82 / 123
第9章 第5話
しおりを挟む
2026年10月31日に起きたのは、巨大地震と大津波による日本列島の分断や水没だけではなかった。
ヤルダバの首都アルコンに存在した、翡翠色の巨大な建造物を台風の目とする超巨大台風が移動し始めたのだ。
移動したのは台風だけでなく、翡翠色の巨大な建造物は常に台風の目の中にあり、台風と共に移動していた。
「新生アリステラは、アリステラの『城塞戦車キャッスルチャリオット』をまがい物のエーテルで再現していたのですね」
タカミのパソコンのモニターに映るその映像を見たレインはそう言い、
「アリステラが元々存在した世界で、2つの大陸を蹂躙した、戦車のように移動可能なアリステラの城ですわ」
何が起きているのかわからず、ぽかんとしているタカミとショウゴに、10万年前の女王の記憶を引き出してタカミたちに説明した。
アリステラが存在したのは実際には異世界などではなく、地球から56億7000万光年離れた銀河にあるひとつの惑星だったという。
その軍事力に絶大な自信を持っていたアリステラは、他国へ侵略する際、常にその国の軍事拠点や首都、主要都市すべての制圧が成功することを前提に考えていたそうだ。
制圧後に他国のそれらを利用して新たに部隊の補給などが可能な拠点を作り、さらなる侵略の準備を整えるわけではなく、それらすべてを完膚なきまでに叩き潰すことで一切の抵抗もできなくするようにする。
そして、アリステラの首都機能そのものを常に最前線に移動させ、周辺諸国に防衛のための時間を与えることなく、さらなる侵略をすぐにでも開始できるように作られたのが、この「城塞戦車」だということだった。
日本の戦国時代に例えるなら数万の兵だけでなく、城そのものが移動しながら攻撃してくるだけでなく、兵たちが食糧や水、物資の補給をも行いながら攻めこんでくるようなものというわけだ。
戦車のように移動可能な城を作れたのは、どんな金属よりも硬く軽い結晶化したエーテルが存在したからであり、それを活かせるだけの技術があったからこそできたことだが、考えることがかの第六天魔王よりも恐ろしかった。一体どちらが野蛮なホモサピエンスなのかもはや怪しかった。
「キャッスルチャリオットが完成しているなら、その操縦や攻撃を補助する『魔導人工頭脳シド』の再現にも成功しているはず……
まさか、『飛翔艇オルフェウス』や『人造人間兵士サタナハマアカ』も……?」
アリステラには城塞戦車による陸からの蹂躙だけでなく、オルフェウスと呼ばれる戦艦級の大きさを誇る飛翔艇が量産され、空からの爆撃による蹂躙も行われていたそうだ。
戦国時代に浮遊する巨大な戦艦がいくつも現れ、空襲を受けたならひとたまりもなかっただろう。太平洋戦争時や現代に起きたアメリカによるアフガニスタンやイラクでの戦争、ロシアによるウクライナ進攻でさえ、戦闘機やドローンによる空襲は恐ろしいものであったのだ。
「俺、新生アリステラは、てっきり天変地異や疫病だけで人類を滅ぼすつもりだと思ってた」
「ぼくもだよ。だけど、どうやら本気を出してきたみたいだな」
新生アリステラの戦略の急な変更には何か理由があるはずだった。
その理由はもしかしたらレインにあるのかもしれなかった。
彼女は今、アリステラの歴代の女王や女王となる資格を持っていた者たちの10万年に渡る知識や記憶、経験を持っている。
それは昨日の夜までの彼女にはなかったものであり、タカミたちは歴代の女王たちが新生アリステラの女王であるアリステラピノアではなく、レインを真の女王に選んだからではないかと考えていた。
だからこそ、新生アリステラは巨大地震と津波により、日本という島国ごと彼女を消そうとしたのではないだろうか。
だが、彼女やタカミたちがいる雨野市だけは、その厄災を免れた。
「追い詰められているのは、ぼくたち人類ではないのかもしれないね。
野蛮なホモサピエンス相手になりふりかまってられないほど、新生アリステラは追い詰められているんだ」
でも、誰に?
