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おまけ8 第48話
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カリブラが計画を実行する前日、侯爵家の屋敷で一悶着あった。それはいつものようにソルティアの我儘から始まったことだった。
「いい加減にしろ! 僕がお前にどれだけ迷惑をかけられてると思ってんだ!」
「きゃあ!」
ソルティアの我儘に堪忍袋の緒が切れたカリブラは遂に手を上げた。ソルティアに拳を振り上げて殴ったのだ。
「う、うわあああ~!」
ソルティアは殴られたと理解すると痛みで泣き喚いて部屋に籠もってしまった。その場面をマキナは見て絶句した。
「か、カリブラ……なんてことを……令嬢に拳を振り上げるなんて……!」
「母上……」
母親に見られたと気づいて一瞬『しまった!』という顔になったカリブラだったが、すぐに何でも無いかのように振る舞い出した。
「母上、何のこともありません。今のはソルティアがいけないのです。僕は手を上げてしまいましたが悪いことをしたとは思いません」
「な、何を言うの!? 貴族紳士としてあるまじき行為よ!」
「それは相手が貴族令嬢ならの話でしょう? ソルティアは貴族令嬢の皮を被った獣です。容赦する必要なんかなかったんですよ、もともとね」
「なっ!?」
マキナは呆然とした。確かにソルティアの我儘は酷いがあれでも貴族令嬢の端くれなのだ。それを拳で殴って獣呼ばわりする息子にマキナは目眩すらしそうになった。
(ああ……この子には当主どころか貴族すら無理かも……っていうか、何ができるの?)
幼い頃のカリブラを甘やかした結果が今の状況かと何度後悔したか覚えていないが、令嬢に理由をつけて殴るという蛮行を見て、後悔を通り越して絶望したのは初めてだ。
(いっそ追い出してしまおうかしら? これ以上馬鹿なことをしないうちに……)
廃嫡どころか追い出すことまで思案に入れ始めたマキナだったが、この時のカリブラをもっと叱りつけていれば後の運命は少し変わったのだろうか。
◇
――カリブラが計画を実行して失敗した日、マキナは暴れ狂うソルティアに手を焼いていた。どうすることもできないと思っていた矢先、突如訪れたアスーナたちに止めてもらったのだ。
何の前触れもなしに訪れたアスーナたちに感謝したが、訪れた理由を聞かされてマキナは絶望した。
「――……そ、そんな!? か、カリブラがそのような犯罪まがいの行動に!?」
マキナが聞かされたのは、アスーナとバニアを手籠めにするというカリブラの悍ましい計画だった。昨日、ソルティアを殴ったばかりだというのに、今日はそれ以上比べ物にならない様なことを行おうとしたのだ。そして、失敗して連行されたとも……。
「なんてこと……もう、終わりよ……」
マキナは泣き崩れた。もう侯爵家の終わりだと確信したのだ。マキナの顔はその瞬間に十年分老けたかのような顔になった。ただでさえバカ息子とそのバカな婚約者の娘のせいで疲弊しているのに追い打ちを掛けられればそうなってもおかしくない。
「マキナ様……私からなんと申せばいいか……」
アスーナも言葉に詰まる。掛ける言葉が見つからない。マキナからすれば死刑判決を宣告されたようなものなのだから。
しかし、現実は死刑ではない。別の意味で死刑な方が良かったのかもしれないが。
「いい加減にしろ! 僕がお前にどれだけ迷惑をかけられてると思ってんだ!」
「きゃあ!」
ソルティアの我儘に堪忍袋の緒が切れたカリブラは遂に手を上げた。ソルティアに拳を振り上げて殴ったのだ。
「う、うわあああ~!」
ソルティアは殴られたと理解すると痛みで泣き喚いて部屋に籠もってしまった。その場面をマキナは見て絶句した。
「か、カリブラ……なんてことを……令嬢に拳を振り上げるなんて……!」
「母上……」
母親に見られたと気づいて一瞬『しまった!』という顔になったカリブラだったが、すぐに何でも無いかのように振る舞い出した。
「母上、何のこともありません。今のはソルティアがいけないのです。僕は手を上げてしまいましたが悪いことをしたとは思いません」
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「それは相手が貴族令嬢ならの話でしょう? ソルティアは貴族令嬢の皮を被った獣です。容赦する必要なんかなかったんですよ、もともとね」
「なっ!?」
マキナは呆然とした。確かにソルティアの我儘は酷いがあれでも貴族令嬢の端くれなのだ。それを拳で殴って獣呼ばわりする息子にマキナは目眩すらしそうになった。
(ああ……この子には当主どころか貴族すら無理かも……っていうか、何ができるの?)
幼い頃のカリブラを甘やかした結果が今の状況かと何度後悔したか覚えていないが、令嬢に理由をつけて殴るという蛮行を見て、後悔を通り越して絶望したのは初めてだ。
(いっそ追い出してしまおうかしら? これ以上馬鹿なことをしないうちに……)
廃嫡どころか追い出すことまで思案に入れ始めたマキナだったが、この時のカリブラをもっと叱りつけていれば後の運命は少し変わったのだろうか。
◇
――カリブラが計画を実行して失敗した日、マキナは暴れ狂うソルティアに手を焼いていた。どうすることもできないと思っていた矢先、突如訪れたアスーナたちに止めてもらったのだ。
何の前触れもなしに訪れたアスーナたちに感謝したが、訪れた理由を聞かされてマキナは絶望した。
「――……そ、そんな!? か、カリブラがそのような犯罪まがいの行動に!?」
マキナが聞かされたのは、アスーナとバニアを手籠めにするというカリブラの悍ましい計画だった。昨日、ソルティアを殴ったばかりだというのに、今日はそれ以上比べ物にならない様なことを行おうとしたのだ。そして、失敗して連行されたとも……。
「なんてこと……もう、終わりよ……」
マキナは泣き崩れた。もう侯爵家の終わりだと確信したのだ。マキナの顔はその瞬間に十年分老けたかのような顔になった。ただでさえバカ息子とそのバカな婚約者の娘のせいで疲弊しているのに追い打ちを掛けられればそうなってもおかしくない。
「マキナ様……私からなんと申せばいいか……」
アスーナも言葉に詰まる。掛ける言葉が見つからない。マキナからすれば死刑判決を宣告されたようなものなのだから。
しかし、現実は死刑ではない。別の意味で死刑な方が良かったのかもしれないが。
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