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第2章 「ネクストステージ」

謎の女と絵のマネキン

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ドアノブを掴み、
ゆっくりと扉を開ける。

(ガチャッ)

中を確認すると、
真っ直ぐ続く廊下の途中に
一人の女が鬱向けで倒れていた。

「大丈夫ですか!何がありました!?」

必死に声をかける。
しかし、応答は無い。
口元に手を当てると、
まだ息はあるようだった。

「死んではないようだ、、、」

そう分かり安心したものの、
なぜ倒れているのかが分からない。
見たところ怪我をしているわけでは
無さそうだった。

「んー、、、なんでだ、、、
はっ!もしかして!」

「尾択」は女を仰向けにし、
ポケットを確認する。

「やっぱり。薔薇がない。」

薔薇バラがない」それは、
考えられる最も最悪な展開だった。
一応確認するため、
「尾択」は自分の薔薇をちぎる。
すると、

「痛ってぇぇぇぇ!!!」

全身に、腕か何かを引きちぎられた
時のような激痛が走った。
そう。この世界での薔薇は「HP」。
すなわち、「命」でもあるのだ。

そんな大切な薔薇を
この女は持っていなかった。

「まずい、探さないと。」

「尾択」は周りを見ると、
廊下の途中に扉があるのに気づいた。
急いで扉へ向かうと、
扉の前には花弁が何枚か落ちていた。

「まずい!花弁が無くなったら、、、」

「尾択」は扉を蹴るようにして開けた。
するとそこには一体の
首の無いマネキンがあり、
その下にボロボロになった
赤い薔薇が落ちていた。

「、、、あきらかに怪しいな。」

最初の部屋で起きた事を思い出す。
どうするか悩んだ結果、
「尾択」は腕を振り上げ
マネキンに向かって
勢いよく振りかざした。

(バキッ!)

「ぎゃぁぁぁぁぁ」

何かが折れるような音と共に、
マネキンの叫び声が響く。
その隙に赤い薔薇を取り、
部屋を飛び出し、扉を閉めた。

「はぁ、、、やっぱりな。
っていうか手痛ったぁ、、、」

手の痛みに耐えつつ、
ボロボロの薔薇を見る。
廊下の反対側にちょうど
水が入った花瓶があった。

「確かこれで、、、」

花瓶の中に赤い薔薇を入れる。
すると薔薇は一瞬で元気になった。
それを見た「尾択」は
急いで倒れている女の所へ向かった。
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