地球から追放されたけど、お土産付きで帰ってきます。

火曜日の風

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1章 宇宙遭難編

4話 冷静になって思い出そう

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 横倒しになった木に座り煙草を吸っている、足元には吸い殻が数本落ちている。ポケットから煙草を取り出し箱を開ける、最後の一本に火をつけ、勢いよく吸い吐きだす。

「ふぅぅぅーー、いつ起きるんだ?」

 かれこれ30分以上待っている、日の光が彼女たちに降り注いでいるので目覚めてもいいはずである。
 随分深い眠りに入っているのか寝返りをする事もなく指ひとつ動かない。

「い、生きてるよな?」

 深い眠りか・・・
 そう言えば・・・彼女たちには睡眠をかけ眠ってもらっていたな。
 あまりの事態に冷静さを失っていたようだ、すっかり忘れていた。

 彼女たちの側まで行き地面に直接座り込む、そして顔を近づける。
 顔の肌はスベスベでメイクはしていないようだ、口紅をしていないのに唇は綺麗なピンク色をしている。

 顔を胸元に近づけ大きく深呼吸する。
「すぅぅぅぅぅ、はぁぁぁぁぁぁ」
 なんだろうこの香りは落ち着くな、最後に顔を胸に近づけ形を確認する、どうやらBのようだ。

 立ち上がり先ほど座っていた場所まで行き腰かける。

 まず起こす前に、彼女たちに言わなくていいことを確認しておくとしよう。

 まず、スカートの中身をじっくり拝見した件は言う必要はないな。
 パイロットの件は、彼女たちが気づいたら初めて気づいたふりをする、呼吸の人体実験は言う必要はないから俺が先に外に出たことにしよう。

 最後に俺の能力は隠す必要はないかな? 状況が状況だしな、それに地球に帰れると決まっていないしな。

 光速テレポートで12年の時間が過ぎているのは伏せておこう、でも聞いてきたら答えてやるか、あとは忘れていることはないよな?

 彼女たちに掛けていた睡眠を解くが特に変わらず眠ったままだ。
 ここはさりげなく胸を触りながら起こすか、それとも太ももをスリスリするかどちらにするかな。

 立ち上がり彼女たちに近づこうとしたその時、黒髪ロング女子の指が動き、目が開く……っくそ、出遅れたな。

「ぇ? うぅ~ん、寝てたの? あれ?」
 彼女はそう言うとゆっくりと周辺を見渡し飛行機で視線が止まる「飛行機が変ですね。むしろこの状況が…」と小声でつぶやいた。

 まぁ変だろうな、大きな木が飛行機でなぎ倒され、その下に木が散乱している、しかし飛行機はまったくの無傷だからな。

 しかしこの女子は随分冷静だな、いや違うな飛行機を見たまま固まっているようだ。

「悪いが、そこで寝ている2人を起こしてくれるか?」と彼女に声をかけるが反応が無く、まだ固まっているようだ。
 暫らくして我に返ったのか、横に横たわっている人物を交互に見ている。

「麻衣、起きてください。美憂も起きて。大変です」
 最初に起きた女性は寝ている女性2人の同体を揺すり交互に声をかけ起こしていった。

「ううぅん、よく寝た。瑠偉、どうした? ってここは?」
 ショートヘアの女性が目を覚ましたようだ、上半身起こし両腕を上に伸ばし肩を回しながら頭を右へ左へと素早く動かしている。

「むぅ~、もぅしゅこしねたぃ・・・瑠偉ちゃん、美憂ちゃん、おはよう。あれ、なんかここの空港変だね?」
 次に起きたのはツインテールの女性だ、目を擦りながら上半身を起こしボンヤリと飛行機を見つめている。

「全員目が覚めたな。俺はずっと起きていたから、詳細を説明しよう。俺の前に集まれ!」
 俺は全員に聞こえるように発言するが、3人はスマホを取り出し操作を始めた。なるほど、これが現代っ子ってやつか、そして俺の発言は聞こえてるのだろうか?

「なんかスマホが圏外だよ?」
「たしかに、圏外ですね」
「あぁ~! そういえば飛行機落ちたんじゃなかった?」
「助かったんだね! ラッキーだね! あとは写真を撮って後でSNSにアップしようね」

 ツインテールの女性は両脇に2人の女性を手で引き寄せ、どこから出てきたのか不明な自撮り棒にスマホを固定した。

「え? 麻衣?」
「ささ、並んで並んで」
「「「いぇぇぇぇい!」」」
 <カシャリ>

 ツインテールの女性はそのまま両脇の2人を立たせ飛行機が背になる場所に強引に引っ張っていく。

「じゃあ、次はこの不時着した飛行機をバックに」
「麻衣、さすがにまずいだろう、また炎上するぞ?」
「早く、早く、並んで並んで。」
「「「いぇぇぇぇい!」」」
 <カシャリ>

 おかしいな、先程に黒髪のロングストレートの女性とは目が合った気がしたのだが、俺の気のせいかな?

 もしかして、俺の存在感が薄いのか? そう思い頭に手を置いて確かめる、熱々のお湯でしか癖が治らない何時もの剛毛の感触がある。

 うむ、いつもの頭の毛、存在感はばっちりだな…

「大丈夫ですよ? 気づいていますから」
 と黒髪のロングストレートの女が突然こちらを見て微笑みながら発言した。

 ったく、気づいているなら止めろよ。
 そして、炎上してしまえ! 燃え尽きろよ! と言ってやりたいが、もう投稿は出来なんいんだよ、地球じゃないし12年過ぎているしな…

 それからツインテールの女性は2人を連れまわし10か所ほど撮影して落ち着いたようだ。そのままこちらに向かって一緒に歩いてくる。

 3人で横並びで俺の前まで来た、中央には黒髪のロングストレートの女性が腕組をしながら右人差し指を小刻みに動かしている。

「おっさん、ここ何処なの?」

 おっさんか・・・まぁお前らから見ればオッサンだろう。
 しかしなんだ、若干頭を上向きにして明らかに上から目線だ、かなり馬鹿にした態度である。

「目上の人には敬語を使えよ、あとオッサンじゃなく織田と呼んでもらおうか」
「織田、ここ何処ですか?」

 おれは<さん>を付けろとは言ってないので間違ってはいないのだが…… あとは、ッチっと舌打ちが聞こえてきそうな態度が気になる。

 こんなところで口論して、心の狭い男と思われるのも嫌だから、このまま話を進めよう。
 ………
 ……
 …

「と、言うわけだ。わかったか?」
 予定通りに経緯の一部を隠し淡々と説明していった。
 彼女たちは特に取り乱す様子もなく、素直に説明を聞いていた。

 城島瑠偉は腕組の姿勢をく坐さず今も俺を見下している、そして彼女が最初に切り出した。

「詳細は大体わかりました。ですが引っかかる点があるので、数点質問をさせていだきますが、よろしいですか?」

 どうやら城島瑠偉は俺の話に疑問点があるようだ、しかしどう見ても質問をする態度が偉そうである…命令口調だしな。

「わかった、こんな状況だし、全て隠さず答えてやろう」

 そんな命令口調の城島瑠偉と俺の質疑応答時間が始まった。
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