俺xビッチ男子、ときどきショタ

いちみりヒビキ

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(09) 過去

アラタは眠気まなこで布団から起きた。
そこにいる人に話しかける。

「おはよう、ユウキ。あれ? ミノリ、どうしてここに?」
「おはようございます。アラタさん!」

そこには、パジャマ姿のミノリがいた。
アラタは、たしか、ユウキが来ていたはずだったのだが、と頭をポリポリと掻いた。

「ミノリ、いつ来たんだ? まぁ、いいか。丁度いい、朝イチでどうだ?」

最近のアラタは、ミノリを見ると条件反射で欲情してしまう。
朝勃ちもビンビンだし、渡りに船。

アラタは、ミノリの手首を引っ張ると、強引に押し倒した。
しかし、ミノリは顔を背けて言った。

「アラタさん。ちょっと待って下さい」
「ん? どうした?」

いつもと違うミノリの態度に、アラタの理性はストップを掛けた。
アラタは、優しくミノリを起こしてやると、手を握って言葉を待つ。

ミノリは頭を下げた。

「まず、御礼を言わせて下さい。ありがとうございました」
「ん? 何のお礼だ?」

アラタはハテナ顔になった。
ミノリは続ける。

「ユウキの事です。彼に優しくしてくれました」
「ああ、ユウキね。ん? 何でミノリがユウキの事を知っているんだ?」

「はい、それは……」

ミノリは口ごもった。
そして、俯いた顔を起こすと、アラタに真っすぐ向けた。

「オレがユウキだからです。多分」
「え!? どういう事?」

驚いたアラタはますます混乱を深める。
ミノリは首を振った。

「オレにも分からないです。でも、オレの記憶にもあるんです。小学生の頃に出会ったある人の事」

ミノリは話し始めた。

オレは、アラタさんが話したユウキと同じ境遇。
両親の愛情を知らず、叔父叔母の元でひとりぼっちで育ちました。

ある日、家出をした時、その人と出会い、よくしてもらいました。
愛情をもらいました。

初めて、ひとりぼっちじゃないって思いました。
でも、あの人はオレの前から消えてしまったのです。

しかし、いつか約束を果たす時が来る。
それを胸に頑張って来ました。

高校に入りアラタさんに出会い、あの人の面影を見ました。
そして、好きになりました。

あなたに抱かれ、あの人との約束を忘れかけていました。
でも、この間、アラタさんの話を聞くうちに昔の記憶が蘇ってきました。

それと同時に、確信しました。
幼い日に愛情をくれたのはあなた。
アラタさんなのだと。


ミノリの話は、突飛であった。
アラタは、

「にわかに信じる事は難しいな」

と呟いた。
ミノリは、でも、と続ける。

「でも。ユウキって名前、オレの旧姓、本当の苗字なんです」
「苗字!?」

「当時、オレはその名をよく使っていました。ユウキ ミノリ。オレの名前です」
「ユウキ ミノリ……」

「アラタさん。オレの記憶とアラタさんが体験した事が同じなら、オレはアラタさんとある約束をしています。ずっと、家族。そして、望むなら恋人にと」


アラタは、目の前の霧が晴れていく気がしていた。
ずっと、心の中で渦をまく、何か大事なものを見落としているような、そんなもやもやした気持ち。
それが何なのかようやく理解した。


「ああ、ミノリ。お前のいう通りだな。確かに約束をした。そうか、ミノリ、お前とした約束だったんだな」

アラタは、ミノリの頬を手で押さえた。
そして、ミノリの顔をじっと見つめる。

「確かに、ミノリにユウキの面影がある」
「はい」

アラタは確信した。


ミノリは、拳をギュッと握って声を張り上げた。

「アラタさん、オレ、実は今でもアラタさんと契りを結びたいです! ダメですか?」
「ミノリ。お前、そんな約束に振り回される事はない。タキと付き合っているのだろう?」

ミノリは、下を向いた。
そして、申し訳なさそうに上目遣いで言った。

「それ、嘘なんです」
「え?」

「実は、タキさんとも別れました。アラタさんがこっちに帰ってくるって聞いたから」
「な、なんだと!?」

驚くアラタ。
しかし、続くミノリの言葉に、アラタは言葉を失った。

「約束の、あの人に相応わしい男になる為に、オレはいろんな男と付き合いました。より気持ちのいいセックスを学ぶ為です。あの人が望む事を叶えるため、どんな要求でも満足させられるようになる為。いつか結ばれるその時の為に……」

しばらく沈黙が続いた。
ミノリは下を向いて、黙ったまま、アラタの言葉を待った。

アラタの肩にミノリの思いが重くのしかかる。

アラタを満足させる為だけに、ありとあらゆる男達と寝て、男を気持ちよくさせる技量を身にようとしたのだ。
はたから見れば淫乱。只のビッチ。

しかし、その根底にあるには純粋無垢な一途な思い。
子供の時に決意した願いを叶えるため。

そして、現に今、ミノリの体はアラタを虜にするだけの魅力を勝ち得たのだ。

アラタは、感動で打ち震えた。

ミノリのアラタに対する気持ちが本物なら、またアラタのミノリに対する気持ちも本物。
アラタは、決意を口にした。

「ミノリ、いやユウキ。今こそあの日の約束を果たそう。俺は、お前を恋人として迎え入れる」

ミノリの体はアラタにもっていかれた。
アラタは、胸の中のミノリに語りかける。

「いいな? ミノリ」
「はい! アラタさん!」

ミノリは、アラタに精いっぱいの力で抱き着いた。
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