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【第五部 異世界転移奇譚 NAYUTA 2 - アトランダム -(RENJI 5)】もしもしっくすないんしてる途中で異世界転移しちゃったら。
第93話
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食事を終えた後、レンジたちは皆で談笑をした。
棗という教師のことや、アカシックレコードのことは明日でいい。
今夜だけでも再会できた喜びを皆で分かち合いたかった。
水をさすようなまねはしたくなかった。
我が娘ながら、黒髪のサクラもかわいかったが翡翠色の髪や瞳をしたサクラもかわいいな、とレンジは思った。
レンジはイミテーションのサクラの存在を知ってはいたが、実物を見ていなかったからだ。
まるで超時空シンデレラみたいだった。星間飛行歌ってくれないかな、キラッ! って。
リサも、なぜ中二病を発病したのかはわからないが、よく見れば眼帯や包帯がとても似合っていた。
小学生のときからおしゃれに気を遣う女の子だったから、眼帯のデザインや包帯の色や巻き方、制服のアレンジにもセンスがあった。
我が妹ながら、本当にかわいい。
父がこの世界に転移したとき、リサは生まれたばかりであったから、レンジにとってリサは、妹であると同時に娘のような存在でもあった。
レンジはこの17年、リサのそばにいることができなかった。
小学6年までのリサと、29歳の大人の女性になったリサしか知らない。
大人になったリサを見たときに、彼女の成長をそばで見られなかったことを非常に残念に思った。
ステラとサクラはもちろん大切だ。
だが同じくらいリサを大切に思っていた。
だからこうして、サクラと同い年のリサを見ることができたことは、幸せ以外の何ものでもなかった。
その夜は、ステラとサクラに断りを入れ、レンジはリサといっしょにサクラの部屋で眠ることにした。
こんな風にいっしょに寝るのはいつぶりだろう。
17年ぶりか。もっとかもしれない。
「リサ、疑ったりしてごめん……」
「信じてくれたみたいだから、いいよ」
何を細かいことを気にしていたのだろう。
こういうときこそ、ワカチコの精神だと、子どもの頃に好きだった芸人がネタでやっていたじゃないか。
「やっぱりさ、高校生の頃のわたし、変かな?
変だから、お兄ちゃん、わたしだって信じてくれなかったんだよね?」
「変っていうか……何て言ったらいいのかな……びっくりした」
「絵に描いたような中二病だって思ってるんでしょ」
「うん……でもさ、ぼく、あっちにいた頃、ラノベばっかり読んでたけど、黒猫とか六花とか小鳩ちゃんとか、好きになる女の子のキャラクターが中二病のキャラが多かったなって思い出したよ。
あと、ラノベじゃないけどヨハネとか」
あぁ、そうか、とレンジは思った。
「リサが中二病だからびっくりしたんじゃないんだ……
かわいい妹が、ぼくのどストライクの、しかも、その中のさらにど真ん中の中二病の女の子になってたからびっくりしたんだ……」
「ラノベやアニメのキャラといっしょにされるのは、あんまりうれしくないけど……まぁいいや。なんか喜んでくれてるみたいだし」
「今さらだけど、そばでリサの成長を見たかったのは、もったいないことしたなって思ってる」
「それ、お父さんもおんなじこと言ってた」
「ごめんね。父さんだけじゃなくて、ぼくまで、リサを置いてきぼりにするようなまねしちゃって」
「ううん……またこうして会えたし……
だから、いい……
わたし、お兄ちゃんが帰ってきてくれたとき、本当に嬉しかったんだ。
ずっと会いたかったから。会えないと思ってたから。
お兄ちゃんがこっちに戻っちゃった後、なんでついていかなかったんだろうって、わたし、この何ヵ月かずっと後悔してた」
リサは、レンジに抱きついてきた。
「お兄ちゃんのそばがいい……
お父さんやお母さんやおじいちゃんやおばあちゃん、ピノアちゃんや千古ちゃんがいても、お兄ちゃんがいないと毎日さびしい……
お兄ちゃんといっしょじゃなきゃ、わたしはこれから先ずっとさびしい……」
「そっか……じゃ、リサもいっしょにこっちで暮らそっか」
「そうする……」
リサは、レンジの胸に顔をうずめて泣いていた。
こんなに必要としてくれていたなんて知らなかった。考えたこともなかった。
