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第5話
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今日も学校から帰った妹をぼくは部屋に招き入れた。
妹は相変わらず元気がなく、昨夜のようにすべてを見透かしたような笑顔もしてはいなかった。
「どうかしたの?」
「なんでもないよ」
作り笑顔ではぐらかされた。
妹の写真がすべて、携帯からもアルバムからも紛失していることを妹は知っているだろうか。
聞けなかった。
昨夜も夢を見なかった。
たてこもり犯の佐野がぼくと同じなら、ぼくも何かをなくしているのだろうか。
部屋は散らかって足の踏み場もなく、何がなくなってしまったのか確認することさえできない。
ぼくと妹は爪先立ちで移動した。
「なんかすごい部屋になってきたね。自販機は便利だけど」
妹は財布から小銭を出してポカリスウェットを買った。喉がかわいていたのか、ペットボトルの半分を一気に飲んだ。
夏服のセーラーが濡れている。
雨が降っていたのか、と、ぼくは言った。
「朝からだよ」
朝かららしい。
妹はため息をついた。体をぶるぶるっと震わせて両手で半袖から伸びた両腕を抱き締める。
「寒い……」
「風邪ひくよ。着替えてきなよ」
いつのまにか衣替えの季節になっていたのだ。どうりで蒸し暑いはずだ。梅雨入りはもうしたのだろうか。たてこもりはまだ続いている。
「いいの」
妹は言った。
「麻衣が風邪をひいたらお兄ちゃん看病してくれるでしょ?」
いつもの妹だ。
「電話ボックスはいらないなぁ。これもいらない。あれもいらないね。マネキンなんか特にいらない」
文句を言いながらぼくのベッドに腰かける。シーツが濡れた。
「捨てたらいいのに」
「捨てられないんだ。捨てても戻ってくる」
「……机の引き出しの中のもそう?」
シーツの染みが次第に大きくなる。
「拳銃が入ってるよね」
今日も雨が降っている。
今からこんな様子じゃ梅雨が思いやられる。
「今日も刑事さんが外にいたよ」
帰ってきた妹にそう告げられ、ぼくは窓の下を見た。
例の二人組がぼくの部屋をじっと見ていた。さしずめぼくは行方不明事件の次の被害者候補であり、容疑者、といったところなのだろう。
刑事は傘もさしていなかった。
「中に入ってもらう?」
妹が言った。
「いいよ。雨に濡れるのが仕事なんだよ」
ぼくはカーテンを閉めた。
――四ヶ月前に、お父さん、なくなってますね?
なんでも階段から転げ落ちたとか。
お母さんのことも妹さんから聞きました。行方がわからないそうですね。
男の人といっしょにいるからだいじょうぶ、という話だそうですが。
お母さんは後妻で妹さんは連れ子なんでしょう?
ご近所の方から聞きました。
あなた、新しいお母さんとうまくいってなかったそうですね。
妹よりも白い、というよりは青白い腕で、濡れた妹を抱き締めながらぼくは刑事の言葉を思い出していた。
「実は私どもはあなたを疑っているんですよ」
「ねぇ宿題、手伝って」
妹はそう言ってぼくにプリントを差し出す。
日本史のプリントだ。
ぼくはそれを受けとり机の上に広げた。
「いい夢を見る方法?」
妹は雑誌から顔を上げず、ぼくの質問を反復した。
拳銃の出現以来、ぼくを悩ませる一連の妙な出来事は、どうやら夢に関係しているらしい。
そして佐野というたてこもり犯の独白によれば、夢を見なければ大切なものをひとつずつ失うというのだ。
ありえない話だけれど、現実に起きている。
父の死や母の失踪は関係ないだろうけれど、部屋にはがらくたがあふれ、同級生は行方不明になった。妹の写真も消えた。
わかっていることはほとんどないに等しいけれど、今はただ夢を見よう。
夢を見続ければがらくたは増えるけれど何も失わずにすむ。
ぼくはそう考えていた。
妹が見ていたのはローティーン向けのファッション雑誌だった。
ラブ&ベリーの小学生みたいな格好をしてるくせに、とぼくは思う。
中学三年になる妹は、背が小さく幼児体型で童顔で、いまだに小学生に間違われる。
身長はたぶん150センチないだろう。
ぼくも背が低く163センチしかないのだけれど。
「今幸せな人は不幸な夢を見るって聞いたことがあるよ。逆に不幸な人は幸せな夢を見るんだって」
ページをめくりながらそう言った。
「お兄ちゃん、今幸せでしょ? だから不幸な夢しか見ないんじゃない?」
いじわるそうに笑った。
「あとは――枕の下に好きな人の写真を置いて寝ると、その人の夢が見れるんだって聞いたことあるかも。好きな子がいるなら試してみたら?」
「好きな子なんて、いないよ」
「うそつき。こないだ行方不明になった子は何よ」
「あれは、昔の話だよ」
なんだか浮気の言い訳をしているような気分だった。
「この子でいいんじゃない? パソコン使ったら写真くらいすぐに手に入るんだし」
雑誌には妹と同じくらいの年頃のココという名前のモデルが載っていた。
西洋の人形のような、フリルがたくさんついた洋服を着ていた。
「何、この服」
「ロリータじゃないの。よく知らないけど」
「こういうの着てみたいと思ったりする?」
「全然」
モデルが着ている服の値段に、ぼくは絶句した。
「なんでこんなに高いんだ、これ」
軽く十万を越えていた。
「あーもう、そんなこと麻衣になんか聞かずにパソコンで調べたらいいのに」
妹は不機嫌だった。
バスルームで自動湯はりが終了したことを告げるアラーム音が鳴った。
「お風呂沸いたみたい。服脱ぐからあっちいって」
妹は言い終えるより先にセーラーをベッドに脱ぎ捨てた。
「ここ、ぼくの部屋なんだけど」
「うるさい」
ぼくは妹の裸を見ないように布団を被った。
妹が部屋を出て行った後で、ぼくは布団からもぞもぞと顔を出した。
セーラー服が脱ぎ捨てられている。本当にここで脱いでいったのだ。
机の上に開かれたままの雑誌に手を伸ばす。
ロリ服、か。
ぼくは起き上がり、クローゼットを開いた。
中に入ってるロリ服は、先ほどぼくが値段に絶句したものと同じに見える。
エミリーテンプルキュート、というブランドのものだと雑誌を見てわかったが、クローゼットの中のそれはブランド名がわからないようにモザイクがかかっており、相変わらず写真から切り抜いたような違和感があった。
「どうしたものかな」
カントリーマアムを食べながら妹が札束を数えている。妹が数えているのは福沢諭吉だ。
ぼくは五千円札と夏目漱石、それから紫式部を担当した。五千円札の男はいつも名前がわからない。
十枚数えたら十枚目で九枚を挟み、十万の束をひとつ作る。そのたびに妹はカントリーマアムをひとつ食べた。
ぼくが袋に手を伸ばすと叩かれてしまった。
カントリーマアムはあっという間になくなり、結局ぼくは妹の食べかけをひとつもらっただけだった。
「太るよ」
「カントリーマアムで太るなら本望だもん」
一束十万の札束が109束。
それ以外の札束が815万円分。
1824万円あった。
「で、これ、一体どうしたの?」
数え終えた妹が不審そうにそう聞いて、はっと気付いたようにテレビをつけた。
リモコンが見当たらず、テレビ本体でチャンネルを変える。
首相年金問題の争点化けん制、男性患者が女性看護師を刺す、高1の3人が山陽道の車に投石、練習試合で俊輔60分間プレー、カブスのバッテリーが殴り合い、松本監督あいさつ照れっぱなし、「20歳イヤ」長澤まさみ泣く、そんなニュースが紹介されていた。
「銀行強盗とかじゃないから」
そう言ったけれど妹はぼくの机の引き出しに手を伸ばした。
そこには新聞紙にくるまれた拳銃が入っている。弾は六発。リボルバーからは取り出してある。
そういえばリモコンを一週間程見ていないということにぼくは気付いた。携帯電話も最後に見たのはいつだったろう。
汚い部屋だ。
「じゃ何よ、このお金」
新聞紙にくるまった弾の入っていない拳銃を握り、
「それにこの拳銃は何よ」
銃口をぼくに向けた。
ぼくは部屋の至るところにあるガラクタを指差す。
「これとかあれとかそれとおんなじだよ。朝起きたらあったんだ」
ペコちゃんが頭の足りなそうな顔でぼくを見ていた。ロリ服を着たマネキンが居心地悪そうにしている。蛙のマスコットはさっき妹がつまづいて首がとれてそのままだ。
「なんでマネ子がエミキュ着てるの?」
エミリーテンプルキュートの略らしい。
「その服も昨日朝起きたらあったんだよ」
妹はまたため息をついた。
「また夢遊病?」
夢から持ち帰ってきたんだ、と言おうとしたけどやめておいた。
「わかんない」
妹の助言の通り、ぼくは昨夜いい夢を見る方法を試してみた。
枕の下に好きな子の写真を敷いて眠るとその子の夢を見れる、というやつだ。
好きな子の写真の代わりに、ぼくは別の写真を枕の下に敷くことにした。
古いテレビ情報誌の見開きの広告ページを開く。
持ってるだけでお金がざっくざっく入ってくるという、龍の刺繍の入った金の財布。六万円。
「持ってるだけでお金が入ってくるなんてそんなうまい話があるわけがないと思ってたんです」
どうせやらせなんだろうけれど、いかにも成金といった感じの家族が札束風呂に入って悦に入っている、人はここまで醜くなれるという見本のような写真だった。
そしてぼくは夢を見た。
目が覚めたら1824万もの大金を手にしていたというわけだ。
説明するのも何だか馬鹿馬鹿しい。
「使えるのかな、このお金」
中心にちゃんと透かしは入っている。
本物と見比べてみても印刷の具合や大きさが違うということもない。
部屋の自販機では使えたから、偽札ではないのだろうけれど、そもそもこの自販機からして怪しいのだからあてにならない。
紙幣番号にモザイクがかかってるのが厄介だ。
相変わらず切って張り付けたような違和感もある。
「何かほしいものある?」
ぼくは妹にそう言った。
妹は相変わらず元気がなく、昨夜のようにすべてを見透かしたような笑顔もしてはいなかった。
「どうかしたの?」
「なんでもないよ」
作り笑顔ではぐらかされた。
妹の写真がすべて、携帯からもアルバムからも紛失していることを妹は知っているだろうか。
聞けなかった。
昨夜も夢を見なかった。
たてこもり犯の佐野がぼくと同じなら、ぼくも何かをなくしているのだろうか。
部屋は散らかって足の踏み場もなく、何がなくなってしまったのか確認することさえできない。
ぼくと妹は爪先立ちで移動した。
「なんかすごい部屋になってきたね。自販機は便利だけど」
妹は財布から小銭を出してポカリスウェットを買った。喉がかわいていたのか、ペットボトルの半分を一気に飲んだ。
夏服のセーラーが濡れている。
雨が降っていたのか、と、ぼくは言った。
「朝からだよ」
朝かららしい。
妹はため息をついた。体をぶるぶるっと震わせて両手で半袖から伸びた両腕を抱き締める。
「寒い……」
「風邪ひくよ。着替えてきなよ」
いつのまにか衣替えの季節になっていたのだ。どうりで蒸し暑いはずだ。梅雨入りはもうしたのだろうか。たてこもりはまだ続いている。
「いいの」
妹は言った。
「麻衣が風邪をひいたらお兄ちゃん看病してくれるでしょ?」
いつもの妹だ。
「電話ボックスはいらないなぁ。これもいらない。あれもいらないね。マネキンなんか特にいらない」
文句を言いながらぼくのベッドに腰かける。シーツが濡れた。
「捨てたらいいのに」
「捨てられないんだ。捨てても戻ってくる」
「……机の引き出しの中のもそう?」
シーツの染みが次第に大きくなる。
「拳銃が入ってるよね」
今日も雨が降っている。
今からこんな様子じゃ梅雨が思いやられる。
「今日も刑事さんが外にいたよ」
帰ってきた妹にそう告げられ、ぼくは窓の下を見た。
例の二人組がぼくの部屋をじっと見ていた。さしずめぼくは行方不明事件の次の被害者候補であり、容疑者、といったところなのだろう。
刑事は傘もさしていなかった。
「中に入ってもらう?」
妹が言った。
「いいよ。雨に濡れるのが仕事なんだよ」
ぼくはカーテンを閉めた。
――四ヶ月前に、お父さん、なくなってますね?
なんでも階段から転げ落ちたとか。
お母さんのことも妹さんから聞きました。行方がわからないそうですね。
男の人といっしょにいるからだいじょうぶ、という話だそうですが。
お母さんは後妻で妹さんは連れ子なんでしょう?
ご近所の方から聞きました。
あなた、新しいお母さんとうまくいってなかったそうですね。
妹よりも白い、というよりは青白い腕で、濡れた妹を抱き締めながらぼくは刑事の言葉を思い出していた。
「実は私どもはあなたを疑っているんですよ」
「ねぇ宿題、手伝って」
妹はそう言ってぼくにプリントを差し出す。
日本史のプリントだ。
ぼくはそれを受けとり机の上に広げた。
「いい夢を見る方法?」
妹は雑誌から顔を上げず、ぼくの質問を反復した。
拳銃の出現以来、ぼくを悩ませる一連の妙な出来事は、どうやら夢に関係しているらしい。
そして佐野というたてこもり犯の独白によれば、夢を見なければ大切なものをひとつずつ失うというのだ。
ありえない話だけれど、現実に起きている。
父の死や母の失踪は関係ないだろうけれど、部屋にはがらくたがあふれ、同級生は行方不明になった。妹の写真も消えた。
わかっていることはほとんどないに等しいけれど、今はただ夢を見よう。
夢を見続ければがらくたは増えるけれど何も失わずにすむ。
ぼくはそう考えていた。
妹が見ていたのはローティーン向けのファッション雑誌だった。
ラブ&ベリーの小学生みたいな格好をしてるくせに、とぼくは思う。
中学三年になる妹は、背が小さく幼児体型で童顔で、いまだに小学生に間違われる。
身長はたぶん150センチないだろう。
ぼくも背が低く163センチしかないのだけれど。
「今幸せな人は不幸な夢を見るって聞いたことがあるよ。逆に不幸な人は幸せな夢を見るんだって」
ページをめくりながらそう言った。
「お兄ちゃん、今幸せでしょ? だから不幸な夢しか見ないんじゃない?」
いじわるそうに笑った。
「あとは――枕の下に好きな人の写真を置いて寝ると、その人の夢が見れるんだって聞いたことあるかも。好きな子がいるなら試してみたら?」
「好きな子なんて、いないよ」
「うそつき。こないだ行方不明になった子は何よ」
「あれは、昔の話だよ」
なんだか浮気の言い訳をしているような気分だった。
「この子でいいんじゃない? パソコン使ったら写真くらいすぐに手に入るんだし」
雑誌には妹と同じくらいの年頃のココという名前のモデルが載っていた。
西洋の人形のような、フリルがたくさんついた洋服を着ていた。
「何、この服」
「ロリータじゃないの。よく知らないけど」
「こういうの着てみたいと思ったりする?」
「全然」
モデルが着ている服の値段に、ぼくは絶句した。
「なんでこんなに高いんだ、これ」
軽く十万を越えていた。
「あーもう、そんなこと麻衣になんか聞かずにパソコンで調べたらいいのに」
妹は不機嫌だった。
バスルームで自動湯はりが終了したことを告げるアラーム音が鳴った。
「お風呂沸いたみたい。服脱ぐからあっちいって」
妹は言い終えるより先にセーラーをベッドに脱ぎ捨てた。
「ここ、ぼくの部屋なんだけど」
「うるさい」
ぼくは妹の裸を見ないように布団を被った。
妹が部屋を出て行った後で、ぼくは布団からもぞもぞと顔を出した。
セーラー服が脱ぎ捨てられている。本当にここで脱いでいったのだ。
机の上に開かれたままの雑誌に手を伸ばす。
ロリ服、か。
ぼくは起き上がり、クローゼットを開いた。
中に入ってるロリ服は、先ほどぼくが値段に絶句したものと同じに見える。
エミリーテンプルキュート、というブランドのものだと雑誌を見てわかったが、クローゼットの中のそれはブランド名がわからないようにモザイクがかかっており、相変わらず写真から切り抜いたような違和感があった。
「どうしたものかな」
カントリーマアムを食べながら妹が札束を数えている。妹が数えているのは福沢諭吉だ。
ぼくは五千円札と夏目漱石、それから紫式部を担当した。五千円札の男はいつも名前がわからない。
十枚数えたら十枚目で九枚を挟み、十万の束をひとつ作る。そのたびに妹はカントリーマアムをひとつ食べた。
ぼくが袋に手を伸ばすと叩かれてしまった。
カントリーマアムはあっという間になくなり、結局ぼくは妹の食べかけをひとつもらっただけだった。
「太るよ」
「カントリーマアムで太るなら本望だもん」
一束十万の札束が109束。
それ以外の札束が815万円分。
1824万円あった。
「で、これ、一体どうしたの?」
数え終えた妹が不審そうにそう聞いて、はっと気付いたようにテレビをつけた。
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「銀行強盗とかじゃないから」
そう言ったけれど妹はぼくの机の引き出しに手を伸ばした。
そこには新聞紙にくるまれた拳銃が入っている。弾は六発。リボルバーからは取り出してある。
そういえばリモコンを一週間程見ていないということにぼくは気付いた。携帯電話も最後に見たのはいつだったろう。
汚い部屋だ。
「じゃ何よ、このお金」
新聞紙にくるまった弾の入っていない拳銃を握り、
「それにこの拳銃は何よ」
銃口をぼくに向けた。
ぼくは部屋の至るところにあるガラクタを指差す。
「これとかあれとかそれとおんなじだよ。朝起きたらあったんだ」
ペコちゃんが頭の足りなそうな顔でぼくを見ていた。ロリ服を着たマネキンが居心地悪そうにしている。蛙のマスコットはさっき妹がつまづいて首がとれてそのままだ。
「なんでマネ子がエミキュ着てるの?」
エミリーテンプルキュートの略らしい。
「その服も昨日朝起きたらあったんだよ」
妹はまたため息をついた。
「また夢遊病?」
夢から持ち帰ってきたんだ、と言おうとしたけどやめておいた。
「わかんない」
妹の助言の通り、ぼくは昨夜いい夢を見る方法を試してみた。
枕の下に好きな子の写真を敷いて眠るとその子の夢を見れる、というやつだ。
好きな子の写真の代わりに、ぼくは別の写真を枕の下に敷くことにした。
古いテレビ情報誌の見開きの広告ページを開く。
持ってるだけでお金がざっくざっく入ってくるという、龍の刺繍の入った金の財布。六万円。
「持ってるだけでお金が入ってくるなんてそんなうまい話があるわけがないと思ってたんです」
どうせやらせなんだろうけれど、いかにも成金といった感じの家族が札束風呂に入って悦に入っている、人はここまで醜くなれるという見本のような写真だった。
そしてぼくは夢を見た。
目が覚めたら1824万もの大金を手にしていたというわけだ。
説明するのも何だか馬鹿馬鹿しい。
「使えるのかな、このお金」
中心にちゃんと透かしは入っている。
本物と見比べてみても印刷の具合や大きさが違うということもない。
部屋の自販機では使えたから、偽札ではないのだろうけれど、そもそもこの自販機からして怪しいのだからあてにならない。
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