平凡以下な僕は幼馴染を守るために、初級魔術だけでも頑張っていきます。

気ままに

文字の大きさ
14 / 29
序章ー人生の分岐点

第12話 「ミシャの盾」

しおりを挟む
―――――アイリ視点――――――

上級魔術「絶対零度アブソリュートゼロ」。
私は密かに魔術の本で見たこの上級魔術の習得にいそしんでいた。
けど成功したことは一回もなかった。
その理由はわかっていた。

その理由は上級魔術を使える人が私の周りにいないことである。
上級魔術ともなると、努力と才能、魔力量がかなり必要になるが、上級魔術の習得に失敗し続けて気づいた。
上級魔術にも具体的なイメージ力が必要なのだ。
魔術の本には魔術の名称自体は記されていたが、魔術の説明はあまり詳細に記されていなかった。
ただ
“いかなるものもこの魔術の前では熱を保てない。
発動してしまえば一秒もたたないうちに対象は死する。
絶対零度こそ人類最高の氷魔術”
とだけ。

きっとこの本は著者が使えない魔法も記しているのだろう。
だから曖昧な魔術の説明もあれば、やけに具体的に詳細が記されている魔術もある。
中級魔術はほとんど使えるのだろう。
それだけでもかなり優秀なのだ、何せ中級魔術のほとんどを使える人は上級魔術を一つ使える人ほどすごいことなのだと聞く。

上級魔術を使える人は世界でも100人にも満たない。
だからこそ、圧倒的に情報が足りない、イメージが完成しない。
けどもう模索している時間はない。
上級魔術「絶対零度」を今成功させなきゃオーデンスは死んでしまう。
そして私は連れてかれてしまう。だから絶対に…

「オーデンス?」

気が付いた時には遅かった。
オーデンスの魔力障壁はまだ解除されてはいなくて、あの男の黒い剣を現在進行形で防いでいた。
けれど、オーデンスの腕には力が籠っていなかった。
指をピクリとも動かしていない。
あの男の剣の能力なの…?
私は集中しなければいけないのに集中ができなかった。

「オーデンス、目を覚まして!」

反応はない。
魔力障壁が解除されていないということはまだ死んではいないはず。
どうするべきか?
オーデンスをひっぱたいてでも起こすべきか、それとも上級魔術を発動させることに集中するべきなのか。
悩んでいた。

きっとオーデンスは死の境をさまよっているに違いない。
けどさっきみたいに死んでまた生きがえることがあったら…?
いや、あんな奇跡はもう二度と起きないかもしれない。
じゃあ私はやっぱりオーデンスを呼び起こすべきなんじゃ…。
そこで私はオーデンスに言われたことを思い出した。
「頼りにしている」と。

「オーデンスに初めて頼られた…。その信頼に応えないでどうするのよ!」

オーデンスに信頼されている。
なら私もオーデンスを信頼しなければいけない。

「絶対戻ってきてよね…」

私は魔力制御に集中した。

―――――オーデンス視点―――――

白い世界に居る。先ほどの世界とは真逆だ。
けど今自分は現実に引き戻されているのだと直感でわかった。
はやく、はやく!間に合え!

「あ…」

目が覚めた。
あれ、僕今まで何していたんだっけ。
そういえば魔力障壁を発動して奴の攻撃を防いでたんだ…

「…、魔力障壁は!?」

「む。貴様本当に人間か?」

良かった。
少し気を失っていたみたいだ。
けれど、何か変な夢を見ていたような。
いやそんなことは今どうでもいい!耐えるんだ!

「諦めの悪さは人間様卒業かもな…」

ふつう自分で言うか。
僕は自分にツッコミを入れながらも今にも倒れそうな体が倒れないように踏ん張っていた。
というか、僕が発動した魔力障壁「ミシャの盾」って、気を失っていても解除されていなかったのか?

奴が攻撃をしても全く僕の魔力がとられている感じはない。
さっきは魔力を吸われているように感じたけど今は吸われてない。
そして僕はさらに大きな変化に気づいてしまった。

「魔力が全部戻っている!?」

けれど魔力が戻っても体の傷や疲れは戻らないらしい。
だが、好都合だ。
何が起きているのかわからないが、魔力が戻ったならしばらくは奴の攻撃を防げるはずだ。
後はアイリが上級魔術を完成させるのを待つだけだ。

「どうやら貴様は死んでも生きがえってしまうのだな…。それは呪いか?」

呪い…?なんだそれは。
というか俺やっぱり死んでいたのか。

「呪いってなんだよ!」

「知らずうちにかけられたか…」

こいつさっきから何一人で喋ってんだ?
僕も自分の体について知りたいのに…。

「いや呪いであっても魔力が戻るなんてことはあるはずがない」

「一人で喋ってないで僕にも教えろよ!」

僕は一人で勝手に考えているこいつに腹が立った。
まあ腹が立ったと言っても反撃するすべはないんだけど。

「死剣」

「!」

僕が少し油断をしたところを見て攻撃を仕掛けてきた。
くっ、またあの黒い剣だ。
さっきはこれに僕の魔力障壁が触れて死んでしまった。
また僕は死んでしまうのか…。

「え」

「む!今度は死なないか…」

僕は死んではいなかった。
さっきは魔力が吸われるのを感じて気を失ったけど、今度は大丈夫だ。
なんでだ、さっきとの違いはなんだ?

「あ…」

まさか僕の魔力障壁「ミシャの盾」はまだ完成されていなかったのか!?
さっきとの違いはおそらく僕の魔力が完全に戻っていること。
きっとさっきは魔力がすっからかんだったから魔力障壁がうまく発動していなかったのか。
この魔力障壁「ミシャの盾」はきっと物理攻撃だけでなく、間接的な攻撃も守ってくれているのだ!

だからあいつの死剣も効かない。
すごい、これが初級魔術。
これならいける。

けど、まだこの魔力障壁についてはまだ完全に把握しきれてない!
もう何分経った?
はやくしてくれアイリ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

処理中です...