レンジが異世界で過ごしたこの17年は、父やピノアが自分の代わりにリサのそばにいてくれたから、自分がいなくても大丈夫だろうと思っていた。
だが、それは間違いだった。
人は誰かの代わりなど出来ないのだ。
棗という教師のことや、アカシックレコードのことは明日でいい。
今夜だけでも再会できた喜びを皆で分かち合いたかった。
水をさすようなまねはしたくなかった。
我が娘ながら、黒髪のサクラもかわいかったが翡翠色の髪や瞳をしたサクラもかわいいな、とレンジは思った。
レンジはイミテーションのサクラの存在を知ってはいたが、実物を見ていなかったからだ。
まるで超時空シンデレラみたいだった。星間飛行歌ってくれないかな、キラッ! って。
リサも、なぜ中二病を発病したのかはわからないが、よく見れば眼帯や包帯がとても似合っていた。
小学生のときからおしゃれに気を遣う女の子だったから、眼帯のデザインや包帯の色や巻き方、制服のアレンジにもセンスがあった。
我が妹ながら、本当にかわいい。
父がこの世界に転移したとき、リサは生まれたばかりであったから、レンジにとってリサは、妹であると同時に娘のような存在でもあった。
レンジはこの17年、リサのそばにいることができなかった。
小学6年までのリサと、29歳の大人の女性になったリサしか知らない。
大人になったリサを見たときに、彼女の成長をそばで見られなかったことを非常に残念に思った。
ステラとサクラはもちろん大切だ。
だが同じくらいリサを大切に思っていた。
だからこうして、サクラと同い年のリサを見ることができたことは、幸せ以外の何ものでもなかった。
その夜は、ステラとサクラに断りを入れ、レンジはリサといっしょにサクラの部屋で眠ることにした。
こんな風にいっしょに寝るのはいつぶりだろう。
17年ぶりか。もっとかもしれない。
「リサ、疑ったりしてごめん……」
「信じてくれたみたいだから、いいよ」
何を細かいことを気にしていたのだろう。
こういうときこそ、ワカチコの精神だと、子どもの頃に好きだった芸人がネタでやっていたじゃないか。
「やっぱりさ、高校生の頃のわたし、変かな?
変だから、お兄ちゃん、わたしだって信じてくれなかったんだよね?」
「変っていうか……何て言ったらいいのかな……びっくりした」
「絵に描いたような中二病だって思ってるんでしょ」
「うん……でもさ、ぼく、あっちにいた頃、ラノベばっかり読んでたけど、黒猫とか六花とか小鳩ちゃんとか、好きになる女の子のキャラクターが中二病のキャラが多かったなって思い出したよ。
あと、ラノベじゃないけどヨハネとか」
あぁ、そうか、とレンジは思った。
「リサが中二病だからびっくりしたんじゃないんだ……
かわいい妹が、ぼくのどストライクの、しかも、その中のさらにど真ん中の中二病の女の子になってたからびっくりしたんだ……」
「ラノベやアニメのキャラといっしょにされるのは、あんまりうれしくないけど……まぁいいや。なんか喜んでくれてるみたいだし」
「今さらだけど、そばでリサの成長を見たかったのは、もったいないことしたなって思ってる」
「それ、お父さんもおんなじこと言ってた」
「ごめんね。父さんだけじゃなくて、ぼくまで、リサを置いてきぼりにするようなまねしちゃって」
「ううん……またこうして会えたし……
だから、いい……
わたし、お兄ちゃんが帰ってきてくれたとき、本当に嬉しかったんだ。
ずっと会いたかったから。会えないと思ってたから。
お兄ちゃんがこっちに戻っちゃった後、なんでついていかなかったんだろうって、わたし、この何ヵ月かずっと後悔してた」
リサは、レンジに抱きついてきた。
「お兄ちゃんのそばがいい……
お父さんやお母さんやおじいちゃんやおばあちゃん、ピノアちゃんや千古ちゃんがいても、お兄ちゃんがいないと毎日さびしい……
お兄ちゃんといっしょじゃなきゃ、わたしはこれから先ずっとさびしい……」
「そっか……じゃ、リサもいっしょにこっちで暮らそっか」
「そうする……」
リサは、レンジの胸に顔をうずめて泣いていた。
こんなに必要としてくれていたなんて知らなかった。考えたこともなかった。
レンジが異世界で過ごしたこの17年は、父やピノアが自分の代わりにリサのそばにいてくれたから、自分がいなくても大丈夫だろうと思っていた。
だが、それは間違いだった。
人は誰かの代わりなど出来ないのだ。
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