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105.自業自得?
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「その時のワカナ嬢の言動は、はっきり言って貴族の令嬢らしからぬ無礼極まりない言葉でしたが、その言葉の中でサエナリア嬢が姿を消したというようなことを口にしていました。嫌な予感がした私は、ワカナ嬢が部屋を後にした後で公爵に事情を聞きだしました。……サエナリア嬢が置手紙を残して行方をくらましたことを」
「……サエナリア……」
「…………」
「っ!? …………!(あのくそ王子がぁ!)」
ソノーザ公爵夫妻、ベーリュとネフーミは悲痛な表情になって俯く。サエナリアのことで罪悪感を抱いているように見える。もしくは、彼女がきっかけで自分たちが確実に裁かれることを苦痛に思っているのだろうか。
「見ろよワカナ嬢の目、血走ってないか」
「ああ、猿轡なんかされてるけど目がヤバいよ」
「王子二人の前で粗相を働いたって本当だったのね」
「どんな教育してきたんだろ? 姉妹格差ってやつ?」
「あんな娘が妹だなんて……サエナリア様が気の毒で仕方がないわ……」
もっとも、ワカナだけはもはや狂気に満ちた目でカーズを、両親を睨んでいるようにも見える。周囲の目はドン引きそのものだ。
「公爵から詳しい話を聞いて、更に私が無断でサエナリア嬢の部屋を目にしたことで、彼女が家庭環境の中でとても不遇な思いをしていることを知りました。妹のワカナ嬢を優先され彼女自身の意思は無視される。しかも、自室を物置と併用されていたのです。とても貴族令嬢の扱いとは思えぬほどの雑な扱いでした。あれでは家族の扱いですらあり得ません」
「も、物置?」
「「「「「っ!?」」」」」
「殿下、それは真ですか?」
「はい。事実です」
「なんと………」
裁判長の質問に事実だと答える。答えを聞いた裁判長は言葉を失う。それは聞いていた周囲の反応も同じだった。
「……公爵夫妻。殿下の語ったことは事実ですか?」
「「………………」」
「正直に話してください」
裁判長は視線をソノーザ公爵夫妻に向けると確認を取る。注目される夫妻はゆっくり顔を上げて答えた。
「はい………殿下の言う通りです………私が、あの娘を顧みなかったのです……」
「私も………家庭を省みませんでした………」
「……そうですか」
裁判長の夫妻を見る目が冷たくなっていく。それと比例するかのようにサエナリアに対する同情が膨れ上がる。そして、それはこの場にいるほとんどの者たちが同じだった。
「……正気か?」
「し、信じられん。公爵ほどの貴族が娘の部屋を物置と……」
「この時点で降格決定じゃね?」
「ソノーザ家に生まれなくてよかったわ……」
「サエナリア様が可哀そうですわ……」
……サエナリアに同情しない者がいるとしたら、貴族令嬢でありながら縛られて猿轡までされているのに誰にも同情してもらえないサエナリアの妹のワカナだけだった。
「(くそくそくそくそくそくそくそっ! 何で私がこんな目にっ!? それもこれも、サエナリアとかいう私の姉のせいよっ! いなくなったと気付いたらこんな状況に陥れるなんてっ! なんて冷酷非道な姉なのっ!)」
ワカナにとって実の姉のサエナリアは同情の対象どころか憎しみの対象になっていたのだ。今自分が縛られているのは名前をすらまともに覚えていない姉のせいに違いないなどと、ワカナはいまだに勘違いし続けているのだ。おそらく自業自得と言う言葉をワカナは理解できないだろう。
「(許せない許せない許せない許せない。ここに居る奴らも皆、絶対許せない!)」
行動を制限されているため頭の中で憤り続けるワカナのことを誰も気にかけないで裁判は続く。
「……サエナリア……」
「…………」
「っ!? …………!(あのくそ王子がぁ!)」
ソノーザ公爵夫妻、ベーリュとネフーミは悲痛な表情になって俯く。サエナリアのことで罪悪感を抱いているように見える。もしくは、彼女がきっかけで自分たちが確実に裁かれることを苦痛に思っているのだろうか。
「見ろよワカナ嬢の目、血走ってないか」
「ああ、猿轡なんかされてるけど目がヤバいよ」
「王子二人の前で粗相を働いたって本当だったのね」
「どんな教育してきたんだろ? 姉妹格差ってやつ?」
「あんな娘が妹だなんて……サエナリア様が気の毒で仕方がないわ……」
もっとも、ワカナだけはもはや狂気に満ちた目でカーズを、両親を睨んでいるようにも見える。周囲の目はドン引きそのものだ。
「公爵から詳しい話を聞いて、更に私が無断でサエナリア嬢の部屋を目にしたことで、彼女が家庭環境の中でとても不遇な思いをしていることを知りました。妹のワカナ嬢を優先され彼女自身の意思は無視される。しかも、自室を物置と併用されていたのです。とても貴族令嬢の扱いとは思えぬほどの雑な扱いでした。あれでは家族の扱いですらあり得ません」
「も、物置?」
「「「「「っ!?」」」」」
「殿下、それは真ですか?」
「はい。事実です」
「なんと………」
裁判長の質問に事実だと答える。答えを聞いた裁判長は言葉を失う。それは聞いていた周囲の反応も同じだった。
「……公爵夫妻。殿下の語ったことは事実ですか?」
「「………………」」
「正直に話してください」
裁判長は視線をソノーザ公爵夫妻に向けると確認を取る。注目される夫妻はゆっくり顔を上げて答えた。
「はい………殿下の言う通りです………私が、あの娘を顧みなかったのです……」
「私も………家庭を省みませんでした………」
「……そうですか」
裁判長の夫妻を見る目が冷たくなっていく。それと比例するかのようにサエナリアに対する同情が膨れ上がる。そして、それはこの場にいるほとんどの者たちが同じだった。
「……正気か?」
「し、信じられん。公爵ほどの貴族が娘の部屋を物置と……」
「この時点で降格決定じゃね?」
「ソノーザ家に生まれなくてよかったわ……」
「サエナリア様が可哀そうですわ……」
……サエナリアに同情しない者がいるとしたら、貴族令嬢でありながら縛られて猿轡までされているのに誰にも同情してもらえないサエナリアの妹のワカナだけだった。
「(くそくそくそくそくそくそくそっ! 何で私がこんな目にっ!? それもこれも、サエナリアとかいう私の姉のせいよっ! いなくなったと気付いたらこんな状況に陥れるなんてっ! なんて冷酷非道な姉なのっ!)」
ワカナにとって実の姉のサエナリアは同情の対象どころか憎しみの対象になっていたのだ。今自分が縛られているのは名前をすらまともに覚えていない姉のせいに違いないなどと、ワカナはいまだに勘違いし続けているのだ。おそらく自業自得と言う言葉をワカナは理解できないだろう。
「(許せない許せない許せない許せない。ここに居る奴らも皆、絶対許せない!)」
行動を制限されているため頭の中で憤り続けるワカナのことを誰も気にかけないで裁判は続く。
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