魔女とアニキ！ ～訳アリコンビの大（？）冒険！～

第７話 それが？/どうかした？

　冒険者ギルド内に、明らかに人相の悪い５人の男たちが入ってきた。どうやら、大男の手下のような立場にいるようだ。

　「この俺に恥をかかせたガキどもめ、思い知らせてやる。野郎ども！　その白髪の小僧と黒髪の娘を痛めつけろ！　まずは小僧のほうをぶちのめせ！」

「「「「「へい！」」」」」

　大男から指示を受けた子分たちはゼクトとミエダを取り囲む。

「残念だったなあ兄ちゃん、俺達グロンショ団にたてつくなんてなあ」
「嬢ちゃんは後で可愛がってやっから安心しな」
「へへへへへ……」

「「「…………」」」

　男たちは見下すような視線といやらしい目つきでゼクトとミエダを見て笑う。かなりたちが悪い。そんな状況にもかかわらず、ギルド職員は怯えているだけで何も言ってこない。どうやら、この何とか団とやらは結構怖がられているようだ。

「お、お兄さん、お姉さん……」

　ルルも心配するが、男たちに怯えて先ほどよりも強く出れない。それに対して……。

「はっ、残念なのはお前らだろ？」
「全くね、ここで無様を晒すんだからね」

「「「「「……ああっ！？」」」」」

　ゼクトとミエダは余裕だった。そんな態度に下種な男たちは怒りをあらわにした。大男のほうは顔が耳まで真っ赤に染まっている。

「な、なめてんのか、このガキャァ！」
「調子子いてんじゃねーぞ、くそがっ！」
「どうやら、地獄を見てえようだなぁ！」

「ゼッてえ許さねえ！　野郎ども！　やっちまえ！」

「「「っ！」」」

　大男の子分たちは一斉にゼクトを取り囲み、殴りかかる。だが、ゼクトに一発も当てることはできないだろう。ゼクトは仮にも、人間の英雄の息子なのだから。

「ふん！」
「ぐぎゃっ！？」

　まず、ゼクトに一番近い位置にいた男は、その首元に重い拳を一発を受けた。その次は……

「はあっ！」
「ぐふっ！？」

　最初の男のすぐ隣にいた男だった。ゼクトに振るった拳を避けられて腹に一発かまされた。

「ぶふっ！？」

　更に、二人目の男のそばにいた男には、ゼクトの思い蹴りが顔面に炸裂した。これで３人がノックダウンされた。

「「てめえー！」」

　後ろから、他の二人が怒鳴るがその二人も同じ目に遭う。ゼクトは跳躍して、その勢いを利用して……

「ダブルキック！」

「ごあっ！？」
「げはっ！？」

　両足で、器用に、二人をほぼ同時に強烈な蹴りを放った。頭を強く蹴られた二人もノックダウン。子分は全滅した。

「「「す、すごっ……！！」」」

「す、すごい……！」

「そ、そんな馬鹿な！？　俺の部下５人をあっという間に……！　あいつらは少なくともランクＣとランクＤだぞ！？」

「それが？」
「どうかした？」

「っ！　……くっ！」

　大男の言う通り、子分たちのランクはそのあたりだ。素人でも新人でもない程度ではあるし、一般人には後れを取らない程度の実力はある。

　ただし、ゼクトとミエダにとっては関係ない。ゼクトは一応通っていた学園で、戦闘を含むあらゆる分野でトップクラスの成績を収めている上に、『超禁術シリーズ』の魔法を少しだけ習得している。ミエダも魔王と聖女の間に生まれたハーフという特殊な出生から、膨大な魔力と『超禁術シリーズ』を含む魔法の知識を持っている。チンピラが叶う相手ではないのだ。大男は目の前の二人がただものではないと察したのか顔を青くし始めた。

「次はあんたか？」
「地獄がどうとか言ってたけど、自分で見てみる？」

「っ！　き、今日のところはもう勘弁してやらあ！」

　そういうと大男はギルドから立ち去ろうとする。だが……

「ハンドサンダー！」

「ぎゃあああああ！？」

「「「っ！？」」」

「え！？」

　ミエダの手から雷の魔法が放たれて大男を直撃！　大男は悲鳴を上げて倒れてしまった。倒れた男にゼクトとミエダが近づく。

「ぐっ、くそっ、何がっ！？」

「逃がすと思うのか？」
「全くね、逃がすわけないでしょ？」

　本当に運が悪かったのは、大男とその子分たちであった。この後、彼らは結構痛い目に遭う。