46 / 80
1章 宇宙遭難編
45話 囚われたお姫様
しおりを挟む再調査の開始から幾ばくかの日にちが経過し、麻衣のサイコキネシスも瑠偉達に認識されたようで部屋の中で体を浮かせても特に意識することもなく、それ自体が何時もの出来事のようになっていった。
瑠偉と美憂との関係も仲良くとまではいかないが、職場の仲間意識程度までは向上している。
そんな中今日の夕食時に大きな事件が発生した。
「あのー、ちょっといいかな?」
ここ2・3日頻繁に何かを考えている状態か、または悩んでいる様な素振りを見せていた麻衣が申し訳なさそうに話し始めた。瑠偉達は気づいていたようだが本人が言ってきてくれるのを待っているのか、麻衣に何か変な事をさせているんじゃないかと俺にしつこく聞いてきている、だが当然心当たりはない。
「なんでしょう麻衣?」
瑠偉の返事と共に全員が食事を中断した、3人は一斉に麻衣に注目する。
「えーと・・・そのー・・せ、・・せぃ…りが来ない・・んだけど、ど、ど、どうしよう?」と徐々に声に圧力が抜けながら麻衣が答えた。
麻衣の発言が終わると同時に瑠偉と美憂の頭が俺に素早く向く、瑠偉は眉間にしわを寄せ美憂は口を半分開けながら見下す目つきを俺に向けている。
「さ、最低ですね! ゴミですね、いえゴミ以下です・・・燃えて無くなるんですか?」
「うぁぁぁ、駄目だろそれは・・・どう責任取るんだ?」
瑠偉と美憂の渾身の馬頭が俺を襲う。
「まて、まて、まず話を聞け」
「言い訳とか聞きたくありません、とにかく罰を受けるべきです」
「あれを潰すか瑠偉?」
瑠偉と美憂は立ち上がり今にも襲い掛かってきそうな勢いで俺を睨んでいる。
どうやら話が通じる状態ではないようだ、仕方なく瑠偉と美憂を力を使い椅子に強制的に座らせ固定させた。
「ひ、卑怯ですよ」
「う、動けない・・」
「まず俺の話を聞け、それから考え行動してくれ」
俺は両肘をテーブルにつけ手を組み瑠偉と美憂が落ち着く待った。
「わかりました、聞くだけ聞きましょう、聞くだけですよ?」
「よろしい、簡潔に話す。
生理が来ないのは俺が止めたからだ、だから当然来るはずがない。
だが若干の不都合がある、でもそれ自体は許容範囲だ、それをしないと止めれないからな。
つまり、子供など出来るはずがない! 以上だ」
「はーー、兼次ちゃん、それ先に言ってよずっと悩んでたよ・・・」
麻衣は肩の力が抜けたのかテーブルに頭を付け大きな溜息をした。
「で、その不都合ってなに?」
瑠偉は怒りが収まっていないのか威圧気味な雰囲気で言ってきた。
「まあ当然その疑問はあるよな。
施したのは老化と成長を止めた事だ、これにより生理も止まる。
つまり避妊の必要はない、そう言う事だ・・・」
「そ、それってつまり、どういう事?」と美憂は理解していないのか更に聞いてきた。
「解りやすく言うと歳をとらないと言うことだ。
つまり老化しないから子孫を残す必要が無い、だから生理も止まる自然の摂理だな?
・・・・だぶんそんな感じだ」
「なるほど、解った」
そこで麻衣が突然立ち上がり目線を上に向ける。
「なんてこと、私は、私は・・・・
永遠と言う名の時の牢獄に囚われてしまったのね! 悲劇のお姫様ね!」
その言葉と同時に指を組みお祈りするポーズをとっている。
自分で悲劇と言っているが、顔はかなり幸福に満ちた表情をしている。
「言っておくが不老であって不死ではないからな?
普通に病気するし怪我もするからな? それが元で普通に死ぬからな?」
立ち上がっている麻衣を見上げるが反応が無い「聞いてないし・・・」
「食事を続けましょうか? 動けないの解いてもらえます?」
「実は解くには胸を揉まなきゃいけないんだが、いいよな?」
「よ、よくないです。は、早く解け!」
「怒るなよ瑠偉・・・冗談だよ」
瑠偉と美憂の体の固定を解くいて食事を再開するが麻衣はそのまま固まっていた。
「おーい、戻ってこい」と胸を人差し指で突いてみる。
しばらく見ていたが戻ってこないようだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる