空想お仕事シリーズ・ボーイズサイド「僕は今日も人の死を笑いに行く」「死神のタナトーシス」「赤ワインとチーズとブロッコリーのトリアージュ」他

あめの みかな

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「導かれなかった者たちへ」#15

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確かに彼女の言う通り、その炎色反応は爆発というよりは打ち上げ花火のようだった。
人を打ち上げ花火にするギフトだとでも言うのだろうか。
御手洗さんの雷を起こすギフトといい、僕のギフトと比べると殺傷能力が違い過ぎやしないだろうか。僕のギフトはランダム性が高すぎる上、失うものがあまりに多すぎる。
能力を断定するには情報が少なすぎたが、先ほどの男子生徒が参加者ということはほぼ間違いないと言っていいだろう。

それはまるで、ゲーム開始を告げる狼煙のようだった。

だが、狼煙はそれだけでは終わらなかった。
今度は教室のスピーカーから校内放送が流れ始めた。

ーー今、体育教師をひとり、見せしめに打ち上げ花火にした。ゲームの参加者は、2年5組の大和省吾(やまと しょうご)まで例の本を提出しろ。一冊も提出がない場合、一時間にひとりずつ、全校生徒からランダムに選んだ人間を打ち上げ花火にする。繰り返す。今、体育教師をひとり、見せしめに打ち上げ花火にした。ゲームの参加者は、2年5組の大和省吾まで例の本を提出しろ。一冊も提出がない場合、一時間にひとりずつ、全校生徒からランダムに選んだ人間を打ち上げ花火にする。尚、教室内でも花火を打ち上げることは可能だ。その場合、クラスメイトが爆発に巻き込れることになる。その際の責任は、すべて本を提出しなかった参加者にあり、当方に非は一切ないものとする。


「今の花火みたいの、ギフトだろ?」
「水谷先生、死んじゃったの?」
「ゲームとか、参加者って何だよ? 一体何が起きてるんだよ?」
「さっき先生を殺した人が、校内放送したの? 大和省吾って人なの?」
「放送室ってどこにあるんだっけ?」
「職員室の近く?」
「例の本を持ってこいって何? 何の本を持っていけばいいの?」
「本は何かの隠語かも。よくわからないけど、ゲーム? の参加者にしかわからないようになってるとか」
「一冊も提出がない場合って言ってたよね? それって何冊もあるってことだよね?」
「一時間にひとりずつ、水谷みたいになるんだろ? やばくねえか?」
「教室の中で爆発させてクラスメイトを巻き込むとか、やばすぎるでしょ」
「おい、お前らの中にひとりくらい参加者はいねーのかよ! 説明しろよ、何が起きてるんだよッ!!」

打ち上げ花火のように殺された体育教師と1分ほどの豪快なまでの責任転嫁の校内放送、たったこのふたつで、教室内は騒然となり、カオスとしか言い様のない光景になっていた。
この高校は各学年6クラスずつある。3学年18クラスで同じことが起きているだろう。

正直な話、やられた、と思った。
自分の力を見せつけ、参加者を炙り出すだけではなく、本を持ってこさせるなんてことは、僕には到底思い付かないことだった。
あれくらい派手で殺傷能力が高いギフトを持っていて、尚且つ自分の力に相当自信がある者にしか出来ない発想と芸当だった。

「御手洗さんて人が言ってたよね。過去に他の参加者をひとりも殺さずに8冊の本を集めた人がいるって」

紫帆が僕に言った。
僕はその加藤学とかいう名前のOBは、本の場所を探知できるギフトか何かを持っていたんだろうと思っていた。
ドラゴンレーダーや、ドラクエの呪文にあるレミラーマのようなギフトだと。小さなメダルを集めるときは、あの呪文が必要不可欠だ。そういえば、ドラクエには石板レーダーなんてものもあった。

「そんなこと、どうやったら出来るんだろうって思ってたけど、その人は参加者を殺さなかっただけで、さっきみたいに参加者以外の人を何人か見せしめに殺してたかもしれないね」

紫帆の予想が当たっているのかはわからないが、十分ありえる話だった。

「それに放送の声の主が、さっきの男子生徒や、大和省吾という人と同一人物かどうかはわからないよ」


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