16 / 33
16.
しおりを挟む
ジェシカに手を叩きつけられるというアクシデントがあったが、ついに婚約破棄の決行日が来た。
俺は貴族のパーティー中に高らかに宣言するのだ。ツインローズ王国第一王子にして王太子マグーマ・ツインローズとして!
「リリィ・プラチナム公爵令嬢! 私、王太子ことマグーマ・ツインローズ第一王子との婚約を破棄させてもらう! それと同時に、貴様をアノマ・メアナイト男爵令嬢をいじめた罪で訴える!」
俺の隣には望まぬ婚約者ではない。俺の運命の相手アノマ・メアナイト男爵令嬢だ。ドレスは少し安っぽいかな。でも俺は彼女がそれでいいなら気にしなかった。それにそれどころでもないしな。
「はあ……婚約破棄ですか。なにゆえそのような話を、いまここで? このパーティーのあとではいけませんの?」
一応俺の婚約者のはずの公爵令嬢リリィ・プラチナムは呆れたふりを装って聞いてくるが、内心では分からない。きっと王太子妃の立場を失うと思って焦っているはずなんだ……と思うのだが面倒くさそうにしているのは何故だ? だが、その余裕そうな顔も直ぐに駄目にしてやる!
「フン! しらじらしい! 素直に認めたらどうだ、この可愛く可憐なアノマをいじめた罪を!」
「いじめた罪?」
いじめた罪と俺が叫んでもリリィは不思議そうな顔をするだけだった。何だその顔は? 何様のつもりだ!
「何かのお間違いでは? わたしには全く身に覚えがございませんが?」
「何をいうか! 俺がアノマと仲良くしているから、嫉妬したお前がアノマに罵声を浴びせたり、教科書や服を破るといういじめを行っているということは分かっているんだ!」
「ああ、それでしたら罵声ではなく注意をしただけですよ。『婚約者のいる男性と深く付き合うのははしたないですよ』と言いましたが?」
「え?」
「それと、『格上の、ましてや王族の方とはもっと礼儀をもっと接しなさい』とも注意をしましたが、決して罵声ではありません」
「な、何!?」
は? 罵声を浴びせたんじゃなくて注意しただけ? そんな? どういうことだ? 俺が動揺する間もなくリリィの言葉を支持する者たちが次々と現れ、私の言葉を打ち消し始めた。
「リリィ様の仰ることは事実ですわ。わたくしはリリィ様が優しくアノマ嬢に注意しているのを何度も拝見しましたもの」
あれはライア・マネー伯爵令嬢。宰相の娘でリリィの友人にして取り巻きのような令嬢だ。っていうかジェシカほどではないにしろリリィに執心しているから庇っているだけで、
「僕もこの目で見ましたが、リリィ嬢に何の落ち度もありませんよ。むしろ何度も注意されて反省しないメアナイト男爵令嬢に問題があります」
え? あれはジュエール・アイスエージ辺境伯令息。我が国の外務大臣の息子でリリィと成績を競い合うライバルのような男のはずなのにリリィを肯定するだと?
「殿下、私もメアナイト男爵令嬢のことは困っておりましたぞ? プラチナム公爵令嬢が何度も優しく丁寧に注意されていたというのに……殿下は何を根拠にいじめたと?」
学園の、それも俺のクラス担当の教師ジン・パペティア先生までも……え? もしかしてリリィは本当にアノマに罵声を浴びせたんじゃなくて注意しただけ? そんな……いや、だが!
俺は貴族のパーティー中に高らかに宣言するのだ。ツインローズ王国第一王子にして王太子マグーマ・ツインローズとして!