タカミたちのそばにいる、たったひとりの女の子に。
ヤルダバの首都アルコンに存在した、翡翠色の巨大な建造物を台風の目とする超巨大台風が移動し始めたのだ。
移動したのは台風だけでなく、翡翠色の巨大な建造物は常に台風の目の中にあり、台風と共に移動していた。
「新生アリステラは、アリステラの『城塞戦車キャッスルチャリオット』をまがい物のエーテルで再現していたのですね」
タカミのパソコンのモニターに映るその映像を見たレインはそう言い、
「アリステラが元々存在した世界で、2つの大陸を蹂躙した、戦車のように移動可能なアリステラの城ですわ」
何が起きているのかわからず、ぽかんとしているタカミとショウゴに、10万年前の女王の記憶を引き出してタカミたちに説明した。
アリステラが存在したのは実際には異世界などではなく、地球から56億7000万光年離れた銀河にあるひとつの惑星だったという。
その軍事力に絶大な自信を持っていたアリステラは、他国へ侵略する際、常にその国の軍事拠点や首都、主要都市すべての制圧が成功することを前提に考えていたそうだ。
制圧後に他国のそれらを利用して新たに部隊の補給などが可能な拠点を作り、さらなる侵略の準備を整えるわけではなく、それらすべてを完膚なきまでに叩き潰すことで一切の抵抗もできなくするようにする。
そして、アリステラの首都機能そのものを常に最前線に移動させ、周辺諸国に防衛のための時間を与えることなく、さらなる侵略をすぐにでも開始できるように作られたのが、この「城塞戦車」だということだった。
日本の戦国時代に例えるなら数万の兵だけでなく、城そのものが移動しながら攻撃してくるだけでなく、兵たちが食糧や水、物資の補給をも行いながら攻めこんでくるようなものというわけだ。
戦車のように移動可能な城を作れたのは、どんな金属よりも硬く軽い結晶化したエーテルが存在したからであり、それを活かせるだけの技術があったからこそできたことだが、考えることがかの第六天魔王よりも恐ろしかった。一体どちらが野蛮なホモサピエンスなのかもはや怪しかった。
「キャッスルチャリオットが完成しているなら、その操縦や攻撃を補助する『魔導人工頭脳シド』の再現にも成功しているはず……
まさか、『飛翔艇オルフェウス』や『人造人間兵士サタナハマアカ』も……?」
アリステラには城塞戦車による陸からの蹂躙だけでなく、オルフェウスと呼ばれる戦艦級の大きさを誇る飛翔艇が量産され、空からの爆撃による蹂躙も行われていたそうだ。
戦国時代に浮遊する巨大な戦艦がいくつも現れ、空襲を受けたならひとたまりもなかっただろう。太平洋戦争時や現代に起きたアメリカによるアフガニスタンやイラクでの戦争、ロシアによるウクライナ進攻でさえ、戦闘機やドローンによる空襲は恐ろしいものであったのだ。
「俺、新生アリステラは、てっきり天変地異や疫病だけで人類を滅ぼすつもりだと思ってた」
「ぼくもだよ。だけど、どうやら本気を出してきたみたいだな」
新生アリステラの戦略の急な変更には何か理由があるはずだった。
その理由はもしかしたらレインにあるのかもしれなかった。
彼女は今、アリステラの歴代の女王や女王となる資格を持っていた者たちの10万年に渡る知識や記憶、経験を持っている。
それは昨日の夜までの彼女にはなかったものであり、タカミたちは歴代の女王たちが新生アリステラの女王であるアリステラピノアではなく、レインを真の女王に選んだからではないかと考えていた。
だからこそ、新生アリステラは巨大地震と津波により、日本という島国ごと彼女を消そうとしたのではないだろうか。
だが、彼女やタカミたちがいる雨野市だけは、その厄災を免れた。
「追い詰められているのは、ぼくたち人類ではないのかもしれないね。
野蛮なホモサピエンス相手になりふりかまってられないほど、新生アリステラは追い詰められているんだ」
でも、誰に?
タカミたちのそばにいる、たったひとりの女の子に。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――
黒鯛の刺身♪
SF
主人公の飯富晴信(16)はしがない高校生。
ある朝目覚めると、そこは見たことのない工場の中だった。
この工場は宇宙船を作るための設備であり、材料さえあれば巨大な宇宙船を造ることもできた。
未知の世界を開拓しながら、主人公は現地の生物達とも交流。
そして時には、戦乱にも巻き込まれ……。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる