時計塔には秘密が眠っている~Rewrite

無名小女

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NO.5

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ついにテストの日がやってきた。
出題範囲は1年間で習ったこと全て。

3週間、自分なりに一生懸命勉強してきた。
80点を超えるといいんだが、正直自信ない。

テスト寸前まで必死に教科書を見ている俺に、さっきからジレットがなんか冗談を言っているがうまく笑えない。段々彼の声すら遠のいて自分の心音しか聞こえなくなっていった。こんなこと……今までのテストにはなかった。

「席についてくださいねー」

教師が教室に入ってきた。

「じゃあまた後でな、リック。……お前がせっかくやる気出したんだ。成果見せてくれよ」

先程まで隣で色々と騒いでいたと思われしジレットが突然真顔になってそう言った。あいつ、俺が勉強し始めた時は散々茶化して笑ってきたのに……そういえば勉強会を断った後も何も言ってこなかった。事情を根掘り葉掘り聞くこともなく、嫌味も文句も、何も。

「……ああ、任せろ」

いつの間にか静かに俺の勉強を応援してくれていたんだ。これは彼なりの激励なのだ。

メリーといいジレットとといい、彼らは俺に新しい何かを感じさせてくれる。

「問題を配布します」

緊張が高まる。俺はそれをごまかすかのように時計をじっと見た。

最近、時計を見るとメリーのことを思い出すようになった。時計塔に暮らしてると思われる謎の少女であり、前は復讐しか頭に無い復讐の鬼だった俺に、新たな感情を植えつけた少女。……彼女とのやりとりを思い出すと緊張よりも安心が勝ったのか心が穏やかになっていった。

「はじめ!」

教師の声に従いテストが始まった。四方八方から万年筆が思い思いに文字を記す音がする。俺もその中に入るかのようにすらりと答えを書きだした。

わかる。理解出来てる。
今までのテストでは無かった感覚。
そしてこの知恵も復讐に必要と言ったメリーの意味もわかった。

薬剤の調合をする前に必要な知識。
魔力の効率的な使い方。
実技で覚えるだけでは駄目だってようやく理解できた。

これもメリーのおかげだ。
そう思うと顔が綻ぶ。

早くメリーに会いたい。
会ってテストの話をしたい。

俺はテストを解き続ける。
いい結果だといいな。そしたらメリーに褒めてもらえるかもしれない。

俺はそんな調子でテストを解き終えた。
結果はどうかわからない。
――ただ、手応えは十分。



午前中のテストを終え昼食を摂ろうという時に、俺はいつものメンバーとテストの答えあわせをしていた。

「やばい……俺、リックに負けるかもしれない……」

ジレットは端から見てもはっきりと分かるくらい真っ青な顔をしていた。

「大丈夫よジレット、私もだわ。どうしよう……」

ミーシャも落ち込んだ様子を見せていた。声に覇気がない。

「まあまあ、大丈夫だよ2人共。リック君は今回勉強たくさんやってたから点数高いと思うし、2人の答えがまだ間違いって決まったわけじゃないわ」

ずーん……というどこか抜けた擬態語が似合う空気の中、リエルは彼らを懸命に励ましていた。

リエルはいつも相当頭が良くて、実技は俺に劣るものの筆記テストはかなりの好成績だった。そんな彼女が俺の方を向くと頑張ったね、と小声で言った。なんか照れくさかった。リエルもそうだったのか顔を赤らめていた。

「もーいい!  お前らなんか知らん!  テストは午後のやつで挽回する!」

ジレットはテストの点が悪い予感がするのか好物の学食のカレーをやけ食いしていた。



午後のテストも順調に終わり、俺は時計塔に向かう準備をしていた。

「おーい、リックー」
「ん?  何だ?」

俺は呼びかける声に振り向きもせずに返事をした。

「やっとテストも終わったことだしパーっと遊ぼうぜ!  お前だって勉強してたんだからさ、きっと格別なはずだ」

ああ、そうか。いつもの遊びの誘いだ。……そう言えばテストが終わる度に毎度4人で遊びに出かけていたな。寮の門限を過ぎかけて焦ったこともあったっけ。

「ごめん。今日は止めておく」

俺は何故か断っていた。

「え!?  まじかよ、りょーかい」

ジレットが目を大きく見開いてから困惑したような表情を浮かべた。

「いつものとこで遊んでるから、気が変わったら来いよ!」

それだけ言って彼は走り去っていった。なんで断ったのかはよくわからない。でも時計塔に行きたい気持ちが自分の中で強くなっていた。


それは復讐のためなのか、違うのか。
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