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18.
しおりを挟む「……殿下」
「! リリィ……」
生徒に教師、多くの者たちが証人となって口を開いていたが遂に当のリリィ本人が口を開きだした。
「皆様が私のために仰っていただいたので私がいじめたということはないとご理解いただけたと存じます」
「そ、それは……」
「なんとか言ったらどうだ馬鹿王子!」
「ひっ!」
リリィに続きジェシカまで口を開きだした。その顔には明らかに怒りが見える。それも当然だ。俺はリリィに冤罪をかけようとしていたようなもの。リリィに執心するジェシカからすれば俺は……。
「そもそも、貴様のような馬鹿王子がお嬢様との婚約を失えば王太子でいられないんだぞ? それを分かって婚約破棄などと抜かしたのか?」
「な、なんだと?」
「成績が悪くて評判が悪い王子でしかない貴様が公爵家の後ろ盾なしに次期国王として支持されるはずがない。そんなことも考えていなかったのか? だとしたら馬鹿すぎるだろ?」
「な、何を言って……俺は第一王子で、」
俺は第一王子、嫡男だ。俺は国王になるために生まれたんだ。そう言おうとした直後にリリィが遮るように言葉を続けた。
「ジェシカの言う通り、残念ながらマグーマ殿下を次期国王として支持する貴族は我が国において少数派です。すでに第二王子トライセラ殿下もしくは第三王子トップス殿下を支持する派閥のほうが多数派なのです」
弟たちを支持? 俺が、第一王子の俺がいるのに?
「私との婚約を破棄して後ろ盾をなくすなら王太子から外されるのは間違いないでしょう。……先ほど自分は第一王子で嫡男だからという屁理屈を口に出そうとしていましたが、言いたいことはそれだけですか?」
「…………」
リリィの説明は分かりやすい。自分でも分かるくらい頭が良いとは言えない俺でも理解した。リリィとの婚約破棄の意味するところは俺が王太子の立場を失うのだと。いじめもしていないし何よりも婚約破棄される理由がまったくないリリィに対して俺は……
「…………さっき言ったことは取り消してくれ。わ、悪かった、言いすぎた。こ、これからは、もっと仲良くしていこうじゃないか…………」
我ながらあまりにも力がこもっていない言葉だった。だけど、言葉にしないとまずい状況だった。このままでは俺は王太子じゃなくなって国王になれない……。犯した失敗があまりにも酷いくらい俺でも分かるから……
「マ、マグーマ様…………」
さっきまで俺に抱き着いていたアノマはいつの間にか離れていた。当然だ。俺のせいでいじめを受けていて、しかも知らなかったとはいえ自分の婚約者に冤罪をかけようとしていたんだ。顔を青褪めるのも分かってしまう。
「もういいみたいですね」
そんな絶望的な気分の俺達にリリィは笑顔で声をかけた。
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