「リリィ・プラチナム公爵令嬢! 私、王太子ことマグーマ・ツインローズ第一王子との婚約を破棄させてもらう! それと同時に、貴様をアノマ・メアナイト男爵令嬢をいじめた罪で訴える!」
俺の隣には望まぬ婚約者ではない。俺の運命の相手アノマ・メアナイト男爵令嬢だ。ドレスは少し安っぽいかな。でも俺は彼女がそれでいいなら気にしなかった。それにそれどころでもないしな。
「はあ……婚約破棄ですか。なにゆえそのような話を、いまここで? このパーティーのあとではいけませんの?」
一応俺の婚約者のはずの公爵令嬢リリィ・プラチナムは呆れたふりを装って聞いてくるが、内心では分からない。きっと王太子妃の立場を失うと思って焦っているはずなんだ……と思うのだが面倒くさそうにしているのは何故だ? だが、その余裕そうな顔も直ぐに駄目にしてやる!
「フン! しらじらしい! 素直に認めたらどうだ、この可愛く可憐なアノマをいじめた罪を!」
「いじめた罪?」
いじめた罪と俺が叫んでもリリィは不思議そうな顔をするだけだった。何だその顔は? 何様のつもりだ!
「何かのお間違いでは? わたしには全く身に覚えがございませんが?」
「何をいうか! 俺がアノマと仲良くしているから、嫉妬したお前がアノマに罵声を浴びせたり、教科書や服を破るといういじめを行っているということは分かっているんだ!」
「ああ、それでしたら罵声ではなく注意をしただけですよ。『婚約者のいる男性と深く付き合うのははしたないですよ』と言いましたが?」
「え?」
「それと、『格上の、ましてや王族の方とはもっと礼儀をもっと接しなさい』とも注意をしましたが、決して罵声ではありません」
「な、何!?」
は? 罵声を浴びせたんじゃなくて注意しただけ? そんな? どういうことだ? 俺が動揺する間もなくリリィの言葉を支持する者たちが次々と現れ、私の言葉を打ち消し始めた。
「リリィ様の仰ることは事実ですわ。わたくしはリリィ様が優しくアノマ嬢に注意しているのを何度も拝見しましたもの」
あれはライア・マネー伯爵令嬢。宰相の娘でリリィの友人にして取り巻きのような令嬢だ。っていうかジェシカほどではないにしろリリィに執心しているから庇っているだけで、
「僕もこの目で見ましたが、リリィ嬢に何の落ち度もありませんよ。むしろ何度も注意されて反省しないメアナイト男爵令嬢に問題があります」
え? あれはジュエール・アイスエージ辺境伯令息。我が国の外務大臣の息子でリリィと成績を競い合うライバルのような男のはずなのにリリィを肯定するだと?
「殿下、私もメアナイト男爵令嬢のことは困っておりましたぞ? プラチナム公爵令嬢が何度も優しく丁寧に注意されていたというのに……殿下は何を根拠にいじめたと?」
学園の、それも俺のクラス担当の教師ジン・パペティア先生までも……え? もしかしてリリィは本当にアノマに罵声を浴びせたんじゃなくて注意しただけ? そんな……いや、だが!
41
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
婚約破棄ですか?構いませんわ。ですがその契約、すべて我が家のものです
ふわふわ
恋愛
王太子ユリウスは、王立学園の卒業舞踏会で突然宣言した。
「カリスタ・ヴァレリオンとの婚約を破棄する!」
隣には涙を流す義妹ルミレア。
彼女は「姉に虐げられてきた可哀想な令嬢」を演じ、王太子はそれを信じてしまう。
だが――王太子は知らなかった。
ヴァレリオン公爵家が
王国銀行の資金、港湾会社の株式、商人組合の信用保証――
王国経済の中枢を支える契約のほとんどを握っていたことを。
婚約破棄と同時に、カリスタは静かに言った。
「では契約を終了いたします」
その瞬間、王国の歯車は止まり始める。
港は停止。
銀行は資金不足。
商人は取引停止。
そしてついに――
王宮大広間で王太子の公開断罪が始まる。
「私は悪くない!」
「騙されたんだ!」
見苦しく喚き暴れる王太子は、衛兵に取り押さえられ、床を引きずられるようにして連行されていく。
王太子、義妹、義父母。
すべてが破滅したとき、カリスタはただ静かに告げる。
「契約は終わりました」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる