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11 告白(1) ~アオイ~
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あの日以来、オレはますますリュウジと親密になった気がする。
オレはもともとリュウジとスキンシップを取るのが好きだった。
だから、リュウジに肩を触られたり、腕を掴まれたりするのが心地よかった。
それが最近では、オレの方からも積極的にアプローチするようになった。
例えば、リュウジが体を寄せ来ると、オレもスッと近づく。
そして、さり気無く、手を触りやすい位置に置いたり、頭を撫でてほしくて、上目遣いで顔を近づけたりした。
そうすると、リュウジの方も、オレのサインを読み取り、どんどんスキンシップを取ってくれるのだ。
リュウジに触られると、ビビッと体が敏感に反応して、幸せな気持ちになる。
こんな風な距離感でずっとリュウジと付きあって行きたい。そう、切に願っていた。
そんな、ある日の事。
下校中のリュウジがふと、
「なぁ、アオイ。今度、海に遊びにいかないか?」
と、誘ってくれたのだ。
オレは二つ返事で、「いく!」と答えた。
ものすごくうれしくて飛び上がりそうだった。
海に行くなんて、いつ以来だろう。
リュウジと出かけるのはどこでも嬉しいが、海は特別に嬉しい。
裸で触れ合えるのだ。
最高のスキンシップのチャンス。
さすがはリュウジだと、オレは、さりげなく手の甲で、リュウジの手の甲にタッチした。
リュウジも、ちょん、っとやり返してくる。
気持ちがちゃんと伝わっている。
「ふふふ。楽しみだな、リュウジ。海!」
ということで、海である。
真夏の太陽が降り注ぐ、絶好の海日和。
潮の香り、カモメの鳴き声、砂を噛むビーチサンダル、そして、遠く砂浜から聞こえる人々のはしゃぎ声。
オレとリュウジは着替えを済ませ、更衣室がある管理棟から海辺に向かって歩き始めていた。
オレは両手を広げ太陽の日を浴びながら言った。
「なぁ、リュウジ。やっぱりいいな。海は」
「ああ、そうだな」
リュウジは遠く海の方を眺め、手でひさしを作って言った。
オレはさり気なく、リュウジを見る。
清潔感がある無地のトランクスの水着。
相変わらずのたくましい体。
最近はなぜだか、リュウジの裸をちょっと見ただけでドキドキする。
例えば、シャツの胸元から見える鎖骨、腕まくりをした時の上腕筋、ストレッチ中に浮き出る太ももの筋肉などだ。
確かに、リュウジの体は、オレが思う理想的な男の体ではある。
でも、それだけでこんなにドキドキするものか?
答えを突き詰めていくと、実は簡単明瞭、単純な物に辿りついた。
それは、『リュウジ』だ。
つまり、分からない事は、すべてリュウジのせいにしてしまえば、不思議と納得できるのだ。
ドキドキするのはリュウジのせい。
これでいい。
何て、便利なやつなんだ。リュウジって奴は。
オレがクスクスと笑っていると、リュウジが声を掛けてきた。
「なぁ……アオイ。その水着、とっても似合っているな」
オレの水着は、例によって姉貴のお下がり。
スカートタイプのワンピース。
背中にリボンがちょこっとあるだけのシンプルなデザイン。
一番地味なものはと、選んで着てきたのだ。
あまり派手だと、人の視線が煩わしい。
オレは、なんでもない顔で答える。
「そっか?」
「ああ、可愛いよ。アオイ」
「……リュウジ、無理して女を褒めるような言い方しなくていいからな」
オレは、むすっとして答えた。
リュウジは、また始まったな、と言わんばかりにフォローを入れる。
「ははは。本当なんだが……まぁ、確かにアオイなら、『カッコいいな!』の方が嬉しいか?」
「ふふふ。そういうことさ!」
オレは、つっけんどんに答えた。
でも、心の底ではうれしい気持ちはあるのだ。
何故だろう、リュウジに褒められるのって嬉しくて癖になる。
最近は、リュウジと会う時、さりげなく薄化粧をするのだ。
そうすると、リュウジはすぐに気付いてくれて、
「へぇ、まつ毛長くて、アイドルみたいだ!」
とか
「お! 口紅の色、可愛いな!」
と言ってくれるのだ。
その度に、オレは、そうかよ、とクールに言い返す。
もちろん照れ隠しである。
そもそも、メイクなんぞ覚える気は無かったのだが、最低限のたしなみという事で姉貴から無理やりに教え込まれたのだ。
「いいよ、フユ姉! メイク何て要らないから!」
「いいのよ、アオイちゃん。そのうち好きな人が出来ると可愛くなりたいって思う時が来るから」
それが、役に立つ時が来るとは……。
砂浜に差し掛かってきた所で、リュウジが神妙な顔つきで言った。
「アオイ。手をつないでいいか?」
「ぶっ。なんつう顔だよ!」
オレは思わず吹き出してしまった。
リュウジは、すぐに顔を赤く染める。
「いや、その、男同士だろ? なんだか照れ臭いっていうかさ!」
「ははは。まぁな、でもいいぜ。オレはリュウジとだったらさ」
オレは、すっとリュウジの手を握った。
リュウジはすぐにギュッと握り返してくれる。
こうやって、手を握って歩くって、すごく落ち着く。
リュウジの手の大きさ。
そして体温。
ホッとするし安心する。
横目でリュウジの顔を見ると、なにやら満足げ。
「なんだよ! リュウジ。嬉しそうだな」
「お前もだぞ。アオイ」
「そう? そうかもな……」
二人してニヤニヤして歩き出す。
はたから見ると絶対気持ち悪い二人なんだろうな。ふふふ。
砂浜に到着した。
パラソルとベッドを借りて、さっそく海に向かう。
「いこうぜ!」
「うん!」
走り出すリュウジの後ろを追う。
その時、ざばん! と大波がリュウジに直撃した。
「あはは。つめてぇ!」
弾ける水しぶき。
それが、輝きながらリュウジの上に降りかかる。
濡れる髪、はにかむ笑顔。
太陽の光を浴びてキラキラ光る肉体美。
眩しい……。
何て絵になるんだろう。
オレは、思わず、ぼぉっと見とれてしまった。
悔しいけど、リュウジはやっぱりカッコいいよな……。
そして、そんなリュウジの胸筋や腕の筋肉に触れたくて仕方ない自分がいる。
ふぅ……。
まったく、オレのリュウジ好きには困ったものだ。
そんな風に自嘲していると、リュウジが不思議そうな顔で聞いてきた。
「おい、アオイ。何、ニヤニヤしているんだ?」
「ふふふ。ん? ああ、特にな」
オレは誤魔化すように答える。
すると、リュウジは、へぇ。と腑に落ちない顔をしたがすぐに別の事を言った。
「なぁ、アオイ。質問していいか? お前の水着……その……おっぱいがあるように見えるんだが……」
オレはリュウジの視線の先を見た。
オレの胸をガン見している。
なっ……。
オレは恥ずかしくなって、すぐに胸に手をやって隠す。
「ば、バカ! パッドだよ、パッド! 水着は胸がないと余計に目立つんだよ」
「へぇ……そうなのか」
「いいから、見るな!」
「アオイ。俺は、どちらかというとさ、お前の平らな胸がグッとくるな……」
「へっ?」
「あっ! いや、なんでもない。忘れてくれ」
オレは呆気にとられた。
えっ、今のはなんだ!?
オレの胸がなんだって?
しかも、リュウジはなんで顔を真っ赤にしているんだ?
リュウジは、オレをチラッと見ると、ワザとらしく視線を外す。
グッとくるって、何?
オレの体に興味があるって事?
急に胸がドキドキしてくる。
訳が分からないよ……。
オレが困惑した気持ちになっていると、リュウジは、オホンと咳払いをした。
「ほら、少し沖に行くぞ!」
「おっ、おう……」
オレは、そう答えると、この変な気持ちを一蹴するかのように、じゃぶじゃぶと乱暴に歩きながらリュウジの後を追った。
オレはもともとリュウジとスキンシップを取るのが好きだった。
だから、リュウジに肩を触られたり、腕を掴まれたりするのが心地よかった。
それが最近では、オレの方からも積極的にアプローチするようになった。
例えば、リュウジが体を寄せ来ると、オレもスッと近づく。
そして、さり気無く、手を触りやすい位置に置いたり、頭を撫でてほしくて、上目遣いで顔を近づけたりした。
そうすると、リュウジの方も、オレのサインを読み取り、どんどんスキンシップを取ってくれるのだ。
リュウジに触られると、ビビッと体が敏感に反応して、幸せな気持ちになる。
こんな風な距離感でずっとリュウジと付きあって行きたい。そう、切に願っていた。
そんな、ある日の事。
下校中のリュウジがふと、
「なぁ、アオイ。今度、海に遊びにいかないか?」
と、誘ってくれたのだ。
オレは二つ返事で、「いく!」と答えた。
ものすごくうれしくて飛び上がりそうだった。
海に行くなんて、いつ以来だろう。
リュウジと出かけるのはどこでも嬉しいが、海は特別に嬉しい。
裸で触れ合えるのだ。
最高のスキンシップのチャンス。
さすがはリュウジだと、オレは、さりげなく手の甲で、リュウジの手の甲にタッチした。
リュウジも、ちょん、っとやり返してくる。
気持ちがちゃんと伝わっている。
「ふふふ。楽しみだな、リュウジ。海!」
ということで、海である。
真夏の太陽が降り注ぐ、絶好の海日和。
潮の香り、カモメの鳴き声、砂を噛むビーチサンダル、そして、遠く砂浜から聞こえる人々のはしゃぎ声。
オレとリュウジは着替えを済ませ、更衣室がある管理棟から海辺に向かって歩き始めていた。
オレは両手を広げ太陽の日を浴びながら言った。
「なぁ、リュウジ。やっぱりいいな。海は」
「ああ、そうだな」
リュウジは遠く海の方を眺め、手でひさしを作って言った。
オレはさり気なく、リュウジを見る。
清潔感がある無地のトランクスの水着。
相変わらずのたくましい体。
最近はなぜだか、リュウジの裸をちょっと見ただけでドキドキする。
例えば、シャツの胸元から見える鎖骨、腕まくりをした時の上腕筋、ストレッチ中に浮き出る太ももの筋肉などだ。
確かに、リュウジの体は、オレが思う理想的な男の体ではある。
でも、それだけでこんなにドキドキするものか?
答えを突き詰めていくと、実は簡単明瞭、単純な物に辿りついた。
それは、『リュウジ』だ。
つまり、分からない事は、すべてリュウジのせいにしてしまえば、不思議と納得できるのだ。
ドキドキするのはリュウジのせい。
これでいい。
何て、便利なやつなんだ。リュウジって奴は。
オレがクスクスと笑っていると、リュウジが声を掛けてきた。
「なぁ……アオイ。その水着、とっても似合っているな」
オレの水着は、例によって姉貴のお下がり。
スカートタイプのワンピース。
背中にリボンがちょこっとあるだけのシンプルなデザイン。
一番地味なものはと、選んで着てきたのだ。
あまり派手だと、人の視線が煩わしい。
オレは、なんでもない顔で答える。
「そっか?」
「ああ、可愛いよ。アオイ」
「……リュウジ、無理して女を褒めるような言い方しなくていいからな」
オレは、むすっとして答えた。
リュウジは、また始まったな、と言わんばかりにフォローを入れる。
「ははは。本当なんだが……まぁ、確かにアオイなら、『カッコいいな!』の方が嬉しいか?」
「ふふふ。そういうことさ!」
オレは、つっけんどんに答えた。
でも、心の底ではうれしい気持ちはあるのだ。
何故だろう、リュウジに褒められるのって嬉しくて癖になる。
最近は、リュウジと会う時、さりげなく薄化粧をするのだ。
そうすると、リュウジはすぐに気付いてくれて、
「へぇ、まつ毛長くて、アイドルみたいだ!」
とか
「お! 口紅の色、可愛いな!」
と言ってくれるのだ。
その度に、オレは、そうかよ、とクールに言い返す。
もちろん照れ隠しである。
そもそも、メイクなんぞ覚える気は無かったのだが、最低限のたしなみという事で姉貴から無理やりに教え込まれたのだ。
「いいよ、フユ姉! メイク何て要らないから!」
「いいのよ、アオイちゃん。そのうち好きな人が出来ると可愛くなりたいって思う時が来るから」
それが、役に立つ時が来るとは……。
砂浜に差し掛かってきた所で、リュウジが神妙な顔つきで言った。
「アオイ。手をつないでいいか?」
「ぶっ。なんつう顔だよ!」
オレは思わず吹き出してしまった。
リュウジは、すぐに顔を赤く染める。
「いや、その、男同士だろ? なんだか照れ臭いっていうかさ!」
「ははは。まぁな、でもいいぜ。オレはリュウジとだったらさ」
オレは、すっとリュウジの手を握った。
リュウジはすぐにギュッと握り返してくれる。
こうやって、手を握って歩くって、すごく落ち着く。
リュウジの手の大きさ。
そして体温。
ホッとするし安心する。
横目でリュウジの顔を見ると、なにやら満足げ。
「なんだよ! リュウジ。嬉しそうだな」
「お前もだぞ。アオイ」
「そう? そうかもな……」
二人してニヤニヤして歩き出す。
はたから見ると絶対気持ち悪い二人なんだろうな。ふふふ。
砂浜に到着した。
パラソルとベッドを借りて、さっそく海に向かう。
「いこうぜ!」
「うん!」
走り出すリュウジの後ろを追う。
その時、ざばん! と大波がリュウジに直撃した。
「あはは。つめてぇ!」
弾ける水しぶき。
それが、輝きながらリュウジの上に降りかかる。
濡れる髪、はにかむ笑顔。
太陽の光を浴びてキラキラ光る肉体美。
眩しい……。
何て絵になるんだろう。
オレは、思わず、ぼぉっと見とれてしまった。
悔しいけど、リュウジはやっぱりカッコいいよな……。
そして、そんなリュウジの胸筋や腕の筋肉に触れたくて仕方ない自分がいる。
ふぅ……。
まったく、オレのリュウジ好きには困ったものだ。
そんな風に自嘲していると、リュウジが不思議そうな顔で聞いてきた。
「おい、アオイ。何、ニヤニヤしているんだ?」
「ふふふ。ん? ああ、特にな」
オレは誤魔化すように答える。
すると、リュウジは、へぇ。と腑に落ちない顔をしたがすぐに別の事を言った。
「なぁ、アオイ。質問していいか? お前の水着……その……おっぱいがあるように見えるんだが……」
オレはリュウジの視線の先を見た。
オレの胸をガン見している。
なっ……。
オレは恥ずかしくなって、すぐに胸に手をやって隠す。
「ば、バカ! パッドだよ、パッド! 水着は胸がないと余計に目立つんだよ」
「へぇ……そうなのか」
「いいから、見るな!」
「アオイ。俺は、どちらかというとさ、お前の平らな胸がグッとくるな……」
「へっ?」
「あっ! いや、なんでもない。忘れてくれ」
オレは呆気にとられた。
えっ、今のはなんだ!?
オレの胸がなんだって?
しかも、リュウジはなんで顔を真っ赤にしているんだ?
リュウジは、オレをチラッと見ると、ワザとらしく視線を外す。
グッとくるって、何?
オレの体に興味があるって事?
急に胸がドキドキしてくる。
訳が分からないよ……。
オレが困惑した気持ちになっていると、リュウジは、オホンと咳払いをした。
「ほら、少し沖に行くぞ!」
「おっ、おう……」
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