Are you my……?

広瀬 晶

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「結局どこまでした? その彼と」
「どこ……?」
「最後までは、してないんだろ」
 詳細は省いたが、佐藤君に挑発されて事に及んだ話は既にした。
「え? 最後までですよ」
 答えると、四谷さんが唇を薄く開いて固まった。あまり見かけない表情なので、つい凝視してしまう。
「挿れられた?」
「はい?」
 いれる? よく分からずに小首を傾げると、彼もまた不思議そうに僕を見る。
「だから、したんだろ? 最後まで」
「はい。まあ……」
 僕は女性ではないから、触られただけだけど。でも、出すところまで行ったから、おそらくあれが最後だろう。
「村上。最後までって、意味分かってるか」
「ええと……」
 隣に座る彼に、思った通りのことを耳打ちする。
「まじか……っ」
何がどうしてこうなったのかは分からないが。僕は彼の笑いが止まるまで、しばらく待たなければならなかった。
「四谷さん?」
「何でもない。気にしなくていい」
「どういうことですか……? もう少し、分かりやすくお願いしたいのですが」
「俺が『分かりやすく』説明したりしたら、まずいことになるかもしれない」
「まずいこと?」
 ますます訳が分からない。元々何の話をしていたのか、それさえも忘れそうになる。
「まあいい。上手く行ったら、相手に訊け」
「何をですか」
 四谷さんが手招きするのに合わせ、彼の口許に耳を寄せた。囁かれた言葉は、やはり意味が分からなくて。
「……訊いて、どうするんでしょうか」
「訊けば分かる」
 何が分かるのか分からないが、いつか機会があれば佐藤君に訊いてみることにしようと僕は思った。 

 佐藤君が兄のところに行っている間、僕は何度も彼のことを考えた。会ってまだひと月も経たない彼のことを。繰り返し繰り返し、考えた。
 最初は、自分のことを父親だと勘違いしてきた彼を、ただ放っておけないだけだった。気がつけば、与えるものより与えられるものの方が増えていき、彼の持つ空気に癒されている自分がいた。いつか彼が、自分以外の誰かとこうして過ごすのだと思うと胸がざわつく。この先彼が誰かのものになったとしても僕は、これが恋でなくてもいいと言えるのだろうか。

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