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そして、懇意にしている御者に急いで馬車を出してもらってメアナイト男爵の屋敷に行った。屋敷に到着してすぐにアノマに会おうとしたが部屋にこもって泣いているという。
「む、娘は、昨日帰ってから泣き続けております。『私のせいで殿下が……』とばかりで、殿下の婚約破棄が失敗したくらいしか理解できず……」
ロカリスがオロオロという感じで説明する。どうやらパーティーの後、アノマはすぐに屋敷に戻されたようだ。俺のように事情聴取されるために軟禁状態にならなかったらしい。良かったと思っている場合じゃない。二人に危機が迫っているんだ!
俺はロカリスに王宮であったことを全て話した。
「――というわけなんだ!」
「な、な、な、なんてことだ! もうすでに……い、いや、殿下、お知らせくださり、ありがとうございます……」
俺の話を聞いたロカリスは動揺を隠せずに取り乱した。
……ん? 何だ? なんかちょっと様子がおかしかったような……。なんかイタズラがバレた時の俺と同じ反応をしたような?
……あれ? それに何で感謝される?
「で、殿下! どうやら殿下が思っている以上に殿下や私達の味方はおらず、敵が多いようです!」
「まぁ、それは分かっているよ」
「殿下が名ばかりの領地に送られることがすぐに決まっている時点で殿下を陥れる準備はされていたに違いありません!」
「そうか……やはり……」
熱弁を振るうロカリスの言葉に俺はそうだと思うしかない。パーティーであったこと、王宮であったことを鑑みれば俺の味方は国規模でほとんどいないとしか思えない。ティレックス侯爵になる未来しかないと思うと絶望しかない。きっと過酷な地で辛い暮らしを強いられるんだと思うと無気力になる。
そんな俺にロカリスは叫ぶように提案した。
「殿下! この国から脱出しましょう! 殿下を省みないこの国を捨てて、隣国に行って、我々と共に!」
「隣国?」
「そうです! 私は隣国とコネがありますから殿下と娘を守りながら他国でやっていける自信があります! 殿下が幸せになるにはもうそうするしかありません!」
「……」
国を捨てて隣国か……思いも寄らない考えだが、それもいいかもな。どうせこの国にいてもほとんどの者が俺を顧みない。好きな女と結ばれたくても障害のほうが多い。それならこんな国を捨ててしまう方がずっといい……そう思えてしまった。
「殿下!」
「分かった……ロカリス、すぐに手配してくれ」
「はい! すぐにでも!」
ロカリスは大慌てで準備を始めてくれた。まさか、俺とともに隣国に行くなんて提案してくれるなんて……なんだか早計な気もするがこの国にいても俺が蔑ろにされるだけなら隣国に行くのも手だ。
「む、娘は、昨日帰ってから泣き続けております。『私のせいで殿下が……』とばかりで、殿下の婚約破棄が失敗したくらいしか理解できず……」
ロカリスがオロオロという感じで説明する。どうやらパーティーの後、アノマはすぐに屋敷に戻されたようだ。俺のように事情聴取されるために軟禁状態にならなかったらしい。良かったと思っている場合じゃない。二人に危機が迫っているんだ!
俺はロカリスに王宮であったことを全て話した。
「――というわけなんだ!」
「な、な、な、なんてことだ! もうすでに……い、いや、殿下、お知らせくださり、ありがとうございます……」
俺の話を聞いたロカリスは動揺を隠せずに取り乱した。
……ん? 何だ? なんかちょっと様子がおかしかったような……。なんかイタズラがバレた時の俺と同じ反応をしたような?
……あれ? それに何で感謝される?
「で、殿下! どうやら殿下が思っている以上に殿下や私達の味方はおらず、敵が多いようです!」
「まぁ、それは分かっているよ」
「殿下が名ばかりの領地に送られることがすぐに決まっている時点で殿下を陥れる準備はされていたに違いありません!」
「そうか……やはり……」
熱弁を振るうロカリスの言葉に俺はそうだと思うしかない。パーティーであったこと、王宮であったことを鑑みれば俺の味方は国規模でほとんどいないとしか思えない。ティレックス侯爵になる未来しかないと思うと絶望しかない。きっと過酷な地で辛い暮らしを強いられるんだと思うと無気力になる。
そんな俺にロカリスは叫ぶように提案した。
「殿下! この国から脱出しましょう! 殿下を省みないこの国を捨てて、隣国に行って、我々と共に!」
「隣国?」
「そうです! 私は隣国とコネがありますから殿下と娘を守りながら他国でやっていける自信があります! 殿下が幸せになるにはもうそうするしかありません!」
「……」
国を捨てて隣国か……思いも寄らない考えだが、それもいいかもな。どうせこの国にいてもほとんどの者が俺を顧みない。好きな女と結ばれたくても障害のほうが多い。それならこんな国を捨ててしまう方がずっといい……そう思えてしまった。
「殿下!」
「分かった……ロカリス、すぐに手配してくれ」
「はい! すぐにでも!」
ロカリスは大慌てで準備を始めてくれた。まさか、俺とともに隣国に行くなんて提案してくれるなんて……なんだか早計な気もするがこの国にいても俺が蔑ろにされるだけなら隣国に行くのも手だ。
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