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おまけ16 元伯爵令嬢の末路3

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父と兄の説教から開放されたソルティアは今、自室で暴れまわっていた。修道院に送るまでの間部屋で大人しくしていろと言われて放り込まれたのだ。いわば軟禁だ。ついでにソルティア自身で部屋からも出られない。


「なんで? なんでこんなことに……!? う、うっ……」


暴れまわった後、疲れ切ったソルティアは立ちすくんで泣いた。部屋の床にうずくまり悔し涙を流す。まるで何も分からず泣くしかない幼子のように。

そんなタイミングで、ソルティアの心をかき乱す女性が部屋に入ってくる。実姉のアスーナだ。


「ソルティア」

「お姉様……」


開かなかった部屋のドアを開けて入ってきた姉アスーナ。普段のソルティアなら勝手に入ってきたことに強気な態度に出るのだろうが、今回ばかりはそんな気分になれそうにないようだ。


「お姉様……私、修道院に送られるんですって……しかも、一番厳しい場所……」

「知ってるわ。エグゼード公爵家直属のイプスナ修道院でしょう。王妃様の実家の直属の場所だなんてお父様も遂に踏み切ったわけね」

「……とんでもない負け組になったものね。私は……」

「ソルティア……」


珍しく弱々しくて覇気のないソルティア。だが、そんな姿を見せられてもアスーナは同情しない。ソルティアの処遇は妥当であり、ソルティアのためだと思っているからだ。


「それに比べてお姉様は公爵令息と……いいわよね、勝ち組はっ!」

「ソルティア」

「私は何を間違えたの!? カリブラ様と仲良くしたのが悪いの!? お姉様を馬鹿にしたのが悪いの!? 本当にどうしてこうなったのよ!?」

「……」


再び泣きわめき始めたソルティア、その姿はアスーナに『変わらない』と思わせた。幼子の時から今に至るまで本当に変わらない。全くと言っていいほど成長していないと。


「ソルティア、本当にどうしてそうなったのか分からないのなら……それが分かることが貴女の修道院での目標だと思いなさい」

「うぅ、何よそれ……」

「私は貴女を絶対に許さない。だけど、どうでもいいとまでは思わないの。仮にも姉妹として生まれたからね」

「……」

「だから、修道院でたくさん知りなさい。学びなさい。今までの行いを後悔することになったとしても遅くはないんだから。何なら今考えてもいい」

「お姉様……」

「ソルティア、修道院に送られる日には見送りだけはしてあげられる。それ以上は無理かもだけどね」


それだけ言うと、アスーナは部屋から出ていった。ひとり残されたソルティアはアスーナの言葉の意味を理解できずにいたが、意外にもアスーナの言葉は頭の中に残っていた。


「……どうすれば……いや、どういう意味なのよ……助けてよ……」


分かっているのは一つだけ、姉も助けてくれない。いくらソルティアでもそれだけは理解していた。
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