日本に帰化した異世界の大賢者と異世界を救った帰還者は、今日も人をダメにするソファでガールズトークする。

あめの みかな

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本編(2025)

第16回「世界情勢と庶民の憂鬱」

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ミカナ「ねーピノア、最近ニュース見てる?」

ピノア「うん、一応ね。でもさ、見るたびに思うんだけど、この世界って大丈夫なの? なんかこっちでも『大厄災』が起きそうなんだけど……」

ミカナ「いやいや、全然大丈夫じゃないよ? 戦争、経済危機、環境問題、政治のゴタゴタ……どこ見ても火の車だし、大厄災の一歩手前だよ……」

ピノア「ほんとそれなー。しかもさ、どの国も自分たちのことで精一杯ですって感じで、他の国を助ける余裕なさそう……」

ミカナ「うんうん。トランポリンが思ってた以上にやばいし……今ごろになって日米安保が不平等条約だって言い出したりとか。関税とか、あれなんなんだろね。さすがバック・トゥ・ザ・フューチャーのビフのモデルになった人なだけあるよ……」

ピノア「トランポリンの右腕はイートイン・マスカットだしね……映画のアイアンマンのモデルらしいけど……トニーは傲慢だったけど、ピーターを可愛がったり自分の後継者にしようとしてたりとか、マジでいい男だったのに、あの人は……」

ミカナ「てかさー、なんで世界一の国の大統領があんなに余裕ないんよ……」

ピノア「わたしとステラのお父さん(=ブライ・アジ・ダハーカ)が、異世界とこっちの世界を出入りしてて、一瞬だけあの国の大統領になったことあったじゃん? あれがよくなかったのかも……」

ミカナ「ピノアのお父さんのことは……わたし、力に目覚めたばっかのときにバラバラのグッチャグチャに吹っ飛ばしちゃったから、あんまり悪くは言えないんだけど……」

ピノア「いいよいいよ、別に。闇落ちしたとはいえ、お父さんのせいで異世界もこっちの世界もメチャクチャになったからね。ミカナにやられた後もすぐ復活したしさ。気にしなくていいよ?」

ミカナ「でも、やっぱりトランポリンが悪いよ。あの人がメチャクチャやり始めたから。デラスケベスキーじゃなくてプーチャンの方についたときとか、マジかってなったもん。おかげで核兵器持ってる国は他国を侵略してもよくて、持ってない国は黙ってやられろみたいな? そんな世界になっちゃったし、もうお手上げだよ……日本はもう戦後じゃなくて、今は戦前だって言われ始めてるし」

ピノア「異世界だったら勇者が出てきて『この世界を救います!』とか言うのに、現実は誰も助けてくれないんだよねぇ……」

ミカナ「一応異世界も現実にあるし、現実なんだけどね。てか、なんでわたしが異世界人の前で異世界のフォローを……まあ、こっちじゃ勇者が出てくる前に予算と政治の壁にぶち当たるんだろうなぁ……」

ピノア「魔王より役所の方が強敵ってどうなんだろうね……」

ミカナ「世界情勢が悪化しててもさ、庶民ができることって限られてるじゃん? ぶっちゃけ『平和に暮らしたい』くらいの願いしか持てなくない?」

ピノア「んだんだ。それなのに、国の偉い人たちが、よその国の偉い人とケンカしたり、経済制裁合戦したりするせいで、こっちはスーパーで『また値上がりしてやがる……』って絶望するしかないんだよ。特にPS5とか高過ぎ。なんだあれ。サトシがわたしに甘々じゃなかったら絶対買ってもらえんかったよ。Switch 2も引くくらいの値段ついてたし。Wii U とか 3DS の当時の定価調べたんだけどさ、今のゲーム機はあの頃の2倍になってるって知ってドン引きした」

ミカナ「Switch 2、5万くらいだっけ? 高いよね。PS5よりはマシだけど。結局、一番割を食うのは庶民なんだよね……」

ピノア「ねぇ、わたし、もう異世界転生していい?」

ミカナ「え? 異世界から来たのに?」

ピノア「わたしが生まれたのとはもちろん別の世界だよ? どっちかっていうと、この世界寄りな感じかな。JSからJKまで、みんなスク水が制服になってる世界とかー、合法ロリな子限定で大人だけど女児服着てる女の子がたくさんいるような世界とかー」

ミカナ「そんな世界があってたまるか」

ピノア「いや、マルチバースのどっかにはきっと……」

ミカナ「ないよ?」

ピノア「あるもん! 絶対あるもん!」

ミカナ「急に子どもになるなよ……かわいいな、おい」

ピノア「まぁ、別に異世界ならどこでもいいんだけどね。こんな不安定な世界より、剣と魔法の世界でスローライフとかしてみたい……」

ミカナ「スローライフはもうしてるけどね。不安定な世界の主にこの部屋で。でもさ、異世界でも戦争はあるよね? 特に貴族とか王族が勝手に戦争始めて庶民が苦しむパターン多くない?」

ピノア「あー…そういえばそうだね。結局、どこへ行っても庶民はつらいのか……」

ミカナ「そうだねぇ……異世界でもこの世界でも、結局『上の人たちが決めたことで下の人が苦労する』って構図は変わらないんだよ」

ピノア「え、じゃあ異世界転生のメリットって…?」

ミカナ「美少女エルフとか、ケモミミ少女とかに囲まれることとか……?」

ピノア「あ、それはちょっと羨ましい……エルフとかいなかったからなー、わたしの世界……」

ミカナ「耳が尖ってないだけで、ピノアはだいぶエルフっぽいけどね。わたしはピノアにフリーレン味をときどき……あ、ごめん、感じたことなかったわ」

ピノア「美少女で天才魔法使い、あと不老長寿っていう共通点があるんだが!? でも、そっかー。異世界転生しても結局一緒かぁ」

ミカナ「転生しても、転生前のこの世界の物価高や不安定な国際情勢を忘れられるかって言うと、無理じゃない?」

ピノア「ん? 転生したらすぐ忘れるよ? どうせ二度と帰ってこれないだろうし。思い出しても時間の無駄じゃん」

ミカナ「なんで? ピノアって、わたしの目の前でトラックに轢かれて死ぬんだよね?」

ピノア「えっ? やっぱりトラックに轢かれんの?」

ミカナ「そうだよ。しかも運転手がかなりおじいちゃんだから、轢いたことに気づかずに、そのまま5キロ10キロ引きずり回されるんだよ?」

ピノア「ヒィッ!!」

ミカナ「そっか……わたしを残して死んじゃうのに、転生したらわたしのことなんてどうでもよくなるんだね……」

ピノア「むしろ、さっさと忘れるわ!! ミカナを思い出す度にトラックに引きずり回されたこと思い出すだろ!!」

ミカナ「まぁ、結局、わたしたちはさ、この人をダメにするソファに沈みながら、世界の混乱を傍観するしかないんだよ……」

ピノア「せめて、昔の女神転生くらいハードモードなこの世界を生き抜ける『チート能力』とか欲しいんだけど」

ミカナ「異世界の大賢者って時点で、めちゃくちゃチートだよね?」

ピノア「いやいや、この世界でいう一番のチートって、結局はお金じゃん? フィジカルとかギフトも大事だけど、生まれながらにお金持ってる人が好き放題やってる……あー、異世界じゃなくて、資産家に転生したい…」

ミカナ「それ、みんな思ってるやつな?」


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