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第一章
009 外の音
久しぶりに、城の外へ出ることができた。
と言っても城壁の内側のみ、だけだと言われた。
「……人が、多い」
城の出入口には兵士や使用人、荷馬車が多く行き来している風景をしっかり目に焼きつける。
ちゃんと“領地”だと感じる。
「ここ、呪われてるんじゃなかったの」
「呪われているのは、俺だ」
レオニスは淡々と言葉にする。
「この土地自体は、何も問題ない」
「じゃあ、噂って……」
「誇張と恐怖と、事実の混合だ」
分かりやすく言うと、レオニスのせいで近寄れなかっただけ。
彼が城から出なければ領地は普通に機能する。
「俺がここに来るまでどうやって生活してたのそれ」
「……必要最低限の接触のみと言ったところか」
「それ、ほぼ引きこもりじゃ」
「否定はしない」
また即答。
この人ほんとに否定しない。
だから、だろうか…変に嘘をつかれるより楽なのは。
城壁の上から外を眺めると霧の向こうに村らしき影が。
――ー凄い、ちゃんと世界が続いてる。
「ねえ」
俺は、ぽつりと聞いた。
「ここから出ようと思えば、出られるのかな」
レオニスの足が止まる。
「……出たいのか」
「いや、ただの疑問がね」
でも空気が変わったのは分かった。
「この領地を出るには魔力検査が必要だ」
「へえ、魔力調査ね」
「だがお前は……通れないと思え」
思いもよらない答えが返されてしまった。
俺は力強くレオニスを凝視した。
「なんでだよ」
「お前の魔力はこの世界の基準に合わないからだ」
「……つまり?」
「つまり、外に出れば政府に捕捉される可能性が高い」
予期せぬ最悪を提示されてしまうとは。
――という事は、どこへ行ったとしても俺は自由に動けない、ってことか。
「……逃げ道とか、ない感じ?」
「そんなものはないな」
またまた言い切られてしまう。
驚きよりも俺は思わず笑ってしまった。
「すごいな。異世界転生して一番最初に捕まる場所がここか~」
「捕まっている自覚はあるのか」
「そりゃ多少は」
でも不思議と、怖くはない。
怖いとも感じない。
だって。
「ここ、案外静かだし」
レオニスは俺を見る。
「……退屈ではないか」
「まあ刺激は少ないかな」
「ならば、城の中でお前の役目を作ろう」
「役目?」
「何もしないのは、落ち着かない」
それは、俺のためじゃない。
――この人のためだ。
「お前は」
レオニスは低い声で言った。
「この城の、“中心”だ」
言葉の意味が、じわじわ来る。
中心。
つまり。
ここが壊れたら全部、壊れる。
「……それ、責任重すぎない?」
「事実だ」
やっぱり即答。
俺は、城壁に手をついて空を見る。
この世界は、広い。
でも、俺の居場所は今のところ――この城の中だけ。
そしてそれを一番喜んでいるのは間違いなく、レオニスだった。
と言っても城壁の内側のみ、だけだと言われた。
「……人が、多い」
城の出入口には兵士や使用人、荷馬車が多く行き来している風景をしっかり目に焼きつける。
ちゃんと“領地”だと感じる。
「ここ、呪われてるんじゃなかったの」
「呪われているのは、俺だ」
レオニスは淡々と言葉にする。
「この土地自体は、何も問題ない」
「じゃあ、噂って……」
「誇張と恐怖と、事実の混合だ」
分かりやすく言うと、レオニスのせいで近寄れなかっただけ。
彼が城から出なければ領地は普通に機能する。
「俺がここに来るまでどうやって生活してたのそれ」
「……必要最低限の接触のみと言ったところか」
「それ、ほぼ引きこもりじゃ」
「否定はしない」
また即答。
この人ほんとに否定しない。
だから、だろうか…変に嘘をつかれるより楽なのは。
城壁の上から外を眺めると霧の向こうに村らしき影が。
――ー凄い、ちゃんと世界が続いてる。
「ねえ」
俺は、ぽつりと聞いた。
「ここから出ようと思えば、出られるのかな」
レオニスの足が止まる。
「……出たいのか」
「いや、ただの疑問がね」
でも空気が変わったのは分かった。
「この領地を出るには魔力検査が必要だ」
「へえ、魔力調査ね」
「だがお前は……通れないと思え」
思いもよらない答えが返されてしまった。
俺は力強くレオニスを凝視した。
「なんでだよ」
「お前の魔力はこの世界の基準に合わないからだ」
「……つまり?」
「つまり、外に出れば政府に捕捉される可能性が高い」
予期せぬ最悪を提示されてしまうとは。
――という事は、どこへ行ったとしても俺は自由に動けない、ってことか。
「……逃げ道とか、ない感じ?」
「そんなものはないな」
またまた言い切られてしまう。
驚きよりも俺は思わず笑ってしまった。
「すごいな。異世界転生して一番最初に捕まる場所がここか~」
「捕まっている自覚はあるのか」
「そりゃ多少は」
でも不思議と、怖くはない。
怖いとも感じない。
だって。
「ここ、案外静かだし」
レオニスは俺を見る。
「……退屈ではないか」
「まあ刺激は少ないかな」
「ならば、城の中でお前の役目を作ろう」
「役目?」
「何もしないのは、落ち着かない」
それは、俺のためじゃない。
――この人のためだ。
「お前は」
レオニスは低い声で言った。
「この城の、“中心”だ」
言葉の意味が、じわじわ来る。
中心。
つまり。
ここが壊れたら全部、壊れる。
「……それ、責任重すぎない?」
「事実だ」
やっぱり即答。
俺は、城壁に手をついて空を見る。
この世界は、広い。
でも、俺の居場所は今のところ――この城の中だけ。
そしてそれを一番喜んでいるのは間違いなく、レオニスだった。
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