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第二章
014 触れない理由
その日レオニスは、領土内で起きた問題を解決して欲しいと殺到した者たちへの対応に追われ、話し合いは長丁場となってしまっていた。
1つ解決となればまた1つと、問題は続くばかり。
城の中を移動するたびに俺も一緒に付いて行く事になった。
「……これ、俺いる意味ある?」
「ある」
即答されてもな。
呆れて肩の力が抜けていく。
話の議題もそうだけど出てきた人の名前も場所や物?の名前が何一つ分かりそうもなくてこればかりは、と怖じ気づいてしまう。
「発作もないし、魔力も安定してるけど」
「それでもだ」
別の会議室へ連れてこられ、また先ほど同様に端の席に座らされ、貴族たちの話を聞く。
長いな。
内容は半分も分からないので、すぐに飽きが来た。
それでも、レオニスの隣にいないと落ち着かない自分に気づいてしまった。
「……俺、本当に邪魔じゃない?」
何度も同じ言葉をレオニスへ質問してしまう。
「邪魔ならここに置かない、そこに居ろ」
当たり前みたいに言われた。
その言葉が、胸に残る。
会議が終わると、レオニスはすぐ立ち上がった。
「カルマ」
「はいはい」
呼ばれ慣れてきてるのが、怖い。
廊下に出るとセバスチャンが声をかけてきた。
「閣下、魔術師団からの書簡です」
「後で読む」
レオニスは、受け取っただけだ。
でもその紙に書かれていた単語を、俺は見てしまった。
ーー“異界由来の存在”ーー
心臓が跳ねた。
「……それ、俺のこと」
「見るな」
レオニスの声がより低くなった。
でももう遅い。
「調査って、何。俺を?」
「関係ない」
「や、関係あるでしょ」
レオニスの後ろを歩いていた足が止まった。
俺は、レオニスへ視線を向けた。
「俺、もし連れて行かれたら、どうなるんだろう」
レオニスの表情が一瞬、固まった。
「……考える必要はない」
「あるでしょ」
俺は、苦笑し、言葉を続けた。
「だって、ここにいるの、俺の自由じゃないし」
その言葉にレオニスは少しだけ目を伏せた。
「……渡したくない」
いつもの、低音の声。
「お前を誰にも触れさせるつもりはない」
それはもう、独占そのもの。
「それ、俺の意思、関係ないよね」
レオニスは、答えなかった。
その沈黙が答えだった。
「……ねえ」
力が抜けたような、そんな声が出た。
「……俺がここにいるの本当にいいことなのかな」
思わず口から出た言葉にレオニスは眉をひそめるが、俺の手を取った。
勢いはあったものの強くない。
痛くない。
でも、離さないと言いたげな視線と力加減。
「俺にはいいことだ」
「俺には?」
視線が合う。
少しだけ苦しそうな顔。
「……分からない」
その正直さに、
胸が、ちくっとする。
「……俺も、分からない」
俺は、そう答えた。
なのに、手を離さなかったのは俺の方だった。
レオニスがいないと落ち着かない。
この城から出る事自体想像できなくてーー。
「……触れない理由が見つからないんだよなぁ」
そう言った瞬間、レオニスの指が少しだけ強く絡んだ。
その感触が嫌じゃない自分に、ようやく気づいてしまった。
逃げたいのに。
でも、本当は。
誰よりもここにいたがっているのは、俺だった。
1つ解決となればまた1つと、問題は続くばかり。
城の中を移動するたびに俺も一緒に付いて行く事になった。
「……これ、俺いる意味ある?」
「ある」
即答されてもな。
呆れて肩の力が抜けていく。
話の議題もそうだけど出てきた人の名前も場所や物?の名前が何一つ分かりそうもなくてこればかりは、と怖じ気づいてしまう。
「発作もないし、魔力も安定してるけど」
「それでもだ」
別の会議室へ連れてこられ、また先ほど同様に端の席に座らされ、貴族たちの話を聞く。
長いな。
内容は半分も分からないので、すぐに飽きが来た。
それでも、レオニスの隣にいないと落ち着かない自分に気づいてしまった。
「……俺、本当に邪魔じゃない?」
何度も同じ言葉をレオニスへ質問してしまう。
「邪魔ならここに置かない、そこに居ろ」
当たり前みたいに言われた。
その言葉が、胸に残る。
会議が終わると、レオニスはすぐ立ち上がった。
「カルマ」
「はいはい」
呼ばれ慣れてきてるのが、怖い。
廊下に出るとセバスチャンが声をかけてきた。
「閣下、魔術師団からの書簡です」
「後で読む」
レオニスは、受け取っただけだ。
でもその紙に書かれていた単語を、俺は見てしまった。
ーー“異界由来の存在”ーー
心臓が跳ねた。
「……それ、俺のこと」
「見るな」
レオニスの声がより低くなった。
でももう遅い。
「調査って、何。俺を?」
「関係ない」
「や、関係あるでしょ」
レオニスの後ろを歩いていた足が止まった。
俺は、レオニスへ視線を向けた。
「俺、もし連れて行かれたら、どうなるんだろう」
レオニスの表情が一瞬、固まった。
「……考える必要はない」
「あるでしょ」
俺は、苦笑し、言葉を続けた。
「だって、ここにいるの、俺の自由じゃないし」
その言葉にレオニスは少しだけ目を伏せた。
「……渡したくない」
いつもの、低音の声。
「お前を誰にも触れさせるつもりはない」
それはもう、独占そのもの。
「それ、俺の意思、関係ないよね」
レオニスは、答えなかった。
その沈黙が答えだった。
「……ねえ」
力が抜けたような、そんな声が出た。
「……俺がここにいるの本当にいいことなのかな」
思わず口から出た言葉にレオニスは眉をひそめるが、俺の手を取った。
勢いはあったものの強くない。
痛くない。
でも、離さないと言いたげな視線と力加減。
「俺にはいいことだ」
「俺には?」
視線が合う。
少しだけ苦しそうな顔。
「……分からない」
その正直さに、
胸が、ちくっとする。
「……俺も、分からない」
俺は、そう答えた。
なのに、手を離さなかったのは俺の方だった。
レオニスがいないと落ち着かない。
この城から出る事自体想像できなくてーー。
「……触れない理由が見つからないんだよなぁ」
そう言った瞬間、レオニスの指が少しだけ強く絡んだ。
その感触が嫌じゃない自分に、ようやく気づいてしまった。
逃げたいのに。
でも、本当は。
誰よりもここにいたがっているのは、俺だった。
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