13 / 24
第13話 トンネルの悲劇
しおりを挟む
※外見のことで嫌な思いをされた方は、閲覧にご注意願います。
今もひどいトラウマになっている思い出がある。
「夏休みで学校ないのはいいけど、毎日暑いよね~」
「肝試しで涼みません?」
「じゃあ、今夜あそこ行く?」
そんな会話がきっかけで、当時中学2年生だった私は、女友達2人と連れだって、近所にある「出る」と噂のトンネルに行った。
それは廃線の高架下にある、横幅が人2人分くらいの小さなトンネルだった。
夜遅くに家を抜け出した私たちが集合したとき、あたりはもう真っ暗だった。
「出たらどうする?」
「絶対置いてかないでよ!」
どこか弾むような口調で、友達2人は臆することなくトンネルの闇の中に入っていった。
非モテ陰キャな私と違って、「モテる女」を自認する彼女たちは、どこへ行ってもグイグイ進むのだ。
私はそんな2人の後を、気後れしながらついていった。
3人の靴音が、ピチャピチャと暗いトンネル内に響く。
「ひやぁ!」
「どうしたの!? ……イヤァ!」
友達2人が立て続けに悲鳴を上げた。
「首筋にペロッてされた!」
「腕つかまれた!」
彼女たちは悲鳴を上げながら、元来た方へと疾走した。
何にもされなかった私も、つられて一緒に走った。
そのあとは、みんな入り口まで無事に戻ってこられた。
「さっきのヤバかったよね!」と青ざめた顔で手を取り合う2人をよそに、私は黙ってトンネルを振り返った。
「ねえ! 見てあれ!」
私がトンネルの入り口の壁を指さすと、友達2人はまた悲鳴を上げた。
――楽しかった また来てね――
その壁に書かれた文字は、真っ赤な血の色だった。
彼女たちは、大きな叫び声を響かせて一目散に逃げ帰った。
でも、一人残された私は、なんだか納得が出来なかった。
「よし、もう一回入ろう」
私はさっきと同じように、一人でトンネルの中へと歩を進めた。
真っ暗な中、濡れた地面に自分の靴音だけが響いた。
ピチャピチャ
……
ピチャピチャ
……
歩き続けて、とうとうトンネルの一番奥まで来てしまった。
そのまましばらく突っ立っていたけど、やっぱり何も起こらない。
仕方がないので、私は入口へと引き返し始めた。
ピチャピチャ
……
結局、何かされることもなく、無事に入口にたどり着いてしまった。
「さっきのは、2人の芝居だったのかな?」
私は一人でつぶやくと、さっき文字が書かれていた壁の場所に目をやった。
するとそこには、また同じように真っ赤な文字が浮かんでいた。
――ブスは帰れ――
私の心は血まみれになった。
(了)
◎この話はフィクションです。
お読みくださり、誠にありがとうございます。
今もひどいトラウマになっている思い出がある。
「夏休みで学校ないのはいいけど、毎日暑いよね~」
「肝試しで涼みません?」
「じゃあ、今夜あそこ行く?」
そんな会話がきっかけで、当時中学2年生だった私は、女友達2人と連れだって、近所にある「出る」と噂のトンネルに行った。
それは廃線の高架下にある、横幅が人2人分くらいの小さなトンネルだった。
夜遅くに家を抜け出した私たちが集合したとき、あたりはもう真っ暗だった。
「出たらどうする?」
「絶対置いてかないでよ!」
どこか弾むような口調で、友達2人は臆することなくトンネルの闇の中に入っていった。
非モテ陰キャな私と違って、「モテる女」を自認する彼女たちは、どこへ行ってもグイグイ進むのだ。
私はそんな2人の後を、気後れしながらついていった。
3人の靴音が、ピチャピチャと暗いトンネル内に響く。
「ひやぁ!」
「どうしたの!? ……イヤァ!」
友達2人が立て続けに悲鳴を上げた。
「首筋にペロッてされた!」
「腕つかまれた!」
彼女たちは悲鳴を上げながら、元来た方へと疾走した。
何にもされなかった私も、つられて一緒に走った。
そのあとは、みんな入り口まで無事に戻ってこられた。
「さっきのヤバかったよね!」と青ざめた顔で手を取り合う2人をよそに、私は黙ってトンネルを振り返った。
「ねえ! 見てあれ!」
私がトンネルの入り口の壁を指さすと、友達2人はまた悲鳴を上げた。
――楽しかった また来てね――
その壁に書かれた文字は、真っ赤な血の色だった。
彼女たちは、大きな叫び声を響かせて一目散に逃げ帰った。
でも、一人残された私は、なんだか納得が出来なかった。
「よし、もう一回入ろう」
私はさっきと同じように、一人でトンネルの中へと歩を進めた。
真っ暗な中、濡れた地面に自分の靴音だけが響いた。
ピチャピチャ
……
ピチャピチャ
……
歩き続けて、とうとうトンネルの一番奥まで来てしまった。
そのまましばらく突っ立っていたけど、やっぱり何も起こらない。
仕方がないので、私は入口へと引き返し始めた。
ピチャピチャ
……
結局、何かされることもなく、無事に入口にたどり着いてしまった。
「さっきのは、2人の芝居だったのかな?」
私は一人でつぶやくと、さっき文字が書かれていた壁の場所に目をやった。
するとそこには、また同じように真っ赤な文字が浮かんでいた。
――ブスは帰れ――
私の心は血まみれになった。
(了)
◎この話はフィクションです。
お読みくださり、誠にありがとうございます。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる