図を理解しているふたりも、キャッキャと嬌声を上げた。クララがまた真っ赤になって俯く。
「しつこいハイジに怒った俺が、領主館に攻撃を仕掛けたので、クララが必死になって俺を止めたんだ。いいな。」
「でも。」
「これ以上俺にちょっかいを出すと、領主館を教国の国境砦のようにしてやると、ハイジに伝えてくれ。」
「承知しました。」
「では、護衛とともに館に戻るがいい。クララが俺に追い返されたのは、ハイジのせいだからな。」クレとフィアがふわふわと離れて行った。
翌朝、朝餉の席でお姉様方に昨夜の出来事を話すと、
「それで外が騒がしかったんですのね。」
「しかしゲオルクどのも容赦ないな。少々やり過ぎたのではないか?」
「追手が来なきゃいいけどなー。ゲオっち、大丈夫?」
「奴らも馬鹿じゃない。わざわざ全滅しに来るもんか。」
「それもそうね。」
宿屋を発つとき、宿屋の主人から、昨日の騒ぎでハイジがケガをしたらしいと言うことを聞いた。流石にちょっとやり過ぎたか。
俺たちは出発の挨拶がてら、ハイジを見舞うことにした。ジュヌさんに回復魔法を掛けてもらうためだ。
レンタル馬車に乗って領主館に行くと、半壊した館で国境警備兵たちが忙しく後片付けをしていた。
片付けの指揮を執っていたジークに状況を聞くと、昨日の一件でハイジは軽傷を負ったらしい。ハイジのケガはひどいものではないが、倒れて来る家具からハイジを庇った3人の情夫が皆骨折したそうだ。
「情夫3人から庇われたってことは、4Pでもしてたのか?」と聞くと、ジークが黙って眼を逸らした。あらら、図星のようだ。苦笑
まったくあの女領主ときたら…。娘を夜伽に出しておきながら、自分は何をやってるんだか。本当に自由奔放だな。苦笑
ジークから、ハイジは医務室にいると聞き、ヴォルが医務室まで案内してくれた。
ヴォルは、ビーチェさんと眼を合わそうともしない。昨日コテンパンにやられたのが相当堪えてるようだ。笑
医務室に着くと、案内してくれたヴォルは逃げるように去って行き、ハイジはベッドで上半身を起こしつつも、ベッドにもたれ掛かっていた。
横にクララが付いている。ハイジの世話をしているようだ。
「帰るので挨拶に来た。ハイジ、ケガの具合はどうだ?」
「これはゲオルク様。わざわざのお運び、痛み入りまする。わらわは大したケガではござりませぬ。」
「ジュヌさん、頼む。」ジュヌさんが回復魔法のリペアを掛けて、ハイジの軽傷は完全に癒えた。
「おお、これは相すまぬ。礼を申すぞ。」ハイジがジュヌさんに頭を下げた。
「情夫3人は骨折したと聞いたが?」
「わらわを庇ってくれましての。
そなた、済まぬがその者たちの治療も頼めぬだろうか?」
「よろしいですわ。」
「それとゲオルク様、申し訳ありませんでした。わらわが浅はかでした。」
「そうだな、未成年の娘を夜伽に出すなどもっての外だ。その娘に、領主館が助けられたこと、ゆめゆめ忘れるでないぞ。」
「はい。ゲオルクどのの御配慮、身に沁みましてござります。」あれ、ひと芝居打ったの、分かっているのかな?
「まぁ、いずれにせよクララはよくやったよ。領主館があの程度の被害で済んだのはクララが必死に俺を止めたからだ。」
「はい。末娘ゆえ、ヴォルはまだしもジークを差し置いて跡目を継がすには、余程の手柄が必要と考えておりました。身を犠牲にさせれば、十分な理由になろうかと思うて夜伽に出しましたが、そのせいでわらわはゲオルク様のご不興を買ってしまいました。クララはそのわらわの尻拭いをしてくれた訳です。本当によくやってくれました。申し分ない大手柄です。わらわの自慢の娘です。」
「母上、勿体ないお言葉です。」クララが涙ぐんだ。
「それに万が一、俺の子を宿せば切り札になるとでも思ったか。」
「はい。ゲオルク様は何もかもお見通しで。」
「まぁ、そんなことせずとも、俺の助けが必要になったらいつでも言って来い。」
「え?それは真でしょうや?」
「ああ。お前のことは結構気に入っている。それにクララのこともな。ふたりとも一途にミュンヒェーとその領民のことを考えている。いい領主と跡継ぎだ。ミュンヒェーは安泰だな。」
「嬉しいことを。」ハイジとクララの眼に涙が光った。
「ではハイジ、これにてな。傷は治ったが、今日はしっかり休めよ。
クララ、情夫どもの所に案内せよ。」
それからジュヌさんが骨折している情夫3人にリペアを掛けて骨折を治し、俺たちは帰路に就いたのだった。
目指すはラスプ村経由で東府、そして王都だ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/6/19
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる